颯友の最近のマイブームは挨拶。お客さんが来たりしたときは当然のことながら、外で誰か知らない人が通り過ぎても、「こんにちは～」と挨拶する。

しっかり挨拶することは、とてもいいことなので、「こんにちは～」と挨拶するたびに、「えらいね～」とほめてあげているのだけど、それがよっぽど嬉しかったのか、先日、新しいテレビの取り付けに来てくれたおにいさんが作業中に、前を通過するたびに、顔を覗き込んで「こんにちは～」。

僕らにテレビの操作の説明をしている最中にも割り込んできて、お兄さんの顔を覗き込み「こんにちは～」を繰り返す。

とても優しいお兄さんだったので、その度に笑顔で「あ、こんにちは～」とちゃんと挨拶をかえしてくれていたのだけど、おかげで、説明が中断して、どう操作すればいいのかまったくわからなかった。

外でも、一緒に歩いていて、通り過ぎる知らない人にまで「こんにちは～」と挨拶をする。
しかし、ほとんどの場合、気づかれないか、無視されることが多い。

「こんにちは～」と挨拶したあと、立ち止まって、後ろを振り返り、遠ざかって行くその人が挨拶してくれるのを期待して待っている姿を見ているのはちょっと忍びない。そういうときは、自分がかわりに「こんにちは～、えらいね～、ハヤティーは」と、普段より大げさにほめてあげるようにしている。

そのせいか、今も無視されながらも、挨拶を続けている・・・のだが・・。
この前も、通り過ぎる人に、毎回挨拶をしていた。やはり大抵無視されているので、僕が同じように、「こんにちは～、えらいね、ハヤティー」と褒め称えていたのだけど、どうも途中から妙なことに気づき始めた。

奴の挨拶、どうもあやしい・・・。

次に通り過ぎたのは、近所の知り合いの人だった。僕は耳をすまして、奴の挨拶を聞いていた。

「ウンチは～」

「はい、こんにちは、えらいはね～」

「ウンチは～」

「はいはい、こんにちは。颯友君、えらいですね～、ちゃんと元気に挨拶できて～」

「・・・・、あ、ありがとうございます」

その人が立ち去った後、次に通過する人に挨拶する颯友の言葉を、また慎重に聞いてみた・・。

「ウンチは～」

「・・・・・やっぱ、うんちだ・・・」

前からそうだったのか、あまりに無視されることが多いから、ちゃんと挨拶を返さない大人たちへの皮肉のつもりで、こんな挨拶をするようになったのか・・・（まあ、それはありえないと思うけど）。

でも、心なしか、前は無視されてさびしそうにしてるように見えていたのだけど、それ以来、無視されても、その人の後姿を見送りながら、「にや」っとたくらみ笑いをして、再び歩き出す、颯友の姿をたのもしく感じちゃったり・・・。

もちろん、「うんちじゃないでしょ、こ・ん・に・ち・はでしょ」と訂正は入れるのだが、直るわけもなく、しばらくはこの挨拶が颯友のマイブ～ムになりそうだ。

写真は、エスカレートしてきた、変なポーズを取る、颯友。