モルジブ出発前日、久しぶりに友人からブライダルの撮影を頼まれた。と言っても結婚式や披露宴会場での撮影ではなくて、二人の思い出の場所での撮影

僕もミナ（妻）も、以前、同じブライダル撮影の会社から頼まれて、ウェディングの撮影をしていた時期がある。その会社は、「外国人カメラマンが撮影する、手焼きのセピア写真」を売りにしていて、それが人気だったのか、数名の外国人カメラマンが週末になると、アシスタントの日本人女性と一緒に、都内のおしゃれなウエディング会場での撮影を行っていた。外国人カメランと言っても、全員が全員プロというわけではなかった。ある程度撮影できれば、外国人であれば、その事の方が優先されていた。

そのアシスタント役をミナが行いっていた。僕の方はと言うと、「外国人」ではないのだけど、当時は新聞社でプロのカメラマンとして働いていたので、どうしても、外国人カメラマンの手が足りない場合、セピアの写真であれば、別に外国人にこだわらないカップルの場合に限り、依頼をされていた。

しかし、ほとんどの場合、僕はアシスタントをつけてもらえなかった。言葉の問題も無いし、「写真が上手いから」ということだった。

ミナは、そのブライダルの仕事が大好きだった。もともと、人の幸せにしてる姿を見るのが好きだったのもあるのだけど、とにかく、式場に行っては、仕事だというのに、しょっちゅう、感動してもらい泣きして帰ってきていた。

そして、久しぶりに頼まれたブライダル撮影。もちろん、頼まれたのは僕の方だけど、一番張り切っていたのは、妻の方だった。撮影中も楽しくて楽しくて、幸せでしょうがないらしく、友人のウェディングドレス姿を見ては、「素敵～」、「かわいい～」を連発しまくっていた。

彼女がお世辞でなく、本心から言ってることは、嬉しそうな表情を見れば一目瞭然だった。友人の幸せを、心から祝福していた。

僕はと言えば、もちろん祝福しているから、二人の幸せな表情をなんとか撮影しようとつとめた。けど、感情を表に出すのが苦手なので、こういう時に限って、ぶっきらぼうな態度になってしまう。悪いクセだ。

しかし、撮影するには越えなければいけない障害が立ちはだかっていた。海友と颯友だ。

こういう撮影には初めて連れてでかけた。予想通り、ヤップから帰国直後の二人は、抑制のかけらもなく、はしゃぎ回ってくれた。特に、レフ版には、多いに興味をしめし、必要なシーンで、兄弟で奪い合いを始めるし、ビデオを撮影する友人には、まとわりつき、いたずらをする。

靴を引きはがそうとする海友に、脇腹にパンチを食らわす颯友。おめでたいブライダル撮影なのに、なぜかばりばり戦闘モードだ。しまいには、撮影してるにも関わらず、二人で肩車をせまってくる。

移動して、外での撮影でも、演出のために「しゃぼん玉する！」のはいいのだけど、近すぎるって。写真に入り込んでんじゃん。それに、シャボン玉に夢中で笑顔無いし、颯友に至っては、入り込む位置でそっぽ向いてて、呼んでも返事すらしないし。もうてんやわんやだった。

そしても、もう一つ、困ったことは、ミナの超やる気。僕がもう十分と思っても、「え、もう終わりなの？」「このアングルは、このアングルは」。「こういうのも撮りたいな～、あ～いうのも撮りたいな～」と楽しさがつきないらしい。

まあ、楽しんでるからいいんだけどさ。

外での撮影は、スタジオ兼乗馬クラブで行っていた。たまたま乗馬をしていた、女性二人に、一緒に写ってもらって、記念の撮影。

詳しくは書かないけれど、実は、このお二人にとっても、この日は、愛する馬たちとのとても重要な日だったということで、ブライダルの撮影を一時中断して、モデルになってもらったお礼に、記念の写真を少し撮影してあげることにした。

子供たちのおかげで、大変だったけど、色々な意味で、いろんな人の思い出に残る１日に、立ち会えた事は、とても幸せなことだった。

疲れてたけど、帰宅してからの、ミナの超上機嫌振りを見てるだけで、幸せになれた。

二人の披露宴は、二男颯友の誕生日の１１月３日、無事に終わっているはず。写真セレクト間に合ったかな。気に入った写真があったのか心配だけど、おめでとう。