食事中、海友と颯友がはしゃぎ過ぎて、コップの水をぶちまけた。まあ、いつものことなんだけど、その後、母親にしかられるときの、二人のは反応の違いが面白い。「何やってるの！も～！」という妻の声に、長男の海友は、即座に「ごめなんさ～い」と謝る。

これはいつものことで、まあ誤ったからといって、次から二度としなくなるかと言えば、そんなことは全く無くて、毎日同じ事の繰り返しだ。

しかし、二男の颯友は、絶対に謝らない。「ごめんなさいは！」と聞いても、口を真一文字に曲げている。「ごめんなさいちゃんと言えないとだめだでしょ！」とさらい追い打ちをかけるが、奴は断固としてあやまらない。それどころか責められれば責められるほど、口を固く閉ざし、目もつぶり、顔をそ向け始める。

その様子がおかしくて、僕は吹き出しそうになるのだが、「そこで笑うから、調子に乗ってあやまらなくなるのんでしょ！」と妻に一喝されて、僕もすぐに、口を真一文字にむすぶ。

そして、またモノでつる僕。「はやと～、あやまれないなら、この前おじいちゃんとおば～ちゃんに買ってもらった、シンケンジャーのウッドスピアとウォーターアローは、もう使わせないからな～」。このウッドスピアーとウォーターアローは、今颯友の一番のお気に入りで、兄海友にも絶対貸そうとしないくらいに気に入っている。

まあ、以前のプリキュア好きに比べたら、父としては、嬉しいことではあるのだけど、とにかく、少しでも触ろうとすると、飛びかかって、奪い返しにくるくらい気に入っている。

そんなおもちゃを、僕が、「もうこれおじいちゃんとおば～ちゃんに返すからな～」と言えば、きっと泣きながら謝るに違いないと思ったのだけど、一瞬ひるんだような表情を見せた颯友だったが、そこでまた歯を食いしばり、ちょっと泣きそうになりながらも、「いらない！、いらない！」と言いながら、真一文字の口のまま顔を背けた。

「どこまで、頑固なやつ・・」

そんな颯友の横で「はやと～、あやまりな、でないとウッドスピアとウォーターアローパパに持っていかれちゃうよ」と説得する兄、海友。しかし、それでもあやまらない。

とにかく、長男に比べて、とてつもなく頑固な二男なのだけど、その様子が面白くて、僕はとても気になってしまう。

他にも、いろいろ・・・

友達の家に遊びに行って、古いアニメ番組のビデオを借りてきた颯友は、「これ見たい～」と言いながら、もうあまり使わなくなったビデオデッキに、ビデオを入れようとする。その様子を眺めていたら、「パパ～、これこわれれんの？」とデッキを指さす。

「え、こわれてないよ」と答える

颯友「これこわれてんの？」

父「え、こわれてないよ」

颯友「これこわれんてんの？｝

父「こわれてないよって」

颯友「これ、こわれてんの？」

父「・・・、だから、こわれてないって」

颯友「ちがう～、これこわれてんの～！」

父「だ～か～ら～、こわれてないってば」

颯友「いや～、こわれてるっていって～」と泣き出すから、

父「はいはい、じゃあ、こわれてる」

颯友「こわれてない～！」

父「・・・なんなんだよいったい・・・」

他にも、最近長くなった髪の毛を母に切ってもらっている颯友を見て、

父「お、はやてぃ～、かわいくなったじゃん～」

颯友「かわいくない～！」

父「え～、じゃあ～、かっこよくなったじゃん～」

颯友「かっこいくない～！」

父「え、かっこいいよ～」

颯友「かっこいくないの～！」

父「かっこいいって～」

颯友「ちがう～、かっこいくない～！」

父「はいはい、わかったよ。じゃあ、かっこよくない～」

颯友「んふふ・・」

父「・・・、な、何でそこで含み笑いするんだよ、おまえ・・・」

というような会話が、よく父と息子との間で交わされている。