あと少しでバハマのドルフィンクルーズに出発する。少し前にも書いたけど、今回は５歳の長男海友と、僕の二人で、１週目のゲストの人たちとバハマに向かう。

５歳になる今まで、実は海友は、母親と別々に寝たことが一度も無い。一か月半、離れ離れになることは、息子だけでなく、母親にとっても辛いことのようだ。

いつもなら、ギリギリにならないと荷物をスーツケースに詰め込まない妻が、今回はもうすでに、息子のために入念に荷物を詰め終えた。それぞれ、ビニール袋で仕分けされた衣類やおもちゃの袋には、マジックで、「Kaito`s toy 2nd week」、「Kaito`s toy 3rd week」、「Kaito`s cloth」・・・などと書かれ、僕がすぐにわかるようにしてくれている。

「おもちゃは、一度に全部出すとすぐ飽きちゃうから、小出しにしてね」。「これが、●●のお薬、これが■□のお薬、苦いから、これあげるときは、スナックと一緒に混ぜてあげるようにしてね」。「カタカナやひらがなの練習ドリルは１日２ページでいいから」。「こっちの算数とか、迷路の方は海友が好きだから、あっという間に終わらせちゃうと思うけど、ちゃんと見ててあげないと、読まずに適当にやっちゃうから、これするときはちゃんとついててあげてね」。「洋服は沢山あるから、買わなくていいからね」・・・・・・。

普段のように一緒に行くときだったら、きっと「はい、はい」と返事しておきながら、軽く右耳から左耳に受け流していることなのだけど、今回はそういうわけにはいかない。僕も多少は真剣に話を聞いていた。

まだ出発まで数日間あるのに、すでに、海友の方のスーツケースは準備万端だ。それに比べて、僕のスーツケースは、まだ先日の沖縄ロケの時に持っていった機材がそのまま無造作に入れてある。もちろん、衣類は出して洗ってるけど。

海友は、１か月半、母親と離れて船上生活することを、今どんな風に感じているのだろうか？ベッドでは、今だに母親に甘えて寝ている。僕がたまに、「バハマはパパと二人なんだから、たまには一緒に寝ようぜ～」と言っても「いや～！」と言いながらがしっと母親にしがみつく。そんな息子を、「大好きだよ、海友」と妻は優しく抱きしめる。

二男の颯友は、その反対側にいて、その様子を見ると、兄に対抗して、「はやとも～」と言いながら、必死になって母親と兄に覆いかぶさり、まるでサルの母子状態。

蚊帳の外の僕は、その様子を見て、そそくさと仕事部屋へと戻って、仕事を再開する。そして、「大丈夫かな・・・」と少し心配になるのだけど。

せめて、少しは息子との交流をはからなくては、と悩んでいるときに、ゲストの方が家に遊びに来てくれて、おみやげにポケモンカードゲームをくれた。、今二人でそれにハマっていて、親睦を深めている。きっとバハマの船上でもこのカードゲームに親子して真剣に取り組んでいるに違いない。

今朝、幼稚園に行く前、海友にこっそり「海友～、あたらしく、カード欲しいだろ、パルキアとかディアルガとか、ギラティナとかさ～」。「うん！欲しい！あと、ダークライに、ゴウカザル、モウカザル、ポッタイシにエンペルトも欲しい！！！」。

父　「し～、声がでかいよ。ママに聞こえたらだめって言われるだろ。だから内緒で幼稚園から帰ったら一緒に買いにいこうぜ、な」。　

海友　「うん！！！、行く！！！！！」

父　「だから、し～、しずかに」

海友　「うん！！！」

父　「ママには内緒だぞ、男の約束だぞ」。

海友「うん！！！！」。

父　「だから、声でかいって～」。

と、旅行を前にして、息子と初めて男同志の約束などしてみて、親睦を深めてみた。

その後、僕は仕事部屋に行き、ちょっとドアを開けて仕事をしていると、朝食を食べながら、母親と話をする海友の嬉しそうな声が聞こえてきた。

海友　「ママ～！あのね～、今日ポケモンカード買いに行くよ～！！」

父　（・・・え？え～？・・）

母　「え～、何言ってるの～、もう充分あるじゃない。余計なもの買わなくていいわよ！」

海友　「だって、パパがママに内緒で一緒に買いに行くって言ったんだもん！！」

母　「え～～～、何それ～～～」

父　（え～～～、何それ～～～、ってそれはオレのセリフだろ～）

と、ここで仕事部屋から飛び出す僕

父　「おい、お前～、男の約束って言ったばっかじゃん！何でママに言うんだよ。もう約束破ったから、一緒には買いにいかないぞ！！」

海友　「え～～～！！」

母　「一緒には買いに行かなくても、一人で行くんでしょ」

父　「う・・・・。いや、ほら、向こう行ってるときに、ホームシックになったりしたら、１個づつ小出しにすればきっと喜ぶじゃん・・・と思ってさ」

母　「ふ～ん、良い言い訳ね。本当は自分が欲しいんでしょ」

父　「う・・・・・」

まるっきり、心を見透かされている・・。たかがポケモンカードで罪悪感を感じる父なのでした。
息子に対する母の思いに比べて、父の思いなんて、まあ、こんな程度です。はは・・。