長男の海友が2歳の頃、たわいも無いことで、妻と口論になったとき、海友は口げんかをする僕たちの下に来て、二人を見上げながら、「たったらったらた～、らったらったら～」と機関車トーマスの歌を大声で、しかも笑顔で歌い続けた。僕らを必死になって笑わせようとする健気な姿に、お互い、これ以上喧嘩してはいけないと、思った。

先日ヤップでも、夜に妻と喧嘩をした。海友はそんな僕と妻の間に入り、母親と一緒に折り紙で作った紙飛行機を僕に見せて「ねー、これかっこいいでしょ。ママと作ったんだー」と言って、僕の方に向かってその紙飛行機を何度も何度も飛ばしてみせる。僕は「かっこいいね～」と答える。

そして、「今度はパパと何か作りたい」と言って折り紙を持ってくる。「何作る？」と聞くと、「これ」と言って、折り紙の本を開いて指差したのは、メンコ。「いいよ」と言って、僕は折り紙を折り始める。妻はそれを黙って見ている。

2枚の折り紙で1個のメンコを作って、海友に渡すと、即座に「見てママー、パパに作ってもらったんだ～」と母親に見せる。「よかったね～」と優しく答える妻。

「あとこれだけ作って」と言いながら、海友はさらに6枚の折り紙を持ってきて、僕に渡す。「いいよ」と言って、さらに3個のメンコを作る。1個作るたびに海友に渡すと、その度に、「ママー、ほら、見て、またパパに作ってもらったんだ～」と母親に見せる。
妻は「よかったね～」とその度に答える。

「今日はこれでおしまい」と海友に言うと、「明日もメンコ作ってね。ママに見せるから」と言って、紙飛行機と、作ったメンコを枕もとに置いて、僕と妻の間に入って眠りについた。

自分が長男と同じ年齢の頃、両親が喧嘩したときに、こんな風にしていたのだろか。喧嘩する二人を見ながら、兄や弟と一緒にただ泣いていただけか、別の部屋にいる祖父母の下へ逃げ込んでしまっていたような気がする。

次男の颯友は、まだ小さいからか、喧嘩する僕と妻の横で爆睡していた。もう少し大きくなったら、そんな両親を前に、どんな対応をするのだろう。

困ったのは、これ以後、何かにつけて海友が「メンコ作って～」とせがむこと。すでにメンコの数は20個を越えている。海友にとっては、メンコを作ることが僕と妻が仲良くしてくれるおまじないのように感じているのかもしれない。言っておくけど、そんなに喧嘩してないからね。