PHOTOGRAPHER’S DIARY

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Photographer’s Diary

2013年4月のエントリー

Mon 29
スリランカ、イルカ・クジラ紀行 マッコウクジラの群れに遭遇
2013.04.29

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<海中にクリック音を響かせながら目の前に姿を見せたマッコウクジラたち>

スリランカ北東岸へリサーチに出かけた大きな理由が二つあった。一つは、シロナガスクジラに遭遇できるチャンスがあるということ。実際には、同国南岸の海域で、このシロナガスクジラを見るホエールウォッチングが盛んに行なわれているのだけど、ボートの数が多く、一頭のクジラに数隻の船が付いてしまう事も多いと聞いていた。

いずれにしても、年内に再度そちらにもリサーチに出向くつもりだが、できれば船の少ない海域で見れるのであれば、そちらの方がいいと判断して、今回は北東岸海域での可能性を探った。

結果的には、数日間、シロナガスクジラを目撃した。しかし、前回紹介したニタリクジラ同様に、今回は透明度の悪い海域で目撃することが多く、水中での撮影には至らなかった。

船上から撮影したシロナガスクジラの背中の写真がこれ。噴気口から背びれまでの距離の長さが、次の写真のニタリクジラのそれとは、明らかに違う事が良くわかってもらえると思う。

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<シロナガスクジラの背中>

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<ニタリクジラの背中>

この他にも、ジャンプするユメゴンドウ(Pygmy killer whale 学名:Feresa attenuata)、スジイルカ(学名:Stenella coeruleoalba)などの撮影に成功した。
ユメゴンドウは、以前に数回パラオの北西の外洋で確認した事がある。このときも透明度が悪く、海に入ってもなかなか近よらせてもらえなかった。今回は水中での撮影を試みたが、うっすらと見える程度で撮影には至らなかった。

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<ユメゴンドウのブリーチング>

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<初めて見たスジイルカ>

スジイルカを目撃したのは、個人的には今回が初めての事。ハシナガイルカ同様に、漁師たちがイルカについて、カツオやキハダマグロなどを釣る目印になっているようだった。

そして、今回のもう一つの理由が、スリランカでも最もマッコウクジラに遭遇しやすい海域でもあると聞いていたので、この群れとの遭遇確率の可能性を探った。

ある日、深海でのダイオウイカ捕食を終えて、海面に浮上してきたマッコウクジラたちのブローがあちこちで見られた。エントリーし易そうな個体の前にまわりこみ、船から静かに下ろしてもらい、彼女たちが近づいて来るのを待つ。まるで僕の身体にまとわりついて、その身体事とろけていきそうな美しい青をたたえる海中に、クリック音が響き渡り、数頭のマッコウクジラが海中に姿を現した。

動かずにじっとしていると、「何やら前にいる」事をすでにソナーで気づいていながらも、その中の一頭は避ける事もせずに,真っ直ぐに僕に近づいて来た。

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フィッシュアイレンズを付けたカメラの構図いっぱいいっぱいにマッコウクジラが入る距離、そして、入り切らない距離にまで近づいて来た。僕はただ、一カットでも構図を崩さないようにシャッターを切り続けた。僕の目の前を通過すると、テールを上げ、糞をまき散らしながら、潜行を開始した。

多くの場合が、このように通過して泳ぎ去って行くだけだった。警戒心が強い個体であれば、そんな風に静かに待っていても、直前でテールを上げて潜っていってしまうか、方向転換して、泳ぎ去って行くことの方が多かった。

彼女らが泳ぎ去った後にも、面白いものを見つけた。彼女らの身体からはがれ落ちた大きな体皮や、深海からに追い立てられたと思われる、原型を留めたイカの死骸。体皮も、イカも持ち帰った。体皮は、ガイドのメナカがコレクションにすると言っていたが、イカの方は、グリルして食べてみることになった。

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<マッコウクジラが潜行した後には、身体からはがれ落ちた体皮が浮遊していた。広げると、こんな大きさになる皮も>

「何だかわからない得体の知れないイカ、普通ここで、食べるか?」と思ったけど、知的好奇心が先に立ち、僕も食べてみた。

火を通すと、体中の水分が蒸発して、あっと言う間に小さくなっていった。あまりに酸味が強過ぎて、まともに食べれる感じではなかった。

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<深海から、マッコウクジラに追い立てられて浮上して死んでしまったと思われる小型のイカの死骸>

グリルされたイカは、最終的には犬の餌になってしまっていた。

今回の滞在で、どのような状況でクジラと会える可能性が上がるのか、または会えなくなる原因が何であるのかを実感することができた。この海域でのリサーチも、今後数回行って行こうと考えている。

今はまだ具体的には、お伝えできないが、今後数回に及ぶリサーチへの参加に興味があり、参加したい方は、お問い合わせ下さい。


Sat 27
スリランカ、イルカ・クジラ紀行 シロナガスでなくて、ニタリクジラ
2013.04.27

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スリランカ北東部海岸で見た鯨類の中の一つ、ニタリクジラ。(学名 Balaenoptera brydei)は、クジラ目ヒゲクジラ亜目に属する。日本では、土佐湾に通年生息していることでも知られていて、ウォッチングの対象にもなっている。

今回の滞在では、5日間目撃。しかし、その多くが透明度の悪い、陸に近い海域にいたために、なかなか水中での撮影は困難だった。

しかも、ガイドのメナカも、最初は「若いシロナガスクジラ」と僕らに紹介していたように、この海域にニタリクジラがいることを知らなかったようだ。僕らも、そのような紹介をされつつも、どうも納得がいかなくて、どうにか水中での撮影に成功して、ネット検索で調べたり、クジラに詳しい知人などに写真を確認してもらい、ニタリクジラであることを確証した。その決めてとなったのが、噴気口から吻にかけて3本の隆起線があること。この特徴はニタリクジラにのみある。

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<噴気口から吻に向かって3本の隆起線が走る、ニタリクジラの特徴を捉えた写真>

元々、ニタリクジラは、イワシクジラと混同されて捕獲されていた。ナガスクジラに似た噴気をあげ、背びれも似ていることなどから、「似たり」、「ニタリクジラ」と名前が付けられたということなので、まあ船上からでは誤認しても仕方無いのかもしれない。しかし、僕らからすると、体色も黒いし、噴気口から背びれまでの距離も違うし、背びれの形も違うので、最初から違うクジラだとは思っていたけど。

また、Wikipediaによると、日本ではカツオの群れと行動を共にする事が知られているとのことだが、ここのニタリクジラも、カツオの群れに先導されるかのように、一緒に泳いでいた。証拠写真程度だけど、これがカツオと一緒に泳ぐニタリクジラの写真。

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<カツオの群れと一緒に泳ぐニタリクジラ>

5日目撃したうちの1回は、親子だった。しかも子どもの胴体部分には、ロープのようなものが巻き付いていた。撮影を試みたが、船上からでも僕らの接近を嫌がって撮影はできなかった。

これはあくまで、自分の憶測なので断定はできないのだけど、この海域では、外洋での定置網が盛んに行なわれていて、あちこちに定置網が設置されていた。長いものでは3キロもの長さになるものもあるそうだ。

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<この海域で良く目にする定置網>

これが、クジラの泳ぐ海域にも沢山設置されているので、「絡まってもおかしくなさそうだな〜」と思いながら、そんな前例は無いのか質問してみたら、「定置の深さは、せいぜい4〜5mだから、クジラが絡むことは無いし、今まで聞いたことは無い」とは言っていた。なるほど・・・。

トンガで、毎年ザトウクジラスイムを行なっていて、ある年身体中に釣り糸が絡まったクジラと遭遇した事がある。逃れようともがいたせいか、糸が身体に食い込んで、皮膚が引きちぎられて、傷口には沢山のクジラジラミが発生していた。おまけに、弱ったそのクジラの死を待っているかのように、何匹ものサメたちがその後を追っていた。タイガーシャークも数匹目撃した。

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<長い釣り糸状のものが絡まったザトウクジラ(トンガで撮影)>

その写真を地元のカフェで見ていたら、白人の女性が「これは地元漁師の仕掛けたカメ獲り用の網に違いない、抗議してこの網漁を止めさたいから、写真をちょうだい!」と名前も名乗らずにヒステリックにUSBメモリーを突きつけられた。もちろん、写真はあげなかったけど。

実際には、その網漁に使うようなものは、この写真には写っていないとトンガ人から言われた。しかも、カメ獲り用の網は、クジラが入って来ないような浅い海域に設置しているので、クジラが絡まる可能性は低いと聞いた。

一時的な感情と憶測だけで判断して、確証も無いのに、それが原因だと決めつけてしまうのは、悪い言い方をすると「魔女狩り」に近い感覚を感じる。僕が感じた事もあくまで憶測に過ぎず、絡まったクジラの写真も撮影できていないし、何も調べていないので、ここで漁師たちの行なっている定置網を引き合いに出すのはまずいのかもしれない。このことに関しては、もっとリサーチが必要だ。

クジラやイルカたちと常に一番身近にいるのは、トンガでもここ、スリランカでも漁師たちだ。彼らが生きるために、細々と行なっている漁でさえ、「悪」と決めつけてやり玉に上げるのであれば、彼らの生活の事も考えた発想をして解決策を導いてあげるべきだよなと感じる。

一枚の写真というのは、それを見た人の「感情」を間違った方向へと一人歩きさせてしまう可能性があることも、常に考えに入れておかなければいけない。


Fri 26
スリランカ、イルカ・クジラ紀行 スリランカで見たイルカ漁
2013.04.26

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<数百匹が群れとなって、捕食をしているハシナガイルカを見ることができる>

スリランカに2週間滞在して、クジラのリサーチを行なって来た。数種類のイルカ、クジラに遭遇することができ、また継続してリサーチを行ないたいという思いを持った。

遭遇した鯨類は、ハシナガイルカ、マダライルカ、サラワクイルカ、ハナゴンドウ、ニタリクジラ、マッコウクジラ、シロナガスクジラなど。

数回に分けて、ここで遭遇した鯨類に関して紹介する。まず、一番頻繁に遭遇したのが、ハシナガイルカ。ほとんど毎日のように、このハシナガイルカに遭遇したのは、いつも漁師たちの船と一緒に泳いでいて遠くからでも確認し易かったからだ。

漁師の船と一緒って事は、捕獲されてるの!?と思うかもしれないけど、そういうわけではない。「イルカ」と言うと、日本ではある地域では捕獲の対象になったり、混獲されたり、「イルカが来ると魚が逃げてしまう」と漁業関係者から嫌がられたりするのだが、ここで見た光景には、「へ〜、漁師とイルカの、こんな共存の仕方もあるんだ」と感心させられた。

この海域では、ハシナガイルカの群れは、いつもキハダマグロやカツオの群れと一緒になって集団で餌となる小魚の群れを追いかけて行動しているそうだ。漁師たちは、まずこのハシナガイルカの群れを目印に海に出る。イルカの群れを見つけると、テグスの糸を垂らして、イルカと一緒に泳ぐ、キハダマグロやカツオを狙う。

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<イルカの群れの前にあつまり、糸を垂らす漁師たちの船>

だから、ほとんどの場合、ハシナガイルカの群れの周囲を、数隻から20隻くらいの漁師の船が囲むように移動していて、時にキハダマグロやカツオを釣り上げている光景を見ることができる。「共存」と言うよりは、漁師がイルカに助けられて漁をしている、そういう意味での「イルカ漁」なわけだ。

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<小さなキハダマグロを釣り上げた>

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<イルカと共存して漁を行なうスリランカの漁業スタイル>

日本では、ある地域でイルカが漁の対象になっていることで、海外でたまに、嫌みな質問をされる事もある。自分としては、イルカを漁の対象にすることを「正しい」、「正しく無い」の判断ができる立場では無いけど、やはりイルカは好きなので、自ら進んで食べたいとは思わない。

「ところで、スリランカではイルカを食べるの?」という質問に、「食べない。昔はある限られた地域で捕獲していた例もあるけど、教育して、イルカについた魚を捕まえる方が良いということを学んでからは、イルカを食べるということも無くなった」と、ガイドのメナカが説明してくれた。ただ、これは事実かどうかの確認はしていない。

「それに今は観光資源でもあるしって事でしょ?」と訪ねると、「まあ、そういう事だね」と言って笑った。イルカを捕獲するよりも、そうして観光客に見せる方が、一部の人には利益になる。漁船が沢山ついているから、クジラが見せられなくても安全パイとして、キープしておける。

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<観光客を乗せたボートがハシナガイルカの群れと並走する>

しかし、しばらく観察していて思ったのだけど、漁師たちは、このイルカの群れを探して、それについている魚を釣り上げるのに、毎日何十キロもの距離、ボートを走らせる。使うガソリンも相当な量だ。

「1日に何匹くらいの魚が釣れるの?」と聞くと、スキッパーをしてくれていた、地元漁師のアリが、「多い時で、50キロから100キロくらいのカツオやキハダが釣れる。でも、釣れないときは、一匹も釣れないよ」という答え。

「それは、毎日、この漁をするために必要なガソリンを十分買える量なのかな?」と訪ねると、メナカは、苦笑いして、首を横に振った。

そして、ある日、ウォッチングに参加したイギリス人女性が、この光景を見て、「イルカが沢山のボートに追われて、怖がってるみたい」とこの漁の様子に嫌悪感を示した。

スリランカの海で見た、イルカと漁師の「共存」の形。漁師たちがイルカに助けられて漁をしている光景に、最初は感心したのだけど、漁師たちはまともにお金を稼げず、観光客(といっても一部のだろうけど)からは、この共存の形ですら、「イルカが可哀想」に見えるという。

誰もが納得できるような、共存の理想の形はなかなか見つからないのかな。

2012年9月にスリランカ取材に訪れた時のウエッブマガジンは、ocean+α(オーシャナ)でご覧になれます。「スリランカ ホーエルウォッチング 北東部海岸トリンコマリーと世界文化遺産を巡る旅」協力:STワールド

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2017年12月23日(土)、東京の渋谷で、毎年恒例となりました越智隆治スライドトークショーを開催いたします。 <昨年六本木で開催したスライドトークショーの様子> おかげさまで、毎年満員御礼(若干オーバーなためいつも狭くてすみません)のトークショー。今年は、大きな3面スクリーンのある会場で、1年間の撮影の様子をご報告します。 迫力のあるクジラから、癒しの海まで、海に包まれているような気持になれると思います。 食事スタイルは、半立食のブッフェ形式。 席が決まっていないので、いろんな方をお話しできるかと思います。 またせっかく海が大好きな人たちが集まりますので、「なにか青いもの」をご持参ください。洋服でも、靴でも、鞄でも小物でも、なんでも構いません。もしかしたら、いいことがあるかもしれません。 会の終盤には、お楽しみのプレゼントじゃんけんも開催予定です。 今年はどんなプレゼントか、お楽しみに。 満席になり次第、締め切りとさせていただきますので、ご参加ご希望の方は、お早めにお申込ください。 皆さまのご参加、心よりお待ちしております! ■越智隆治スライドトークショー2017 ○日にち:2017年12月23日(土) ○会場:イベントスペース DAIA 〒150-0043 東京都渋谷区道玄坂2-23-12 フォンティスビルB1 https://goo.gl/maps/Naoahs1V9PJ2 ○時間 17:00 受付開始 17:20 スタート 19:40 終了 20:00 完全退出 ※二次会の開催は予定していません ○参加費 7,000円 ※事前のお振込みをお願いしております ○お申込・お問い合わせ ochi@oceana.ne.jp 以下をご記入の上、ご連絡ください。 「件名:越智隆治スライドトークショー2017参加希望」 *お名前: *参加人数: *当日に連絡のつくお電話番号: ※担当者より詳細のご案内をさせていただきます

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INTO THE BLUE では、写真家・越智隆治 が、バハマ、トンガ、フロリダ、マーシャル 、 タイ、フィリピン、南アフリカなどなど、取 材で訪れた各国での体験談や変り種情 報などを、写真や動画と一緒にブログ形 式でつづっています。

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世界中の海を自然環境をテーマに取材を続ける水中写真家。イルカと人の関係に興味を持ち、国内外の多くの海でイルカの撮影を行っている。
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