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Photographer’s Diary

Sat 05
テールフェチ
2013.10.05

宮古島に台風23号が直撃か、というタイミングで取材に来てしまった。当然の事ながら、台風の影響で、潜る事ができないので、山本大司潜水案内人の山本さんご夫妻に案内されて、Moby工房という、貝や真鍮、海岸などに打ち上げられた木材などを使って、オリジナルアクセサリーや家具を手作りで作っているお店を訪ねた。

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到着すると、沢山の木材が店の前に積み上げられていて、その横では、モビー工房店主の富夢(新島富)さんが、木素材を活かした椅子の作成をしていた。山本さんが、「仙人」と呼んでいたその人の風貌は、一目で僕の写欲をかきたてた。アーティストであり、職人。何かを探求し続けてきた人に共通に存在する独特の雰囲気と存在感。

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挨拶をするなり、富夢さんが目をつけたのは、僕がしていた、クジラのテールとフック、それに波の形を合わせたデザインの、マッコウクジラの歯でできたネックレス。先日訪れた、ケアンズでも、同じような彫り物をする人が、「それはどこで手に入れたんだ?素材は何なんだ?」と、突然声をかけてきた事を思い出した。

富夢さんにも、同じ事を聞かれ、トンガで、トンガ人アーティストに作ってもらい、もう6年もお守りみたいに、潜るときも、寝るときも、肌身離さず身につけているものだと説明した。飛行機の離発着時や、海に出る時には、このネックレスを無意識に触るのが癖になった。

その後も、トンガでいくつかのネックレスを手に入れたけど、結局この同じネックレスを6年間、身につけ続けている事も話した。

僕の説明を聞きながら、覗き込むように僕のネックレスを眺める富夢さん、「コーティングはしてあるの?」という質問に「多分してないです」と答えると、「コーティングすると、削れないでもっと長く形が残っているものだよ。やっぱり生き物の一部だからね、海水に浸けてると、水分を含んでしまうから」と教えてくれた。確かに、手に入れてから、ずっと身につけているうちに、このネックレスの周囲が、丸みを帯びて来ているのは分かっていた。

身につけずに、家に保管している他のネックレスは、いまだに、彫り込んだデザインがしっかり残っているけど、このネックレスの彫り込みは、擦れて、少し目立たなくなってきていた。

お店の外観からして、すでに僕の興味をそそるものが多数あるのだろうとは予想できた。お店の外観を撮影して、皆から少し遅れて、店内に入った。その途端、きっと、僕の眠そうな目は、キラキラと見開いていたに違いない。

店内には、貝、真鍮、木材のみならず、クジラの骨や歯などで作られたアクセサリー、しかも、相当に完成度の高い商品・・・・、いや、作品が並んでいた。
「こ、これは、やばい!」すでに、トンガでかなりの数のネックレスを購入して帰ってきたばかり。なのに、ここでこんなものに出会ってしまった。

おそらく、トンガで購入していなかったら、迷わず購入してしまっていたであろう作品。しかし、そんなに興味のない妻に「またこんなに買ってきて、どうするの?」と数日前に言われて、出て来たばかり・・・。

特に気になったのが、やはりマッコウクジラの歯で作られたテールのネックレス。値段は数万円。完成度の高さ、素材を考えると、決して高くは無い。しかも、僕の大好きな、クジラのテール。写真を撮影していても、自分自身相当にテールフェチだと思うくらい、テールに固執して撮影することが多いくらいにテールに魅力を感じる。

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自分にとっては、テールは、イルカやクジラの美しさ、力強さの象徴でもある。15年以上、カメラを通して、このテールを追い求めて来た人生だったわけだから。とは言っても、まだ15年ちょっとだけど。

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「う〜ん、う〜ん」と頭の中で葛藤し続ける。「でも、ネックレスはもう買えないよな。う〜ん、う〜ん」。と、ふと視線を移すと、黒い木の素材で作られた、テールのネックレスが目に付いた。そのテールもかっこいい。「これもかっこいいですね〜」。すると、横にいた寺山君も「あ、ほんとだ、かっこいい、いくらくらいですか?」との質問に、「まあ〜2000円か3000円くらいかな」との答え。「え、そんなに安いんですか?」と再度訪ねると、「まあ、おれんじゃないし」と小声で答える富夢さん。どうやら、フィリピンから来たお弟子さんみたいな人の作品らしい。

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見た目もかっこいいし、値段も安いので、これはいいと思ったけど、個人的には、もし購入するなら富夢さんの作品をと思っていたので、そのネックレスは寺山君に譲った。

「やはりネックレスは、ダメだよな〜。よし、我慢、我慢」とまた見回していると、今度は真鍮のキーホルダーの中に、またしてもクジラのテールのデザインを見つけてしまった。しかも、相当にかっこいいし、テールの付け根部分には、しっかりと「TOM」の名前が彫られていた。

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「あかん、これはあかん!しかもネックレスじゃなくて、キーホルダー」今まで押えてきていた、欲望が、ここで完全に抑制できなくなった。

結局、欲望に負けて、購入し、お礼を言ってお店を出ようとすると、「そのネックレス、もし時間があるなら、コーティングするよ」と突然富夢さんが言ってきた。僕も即座に、「え、いいんですか?時間は十分あります。最低でも12日まではこちらにいますので」と即答していた。

ということで、6年間、マッサージのときに「外して下さい」と言われた以外に外した事の無かったネックレスが、初めて、僕の手、否、首から離れ、富夢さんに託されることになった。

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楽しみだけど、でも、また自分にとっては、宝の山のようなお店を訪れる事を考えると、自分の欲望が押えられるのか、今から不安ではある。


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はじめまして、富夢の長男のテツ申します。
テールの件でお話したいので、よろしければ連絡お願い致します。

初めまして。
 西元と申します。私は毎年宮古島に行っています。
ほとんどがトライアスロン出場の為です。
私もトムさんの工房で何点か購入しました。最近フェースブックを始め、亡くなったトムさんの記事を出そうと思いましたが彼の写真、お店の写真が全くありません。このホームページの写真を使わせてもらうわけにはいかないでしょうか。
よろしくお願いします。

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長くワープフィンを愛用している。クジラやバショウカジキ、シャークダイビングなどは黒の一番硬いワープを使用。イルカ、アシカなど、一緒に泳いだり、回転したりする場合には、少し柔らかめの白のワープを使用している。フィンソックスを使わず、素足で履くので、かなり足にフィットしないと激痛が走ることもあり、なかなか他のフィンに移行できない。 黒を使う理由は、様々で 1/スキューバダイビングの場合は、撮影時にどこかに足をかけたりする場合に汚れたり、傷がつきやすい。なので、白はすぐ汚れてしまうから黒を使用。 2/クジラやバショウカジキなどは、直線で横に泳ぐ場合が多いので堅めの黒を使用。 3/タイガーシャークやスリランカでは、黒いフィンを使用することを奨励しているために黒を使用。 などあるため、黒のフィンを使用する頻度が一番高い。 あとはブレードの長さが、個人的には撮影時にフィンが映り込みにくい長さという感じ。 以前は、フィンのパワーに負けないように、走り込んだり、色々とトレーニングもしていたが、最近は忙しさもあり、ほとんどトレーニングができていない。それに、年齢的にも当然脚力も落ちて来ているんじゃないかな〜と思うところもあった。 そんなとき、以前パラオのデイドリーム取材でお世話になったガイドの遠藤学さんから連絡をもらい、「越智さんには是非使ってみて欲しい」というので、使ってみたのが、このワープフィンの先端を遠藤さん自らがカットしたオリジナルフィン。 遠藤学オリジナル形状フィンとでも言えばいいのか。正直、カットした部分は手作り感満載で、決して綺麗とは言えない。しかし、実際に、タイロケでのダイビングや、その後の奄美でのホエールスイムでも使用してみたところ、これがかなり使いやすかった。 どこが違うのかというと、説明は、以下のブログから https://sandwave.jp/2017/04/5379/ つまり、自分が使用してもこの記事で書いてあることと同じ感覚になるということです。感覚というか、実際に、ブレが無くなり、より自然にスムーズにフィンキックができます。これ、遠藤さんがガイド現役時代に、すっごくお世話になったから言っているわけではありません。「良いものは使う、悪いものは使えない」昔からはっきり物を言ってしまう僕なので、いくらお世話になったからって、お愛想で「これは使えます!」とは言いません。だって、下手したら、命に関わることでもありますからね。 ということで、僕は、白のワープフィンも、この形状にしてもらおうと思っています。 それにこれはあくまで噂でしかないですが、この形状で評判が上がれば、この形状のニューワープフィンが作られる可能性もあるみたいです。あくまで噂ですけど。遠藤学オリジナル形状ワープフィンがプロトタイプのガンダムだとしたら、ジムが量産されるってことですね(古い)。 従来のワープフィンに、プラスカット代で5000円ほど必要になりますが、今までワープフィンを使っていて、少しブレが発生すると感じている皆さまは、是非、新宿のサンドウェーブで遠藤さんにフィンをカットしてもらってください。 僕以外にも、激流の海を潜るガイドの人たちの間でも徐々に噂になってきてる、ある意味「プロ」が認めるフィンになりつつあるのかもしれません。 そのうち、「お、あなたも遠藤学モデルですね。通ですね〜」って海でやり取りするようになるかもですね。 P.S. この記事を書いた直後に遠藤さんから白のワープフィンをカットしたものが送られて来ました。次のアシカスイムで使用してみたいと思います。

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世界中の海を自然環境をテーマに取材を続ける水中写真家。イルカと人の関係に興味を持ち、国内外の多くの海でイルカの撮影を行っている。
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