INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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南アフリカ サファリトリップ

南アフリカから帰国。野生動物たちの現状1

2010.10.19 / Author.

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一昨日、南アフリカから帰国した。今回は、天気はイマイチだったけど、ビッグ5と呼ばれる、ライオン、ゾウ、サイ、ヒョウ、バッファローの全てを見ることができた。
海の生物とは比較にならないくらい、陸上の動物たちの生息環境の激変は、深刻だ。海の生物は、自分たちの生息域が限定されてしまったわけではない。しかし、200〜300年前、アフリカ全域を自由に移動していた野生動物たちは、今この図の緑の部分に閉じ込められてしまっている。
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緑の部分は、国立公園等の野生動物保護区域。僕たちが訪れたクルーガーナショナルパークは、日本の四国と同じ大きさ。日本人にとって、単純に考えれば、それだけ広大な国立公園であれば、多くの野生動物が生息していけるだけの規模ではないかと思うだろう。
しかし、この広大なエリアでさえ、まともに生息できるアフリカゾウの個体数は、およそ8000頭と考えられている。
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それ以上多くなると,自分たちの食事のために、国立公園内の木々をなぎ倒してしまい、他の野生動物が生息できなくなってしまうのだという。昔は、象牙が密猟者に狙われて、多くのアフリカゾウが殺された。そのために、個体数が激減し、ゾウだけを過度なまでに保護してしまったために、今では、アフリカゾウの数が増えすぎてしまい、クルーガーナショナルパークでのゾウの個体数は、12000頭を越えてしまった。
そのために、4000頭のゾウを間引かなければいけなくなっているのだそうだ。公園周辺にある、プライベートサファリへ無料でゾウを譲り渡したりしているものの、プライベートサファリでも、ゾウによる樹木の被害を懸念して、それほど多くを受け入れてはくれない。結局は、間引くという選択肢を選ばざるおえないのだろうか。
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この鳥の名前はグランドホーンビル。絶滅の危機にある鳥だ。個体数が激減している理由はいくつかあるのだが、その一つには、ゾウの個体数の増加が上げられている。この鳥は、大きな木のほこらのようなところに卵を産む。しかし、ゾウの増加によって、そいうう大きな木でさえ、なぎ倒されて、生息環境を奪われていることもその理由の一つに上げられている。
インパラやウォーターバックといったアンテロープ系の動物が増え過ぎてしまった場合には、ハンティングすることで、数の調整を行なっているにも関わらず、ゾウの数をそのような方法で間引くと、世界中の世論が注目し、反対することも、問題になっている。ある特定の野生動物だけを過度に保護した結果、他の野生動物の生息環境を破壊し、絶滅に追いやっているわけだ。
クルーガーナショナルパークは、年々整備されて、一般の観光客が気軽に野生動物の生息地に足を運べるようになってきている。ディズニーランドに家族で遊びに行くような感覚に等しくなっているようにも感じた。気軽に野生動物を身近に体感することができるようになった事は、果たして、良いことなのだろうかと疑問に感じたりもした。
気軽に野生動物との交流が楽しめている現状の裏側では、多くの矛盾や問題が発生していることも、知っておくべきではないか。ただ、野生動物を見て感動し、写真を撮影して喜んでいるだけでは、済まされない現状があることを。。。個人的は、そう強く感じさせられた南アフリカ訪問だった。

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