悪戯や喧嘩をして、叱られたときの息子たちの反応に関して、以前書いたことがある。いくら叱られても、へらへらして、あまり気にしてなさそうな二男に比べて、長男は、いつも涙で目を潤ませて、ポロポロと大粒の涙を流す。

二男はそんな態度だし、泣く時も豪快に泣き叫ぶので、不憫とか、かわいそうとかあまり感じなくて、睨みつけながらも、つい笑いをこらえてしまうのだけど、長男の悲しそうな顔を見ていると、なんとも言えない気持ちになる。

これ以上叱らない方がいいのかも、とか、そういうことではなくて、男の子なのに、あまりに素直に涙を流しすぎるのが、歯がゆいというか、この先、大丈夫だろうかという不安と苛立ち。「まだ、６歳でしょ」と言われるかもしれないけど、自分が６歳のときには、もう人前で泣くのが悔しかったように思う（定かではないけど）。

そんな不安を感じていたから、最近は長男がそんな風に泣くと、「男なのに、人前で涙を見せるな！叱られて泣くくらいなら、喧嘩するな！」と叱る事が多くなった。そんな風に叱ると、奴は、カーテンの裏に隠れて、必死に涙をこらえるようになった。カーテンの裏でヒックヒックと必死に涙をこらえている声が聞こえると、胸が痛んだ。

今回、少し長く日本にいて、長男とのそんなやり取りが、何度か続いた。そして、昨日、ポンペイ出発のために、成田に向かう直前のこと、また息子たちが喧嘩を始めた。

その原因が、どちらが悪いか微妙な状況だったのだけど、二男が熱を出して体調も悪かったし、いずれにしても、弟に対して、もう少し優しくできる子になって欲しいと思った事もあった（外で会う小さな子には、とても優しいのだけど）し、またしばらく僕が家にいれなくなるから、長男には、しっかりして欲しかったから、少し厳しく叱りつけた。

いつものように、また大粒の涙を見せて泣くものと思っていたのに、この時の長男は、目を一切そらさず、叱りつける僕を、歯を食いしばって、下から睨み続けた。

その様子を見て、僕は嬉しくて笑顔になるのを必死でこらえていた。子供たちは、外見だけでなく、心の中も少しずつ、少しずつ成長している。母親と初めて離れてバハマに行ったときもそうだったけど、長男に対して、たくましいと感じられる時、奴は間違いなく「自分がしっかりしなきゃ」と幼いながらに、自分に言い聞かせている。

恐い顔を維持できなくなった僕は、長男の頭をくしゃくしゃに撫でて、「よ～し、もういいぞ」と誤摩化した。顔を見合わせて、二人で笑った。長男が僕の足に嬉しそうにしがみついてきた。