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INTO THE BLUE

Kid`s Diary 旅行

2005年11月04日

月間ダイバー特集「ダイバーである幸せ」より

「家族を連れていろいろな場所へ行きたい。若いころ夢みた暮らしを手に入れた」
子連れ放浪撮影生活を楽しむ水中写真家 越智隆治 インタビュー
月刊ダイバー2006年6月号「ダイバーである幸せ」特集より抜粋した記事です。今の僕たち家族のあり方をインタビューしてもらいました。

「海は友だち」と書いて「かいと」と読む。越智家の長男はただいま2歳7ヶ月。生後3ヶ月でマナティに会うためにフロリダへ行ったのを皮切りに、バハマ、タイ、パラオ、ヤップなど、訪れた国はすでに10ヶ国以上。すべて父である越智隆治さんの撮影旅行のお伴である。

 「もしかしたら息子のおむつ替えいてシャッターチャンスを逃したかもしれないけど、自分が望んで選んだ生き方ですから」
 本心は悔しいはずだ、それを『ウンチのせいで~』と笑いながら話すことで、自分自身を納得させている部分もあるだろう。だが、それ以上に今の暮らし方に満足している。
 「家族と一緒にいろいろな所へ行きたい。そういうことができる仕事に就きたい」。これが若いころからの夢だったのだ。
 話は25年以上前に遡る。越智少年、中学1年生のときのこと。父君の仕事の関係でオーストラリアに約1年間滞在した。その間に何度も安宿に泊まったり、テント生活しながら奥地を巡る父に家族で付いて回った。越智さんいわく「大自然にふれながらの家族放浪生活」。大変なこともあったけど、すごくおもしろかった。家族で放浪したい....。親にやってもらったことが漠然とした「夢のライフスタイル」になる。

大学2年生のとき、夢への道しるべを見つける。ネイチャーフォトグラファーのアシスタントドライバーとしてオーストラリアの砂漠を横断する企画に参加したのだ。自然と向きあってできる仕事がある、これなら現場に家族を連れて来られる.....。映画『彼女が水着に着がえたら』ブームに乗ってダイビングを始めていた越智さんが、もともと関心のあった報道と潜水取材の両方ができる就職先として選んだのは新聞社の写真部だった。

「新聞社には9年間いました。報道も芸能もスポーツも全部取材したし、6年目からは企画を立てて取材記事も書いていました」。今も続くバハマやマーシャルの取材は新聞社時代から手掛けているものだ。

1996年、夢の扉が見つかった。ザトウクジラの取材で行ったドミニカ共和国のシルバーバンクのホエールウォッチング船で、ミナ(充奈子)さんと出会ったのだ。3年後、新聞社を退社。背中を押したのはイルカに魅せられていたミナさんの言葉だった。

 「いっしょにドルフィンクルーズトリップをやりたい、結婚するならいろんな所にいっしょに行けるように独立してほしい」。

いっしょに撮影旅行に行きたいというミナさんの考えか方は、まさしく越智さんの「家族を連れて撮影現場に行きたい」という願いと一致していた。そしてもう1つ、二人はレイチェル・カーソンのエッセイ集『センスオブワンダー』に共感している点もいっしょだった。レイチェルは子供にさまざまな自然を体験させ、知識ではなく自然と向き合う感性を伸ばすことが大切だと説く。

 「小さいころからいろいろな自然と向き合うことで人にも、自然にもやさしく接することができるようになっていく----------------、僕もミナもそうとらえていました」
 
かくして、海友クン誕生後、越智さんは可能なときは家族を連れて撮影に出かけている。海外では家族といっしょに撮影に出かけるネイチャー系カメラマンは珍しくないが、日本では子供を連れていくこと自体が難しいテーマだ。
 「自分たちのエゴでもあるわけです。子どもに対しても周りに対しても。だから客観的に大丈夫かどうかは見ようとしている。自分の子だからかわいいのは当然ですが、他人から見てどうなのかは考えないといけない」

今のところ、よく笑う海友クンとミナさんの明るいキャラクターは、すんなりと受け入れてもらっている。越智家のライフスタイルを応援してくれる知人友人も世界各地にいるようだ。

家族で放浪するための基盤・仕事も、今は順調だ。今年もすでにパラオ、ヤップ、インドネシアとダイビング中心の撮影を終え、今後も南アフリカ、バハマ、トンガと予定はびっしり組まれている。
 「個人的な生き方とは別な部分で、フォトジャーナリストとして「伝えたい」という気持はもちろんあります」
 新聞社育ちだからだろう、1枚だけでいいから強烈な印象を残す写真を撮りたいという思いは強い。
 「デザイナーや編集者は写真を組むことで記事を作り上げますが、僕は現場での1枚に懸けている。仕上がりを見て自分で身震いするような写真は、作り込んだものより瞬間をとらえたときのものが多いですね」
 
ワイドレンズで瞬間をとらえる....、アーティストというよりジャーナリストとしてのアプローチが越智さんの持ち味の一つ。35mmの枠内に完璧な1枚が撮れたときが、自分としては最高にうれしいそうだ。
 
最後にちょっといじわるな質問。撮影と家族とどちらかを選べと言われたら?
 「どっちもどっちだなぁ。写真家としての思いと家族としての気持ちはまた別ですからね。でも、今はそのバランスがいいんじゃないかな。だから肉体的に辛いことはあっても、精神的には辛くありませんね」
 家族で放浪する幸せを形にした両親に見守られて、海友クンがどんな大人に成長していくか、かなり楽しみになってきた。

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