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Kid`s Diary 旅行

2006年11月14日

「はじめてのおつかい」オーストラリアの砂漠でトラブル編

「はじめてのおつかい」オーストラリアの砂漠でトラブル編 | 旅行 | Kid`s Diary | イルカやクジラと泳ごう INTO THE BLUE

もう9年ほど前の話になるが、友人(悪友)と5歳になるそいつの息子と3人で、約3週間オーストラリアを放浪したことがある。

行き先はタスマニアの世界遺産のクレイドルマウンテン、南オーストラリアのカンガルーアイランド、そして、西オーストラリアのパースから4WDに乗って世界遺産のシャークベイまでの道のり。

僕がまだ新聞社に在籍していた頃のことだ。友人には、以前から僕が中学生の頃、オーストラリアやニュージーランド、アメリカなどを車に乗って家族で放浪し、テント生活を送っていた頃の話をよくしていた。「俺もユウスケを連れて、放浪してみたいな」と奴が言うので、「じゃあ、行ってみようか」と提案した。

当時、新聞社にいて、企画取材を多く行っていた僕は、オーストラリア政府観光局に、「オーストラリア大自然、親子放浪記」的な企画を提案してみたら、何が良かったのかわからないが、あっさりと企画が通過してしまった。しかし、これは新聞向けの企画ではなくて、奴が勤めていた出版社から発売されているアウトドア雑誌上での企画。新聞社側には、世界遺産保護のために現地で起こっている様々な問題点を取材するというちょっと硬い内容の企画書を提出し、取材許可をもらっていた。

僕は取材、そして、奴は勤続5年でもらえる長期休暇を利用してオーストラリアに向かうことになった。もちろん政府観光局のスポンサー付きであるから、僕と友人親子の飛行機代、ホテル、現地での移動に要する費用などなどは、オーストラリア政府観光局が一切合財負担してくれるという、普通に考えたら超ラッキーな旅行だった(もちろん、僕はそれなりに取材しなければいけなかったんだけど)。

道中色々なハプニングがあったのだが、ここで全部書いてると途方も無く長くなるので、ここでは一番印象に残ってることだけを書くことにする(といってもかなり長くなるんだけど)。

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旅の終盤、4DWに乗って、二人で交替しながら果てしない道を、パースからシャークベイヘと爆走した。ストロマトライトという35億年も前から地球上に生息している全ての動物の起源とも言われる光合成を行う単細胞生物や、1万頭を越すジュゴンや、この半島にしか生息しない様々な小型の有袋類が生息することから、半島全体が自然遺産に指定されている。しかし、基本的には、長い間人が住めなかった不毛の地でもある。観光的には、モンキーマイヤという場所の浅いビーチにイルカたちがやってきて、人に食べ物をねだることで有名だ。

僕らは、モンキーマイヤリゾートを拠点に、広大で不毛な半島を4DWで探検することにした。ところどころ干からびた塩湖が残雪のように広がっている。メインの道以外は、砂漠のような景観が広がっているが、4DWであれば、多少道を外れても問題なさそうだった。予備タイヤを 積んでいるし、感じのよい塩湖を探して、その上を走っているシーンなんか撮影してみようということになった。

メインの道を離れておよそ2マイルくらい走っただろうか。かなり純白の綺麗な塩湖を見つけた。「よし、ここで車を撮影しよう」と言って、僕は車を降りて、まず塩湖が完全に乾燥していて、走れるかどうか確認しようと近づいていった。しかし、何を思ったのか、親友は一度塩湖から離れたと思ったら、Uターンして全速力で車を塩湖に向かって走らせ始めた。「え、ちょっと待って!」と僕は言うと同時に、踏み出した足がずぶずぶっと白い塩の表面を突き抜けて、足首の上くらいまで埋まってしまい、すぐには抜けなくなってしまった。そこからは、硫黄臭の強い、いや~な匂いが漂ってきた。

「う、く、臭い!」僕は慌てて足を引き抜こうとした。同時に車に向かって「止まれ!止まれ~!」と叫んだが遅かった。4WDは全速力で走っていたせいもあり、ものの見事に、塩湖の淵からかなり入り込んだ辺りで、ずぶずぶと4本のタイヤを泥の中に沈ませてしまった。

まずい!僕は慌てて車にかけ寄ろうと思ったが、とにかく抜かるんでいて、近寄れない。慌てて近くにある平たい砂岩の石などを探してきて、車の軌跡に敷き詰め始めた。友人もエンジンを噴かそうが、うんともすんとも言わない車を諦めて、石などを集め始めた。

道中、車の中では退屈して、当時はやっていたポケモンのゲームばかりしていたユウスケ君も、さすがにまずいと思ったのだろうか、自分が持てる限りの石や草などを持ってきて、一緒になってほうりなげていた。タイヤの後部分を掘り返して、草や岩を敷き詰めてアクセルを踏んでみた。しかしタイヤが空回りするばかりで、まったく動かない。それどころか、思いっきり泥をはねるので、僕は全身泥だらけになっていしまっていた。そんな服着ていてもしょうがないからとTシャツも脱いで下に敷き詰めた。それでも車は動いてくれない。

1時間くらい格闘したが、どうにもならない。そろそろ日没が気になる時間だ。動き回ったせいもあり、おなかもすいてきた。迂闊だったのは、すぐにリゾートに帰るものと思っていたので、水はあるものの、食べるものを何も持ってきていなかったということ。ユウスケ君は「ね~どうするの~?」と僕らに聞いてくる。

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「助けを呼びに行くしかないな」と僕が言った。「道路まで出て走ってる車ヒッチハイクで停めて、事情説明してレッカー車でも呼んでもらうしかないよ」。当然僕は迂闊にも車を突っ込ませてしまった友人に、その役をやってもらいたかった。しかし、「越智君が行ってよ」と言う「え~、何で?」と言うと「だって俺英語できないから、ちゃんと呼べるかわからないもん」。「・・・・」。ふざけるなと思ったが、確かにそうなのである。しかし、言葉が通じなくても、どうにかするもんだろう。下手すれば、こんな場所で一夜を過ごすことになったら、命にもかかわりかねない。砂漠の気候に近いから、日中は暑くても、夜はかなり冷え込む。おまけに僕らは泥だらけ。ましてや自分の5歳の息子が一緒な訳だし、そんな時に「英語通じないから」はないだろう。

そう思ったが、仕方無い。効率も考えれば、自分が行くしかないと思った。「じゃあ、俺が行くよ。だけどユウスケも連れて行くよ」。「何で?」と友達が聞き返したが、それには答えず、「ほら、ユウスケ、助け呼びに行くぞ!」と言って彼を肩車して、約2マイルの道乗りを歩き始めた。道乗りと言っても、道は無いんだけど。

ユウスケ君は、自分も大役を任されたことで、やる気になっている。お父さんを助けなければとも思っていたのかもしれない。僕が肩車に疲れると、「自分で歩くよ」と言って、手をつないで一緒に歩きだした。その間、彼は大好きなポケモンの歌を歌い続けていた。それだけでなく、僕にも「歌覚えて」と言ってきた。僕らは、大声でポケモンを歌いながら道を目指した。飲み水も底をついていた。

何故ユウスケ君を連れて行ったかというと、泥だらけの大人の僕一人がヒッチハイクしても、誰も停まってくれない可能性が高いからだ。しかも砂漠のど真ん中で、陽も沈みかけてるし、他に車もほとんど走っていない場所だ。自分なら警戒して停まれるかどうかわからない。だから、5歳のユウスケ君に活躍してもらおうと思った。日が完全に暮れてしまう前に、なんとか車に停まってもらわなければならない。

道に到着してから、20分程して、やっと最初の車がやってきた。「いいか、思いっきり手を振るんだぞ」と言うと、「うん!」と元気な声で答える。「よし、車来たぞ~」。ユウスケ君は満面の笑みを浮かべて車に向かって手を振った。すると、車に乗っている人たちも、満面の笑みを返し、手を振って砂漠の向こうに走り去ってしまった・・・。

「何で停まってくれないの~?」。ユウスケ君が聞いてきた。「それはね、嬉しそうにしすぎてたからだよ。今度来たら、悲しそうな顔で振ろうよ」。「うん、わかった」。次の車がやってくるまで、それからまた20分ほどかかった。視界が開けているので、かなり遠方から車の姿を見渡せる。(これで停まってもらえなかったらまずいな)。そう思った僕は「いいか、俺は草陰に隠れるから、ユウスケ君一人で手を振ってね。停まったら、すぐに出ていくから」。「うん、やってみる」。そういって、彼は意を決したように、車の来る方向に向かった。僕はユウスケ君の表情が見えて、車から見えない位置で様子を伺った。

車が来た。彼の表情を見る。彼はとても悲しそうな顔をしてみせ、全力で車に向かって手を振った。こんな砂漠で5歳の男の子が一人、悲しそうな顔で手を振る状況。当然のことだが、車は停まった。これなら僕だって停まるに決まってる。運転手が車から降りて、ユウスケ君に近づく。僕は驚かさないようにと、極力ゆっくり草陰から出ていき、事情を説明した。運転手は、状況を理解してくれて、隣町まで行ってレスキューに連絡してくれると言った。しかも、食べ物も飲み物もない僕らを見て、水やバナナ、リンゴなどのフルーツを渡してくれたのだ。

これでなんとかなる。そう思うと、お腹が空いてきた。「ユウスケ良くやったな~、これで大丈夫だよ。バナナ食べようか」。そうユウスケ君に言うと、最初は「うん!」と嬉しそうにしていたのだが、次にリンゴを食べるよう勧めると、「ずるい!」と言い出した。「何が?」
と聞くと、「パパだって、向こうで一生懸命頑張ってるのに、僕たちだけ食べてずるいよ!車にもどってパパにもあげようよ」というのだ。「だって、ここで待ってないと助けの車に場所教えられないんだよ」と言っても「だめ、僕たちずるい」といい続ける。

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しょうがない、僕は彼を肩車して、道の横の背の低い藪の向こうを見せてあげた。道の周囲だけ、少し乾燥した草むらがあり、その先は赤い色をした岩盤砂漠が広がっている。視界が開けているから、遥か彼方に僕らの車も見えていた。「いいか、あそこに車が見えるのわかるか?」と聞くと、僕の頭の上で「うん、見える」という答えが返ってきた。「じゃあ、バナナとリンゴ持って、一人でパパのところに行けるか?」。「うん、行ける!」。

僕は、ユウスケ君を藪の向こうまで肩車したまま連れて行き、ビニールに入ったバナナとリンゴと水を彼に手渡した。中身が5歳の子にとって、重過ぎないように、かといって軽すぎもしないように心がけた。「いいか、ここまっすぐ行けば車につけるからね。途中まで、俺がここで見ててあげるから、車見えなくなったら、こっち見な。方向教えてあげるから、大丈夫!」そう言って、前に進むように促した。ユウスケ君は、ちょっと不安そうな顔をしたけど、決心したように1歩、1歩、車に向かって歩きだした。

「車のところで頑張ってるパパにしっかり食べ物届けるんだぞ。でも、毒ヘビいるかもしれないから気をつけろよ」。とその背中に声をかける。「え~~・・」と一瞬振り返るものの、ユウスケ君はすぐに車の方へ向きを変え、また歩き始めた。僕は、父親のために食べ物を持って行こうと砂漠の中を行くユウスケ君の、少しづつ遠ざかっていく背中を見続けながら、しらない間に涙があふれてきていた。肩から背負ったビニール袋が、僕が考えていたよりも5歳の子供には大きすぎたかもしれない。もしかしたら、途中でくじけて戻ってくるかもしれないとも思っていた。かなり離れてから、もう一度彼が振り返った。僕は、はっきりわかるように、車の方向を指差した。それ以降、ユウスケ君がこちらを振り返ることはなかった。

彼の背中を見送ってる間中、頭の中には、TV番組「はじめてのおつかい」のメインテーマソング「しょげなっいでよ、ベイベ~」の歌がぐるぐると回っていたのは言うまでもない。
このとき、親子の絆というものを強く感じさせられ、このときほど、子供を持つ友人を(うらやましい)と思ったことは無かった。僕は、このときに自分も子供ができたら、いつか二人だけで、放浪の旅に出てみよと決めたのだった。

その後、レスキューの車が来てくれて、無事車は塩湖のぬかるみから脱出することができた。ユウスケ君が一生懸命食べ物を運んだ友人に、「俺らが助け呼んでるあいだ、どうしてたの?」と聞いたら、「え、いや~、何もすることないから、車の中でポケモンゲームして寝てたよ~」。「・・・・、へぇ、・・・・あ、そう・・」。子供によって、与えられた大きな感動が、その父親によって、打ち砕かれた僕は、(お前~、流した涙を返せよ、今すぐここで)と思った。

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コメント

投稿者: マツ

歩毛門って、当時からあったんだ~。
こういう旅って、かなり面白い映像(え)が撮れるんですよね。

だんだんすさんでいく姿がおもしろい。笑

2006年11月14日 20:36
投稿者: noriko

越智さんが若いです・・・ね

2006年11月14日 22:53
投稿者: yuki

どんなに素敵な感動的な話でも、
越智さんの話には、
いつも必ずおちがある!(しゃれるつもりはなかったが、結果駄洒落になりました。おそまつ)

2006年11月14日 22:56
投稿者: 越智@自宅

マツちゃん、この頃はポケモンブーム最盛期だよ。そうそう、このときビデオ回していたら、「はじめてのおつかい」に売り込んで至上最高傑作おつかい版が作れたと思いまつ。外見はすさんでも、心の中は晴れ晴れだったよ(笑)。僕の旅は、こういう面白いのが多いかもね。

norikoさん、当たり前です。9年前ですからね。あのとき、君も若かった。

2006年11月14日 23:00
投稿者: 越智@自宅

yukiちゃん、オチの無い感動話は未完成だ!が僕のポリシーです。

それにしても、皆さん、最後までこの長い文章を読んでいただき、ありがとうございました。 え、呼んでねえって!

2006年11月14日 23:01
投稿者: てん。

この話おもしろかった~。
というか、写真の隆治さんが・・・ちがう。
顔って変わるものですね・・・。

あともう少しで海友との放浪が実現できそうだね。
いいな~おもしろそうだなー。
放浪先はもう決めてあるの?

2006年11月15日 09:05
投稿者: まゆりん

本当、越智さん若い!!!
でも、子連れの放浪の旅って、いいなぁ。
越智さんの感動もわかる、でも、最後のオチも最高。
素敵な経験をされていますね。
次は海ちゃんとですね!!!

2006年11月15日 12:37
投稿者: 越智@自宅

てんちゃん、9年前は君も違う顔してたでしょ~。放浪先はいくつか考えてるよ。後は本人が行き気になってくれるかどうかだね。

まゆりん、僕はあの感動する映画とか見ても、自分の子供が生まれたときも、ほとんど涙流さないのだけど、あのときは作り物じゃない親に対する小さな子供の思いを痛切に感じて感動して泣いてしまいました。自分にとっては、それはそれは貴重な涙だったんだよ。それを奴はね~・・・。でも海友と放浪しても、こういう子の親に対する思いは、多分感じられないだろうな。他人だから感じることができたんだと思います。

2006年11月15日 23:42
投稿者: moriko

心温まるいいお話なのに、笑えます(笑)
今この男の子はどうしているのでしょう。
旅を続けているのかな?

越智さん、今も昔もトラブル・トラブル・・・
旅のいい思い出沢山ですね(爆)


2006年11月16日 13:04
投稿者: 越智@自宅

moriko、ユウスケ君は今ハワイにいて、サーフィンとサッカーしてるようです。もう中学生だからな~、どんな男の子に成長してるか見てみたいね。ちなみに親父は日本にいるけど。

2006年11月16日 18:21
投稿者: 越智@自宅

あ、書き忘れた。良く旅に出るからね、旅にトラブルはつき物ってのは良く理解してるけど、最近のトラブルは自分に比が無いだけに納得できないんだよね~。ね~、

2006年11月16日 18:53
投稿者: てん

えーでも結婚式(?)のビデオのミナさんは、ちょっとあどけないくらいであんまり変わってなかったよ。
隆治さんでみんな笑いが・・・。(あまりのちがいに)
男性は30代でずいぶん顔つきが変わるんだな、と思った。
そう思うと、やっぱりミナさんがスゴイんだな!
って思っちゃいます(笑)
あたくしは小学生からこの顔です。
老け顔小学生で、背もでかかったし、子供料金で電車乗れなかったもん。
最近、年齢をやっと後退できて嬉しい限り。

2006年11月17日 10:41
投稿者: 越智@自宅

てんちゃん、そんなもの何時見たんだよ~。でも、あれ俺すでに30代なんだけど。顔つきというより、あの格好に問題があったな。体重はあのときより+10くらいありますから、そりゃあ顔もかわるって。小学生時代の写真を見てみたいな。

2006年11月17日 11:57
投稿者: てん。

でもさーユウスケ君のお父さん、散々な言われようね・・・。
ハワイに留学中なの?
子供の頃から海外行ってたら、やっぱりちょっと世界が違うのかな~。
いいな~。
とぉ~くに行きたいな。

2006年11月17日 23:42
投稿者: 越智@自宅

いいの、親友(悪友)だから。でも、そんなに散々じゃないと思うけど。実際、自分も何もできなければ、寝てると思うし。ただ、ユウスケ君の行動に感動しただけに、自分の思いが膨らんでいたから、がっかりしただけだから。

2006年11月18日 03:16
投稿者: てん。

よぉし。
馬に乗れるようになったら、ニュージーランドかオーストラリアにファームステイだ!
カナダでもいいかな~。

2006年11月20日 21:38
投稿者: 越智@自宅

ファームステイは楽しいよ~。

2006年11月23日 22:55

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