生まれた直後、狭い産道を通過して、細長く変形していた頭でこの世に出てきてしばらくは、ウネウネと奇妙な動きと、焦点の定まらなに不可思議な表情のせいで、本当に捕らえられた宇宙人にしか見えなかった。顔も圧迫されていた名残なのか、はれぼったいし。

それが、おっぱいを飲みだして、少し落ち着いてくると、はれも引き、表情にも多少落ち着きができてくる。「お、ちょっと可愛くなってきたかな～」と思える、ほんのつかの間の時期だ。しかし、寝入っているときには穏やかな表情も、泣き叫ぶと、やっぱり破顔して、宇宙人に見えてしまう。

それからさらに少し日数が進むと、宇宙人は、表情筋も少しづつ発達し、猿に進化を遂げる。おでこのシワも様になり、おっぱいを飲むときに、ちょと上目使いに（実際には見えていないのだろうけど）なったときなど、本当に小猿の乳のみ状態で、不細工で笑える。手足は細く、特に足はおむつの横に収納されているかのような見事な形で収まってしまって、まるで鳥の足みたいで面白い。わざと伸ばして、うぃ～んと収納されていく様子を見るのがとてつもなく快感だった。

この猿の時期も生まれてほんの10数日で過ぎ、毎日おっぱいをたらふく飲んで寝続けるため、猿は、とうとう、そして、ついに豚へと進化を遂げる。この期間はサイズの違いこそあれ、数ヶ月に渡って続く。少なくとも、海友は奴のアルバムを見る限り、どう短めに見積もっても、生後7~8ヶ月は豚だった。当時は、「ちょっと～、マジかわいくない～？」と人前で堂々と問う妻に。「うん、超かわいい～」と何の疑問も持たずにお互い若い親ぶって答えていたわけだが、アルバムを見るにつけ、今さらながらに、迂闊だったと・・・、親ばかだったと、否、ただのバカな親だったとちょっと反省したりして（本当にちょっとだけだけど）。でも、今のような世の中、ノウテンキで明るい親ばかは必要だと思うんだけど。

今の颯友がまさに、猿から豚への進化を遂げる段階に入っている。心なしかおっぱいを求める泣き声も「ぶひぶひ」と聞こえる。ほほは肉が付き、下膨れ顔になり、身体もふくよかになってくる。特におむつを代えるときに、丸くなったお尻を見て、（あ～、太ったな～、これからしばらくは、豚になていくんだな～）と感じる。

この段階に入る上で、とても悲しいのは、見事に収納されていた足が、肉に邪魔されて収納できなくなって、だらしなく投げ出され、放置されていくことだ。それが、自分にっては一番悲しい赤ちゃんの“進化”の過程だ。

今日の撮影機材：Canon EOS 5D + 100mm macro