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子育て日記

Wed 29
ココナッツは母乳の味?
2004.09.29

マーシャル諸島のマジュロ環礁に滞在中、海友のメインの遊び場となったのは、ダイビングボートでポイントに向かう途中に点在する、ほとんど無人に近い小さな島々だった。その中でも一番安心して遊ばせる事ができたのが、マジュロでの人気のダイビングポイントが集まっているカロリン島。

ここには、広々とした綺麗なビーチもあるし、島を管理するマーシャル人のヨシュターさん夫婦が住んでいる。ダイビングショップのスタッフたちとも仲が良かったので、妻と息子をビーチに残してダイビングに出かけても安心だった。

島には沢山のヤシの木が生い茂っている。ココナッツ好きな僕は、以前から、この島で休息するたびに、ヨシュターさんにお願いして採れたての新鮮なココナッツをもらっていた。というか、それがマーシャルでの僕のメインのランチだったのだ。中のジュースを飲み終えると、真ん中から割って、内側の果肉を食べる。これだけで十分お腹いっぱいになるから、特にランチを買ってくる必要も無かった。時には、ワサビ醤油をつけて食べたり、サバみその缶詰をトッピングして食べたりもした。ワサビ醤油をつけると、まるでイカ刺しみたいな味がするので、一度皆さんも試してみると良い。はっきり言って美味!

さて、海友を連れて島を訪れた時も、いつものようにココナッツをもらって飲んでいた。僕がココナッツを飲んでいる様子を、海友が不思議そうに眺めながら、ゆっくりと手を伸ばしてきた。好奇心旺盛な年齢だから何でも欲しがる。もう無理矢理奪い取らんばかりに、僕の飲んでいたココナッツの実を抱え込み、飲み始めた。

こちらもどんな反応示すか見てみたかったので、奴の好きにさせてみた。すると、一口飲んだ途端に目を輝かせ、実をさらにわしづかみにし、「絶対に返さない」とばかりにごくごくと飲み始めたのだ。いつしか目は恍惚として、まるで母乳を飲んでいるときのような表情を見せていた。

結局、半分ほど残っていたはずのココナッツジュースは、あっと言う間に飲み干されてしまった。ついでに果肉も食べるか試してみたのだが、これもどうやらかなり好きなようで、切れ端を渡すと、奪い取るように食べ始めた。あまりにもココナッツに対する興奮の仕方が面白いので、以後、この島に来ると毎回のようにココナッツを飲ませていた。

ヨシュターさんのところにも、海友よりちょっと小さな赤ちゃんがいた。「自分の子供なの?」と聞くと、「娘の最初の子供を養子にもらったんだ。娘は今グアムにいるよ」と言っていた。娘の長男を養子にもらうなんて、日本だとかなり珍しい事だけど、マーシャルでは案外普通の事らしい。若くして子供を生んでしまって、経験も無くて育てられないので、両親や年配の親族に養子に出す事は良くある事だそうだ。

当然ヨシュターさんの奥さんは、母親では無いので、母乳が出ない。この島から町までは、ボートで1時間近くかかるし、彼ら以外住んでいない島で、赤ちゃんのミルクはどうしてるのかと聞いたら「ココナッツを飲ませてる」と言う返事。母乳のかわりに、ココナッツを飲ませるのも、マーシャルではいまだに普通の事だそうだ。

それにしても、ココナッツの事を知れば知る程すごいと思う。のどが乾けば飲み物にもなるし、中の果肉は食べ物になる。外皮は繊維として使えるし、大きな葉っぱは家にもなる。乾燥させればコプラとして燃料にもなるし、石けんや洗剤、化粧品にもなる。とにかく使えないところが無いくらいに見事に利用価値があるのだ。それに環境にも優しい。温暖化の影響が強いマーシャルでは、このココナツオイルをディーゼルのかわりに使って車を動かせる開発が行われ、今年の4月から実際に市販され使われている。

昔からココナッツ好きな僕にとっては、海友だけでなく赤ちゃんのための母乳かわりになると分かって、ますますココナッツの素晴らしさを再認識させられた。

旅行先で、木になっている食べ慣れない果汁を、赤ちゃんにそのまま飲ますのは気が進まないと思うけど、ココナッツは一度試されてみてはいかがでしょうか。

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