INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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ボランティア歯科医師が見たフィリピン避難センターと、子どもたちの笑顔

2013.11.22 / Author.

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2013年11月21日。
レイテ島のタクロバンから海軍の船で逃れてきた人々が身を寄せる、マクタン島の避難センターを訪れた。
目的は、BLUE CORALのリピーターでもある、ダイバーで歯科医師の青井良太先生による被災者に対しての歯科往診。
訪れた避難センターには、先日3000人規模で海軍の輸送船に乗ってマクタン島に到着した人々が生活する。
室内バスケットスタジアムには、124人が収容されていた。
現在、このような避難センターは、マクタン島、セブシティ合わせて4~5カ所ある。
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往診では、主に子供たちの歯の具合をチェック。
多くの子供たちが、かなりの虫歯を持っていて、「これはひどいな~。よく我慢できてるな」と青井先生も驚くほど。
虫歯は万病の元。
「本当はここで治療してあげたいけど、今回は虫歯の多い子の名前をリストアップして、親や避難センターのスタッフに、少しでも早く治療するようにと促す事しかできない」
青井先生は、歯科医師としての1年目、勤務医として神戸の歯科医院につとめていた当時、阪神淡路大震災に遭遇。
直後、「何かできる事をしなければ」と、多くの歯科医院が休業する中、院長を説得して病院を開け、かつ被災地を4輪駆動車に乗って往診に回った。
東北の津波の時も、陸の孤島となった気仙沼大島や女川などの被災地を数回訪れて、ボランティアで、被災者への往診を行なった。
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<気仙沼大島で被災者の子供たちに、往診する青井先生>
今回も、台風ハイエンの被害が報道され、facebookなどで直後から物資援助に動くBLUE CORALのヒロさんの活動を知り、「支援金での援助もできたのだけど、知り合いが頑張っている姿を見たら、自分も現地に行って、できることをしなければと思って」と仕事のタイミングを見計らい、駆けつけた。
いずれも、行政と関わらない飛び込み往診。
周囲から心配されたり、非難される事もあったが、「最前線医療もできないで、最先端医療だけ求めるのは、自分の主義ではない」と被災地への往診を続けたことも。
「現場に行って何かしなきゃって思うのは、母親の影響かもしれないですね」という先生のお母さんは、内戦後のカンボジアの孤児院を訪れて、孤児たちへのボランティア活動を今なお続けているそうだ。
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今回は、単独で訪れたが、この経験を活かして、青井先生が行なっている歯科医師への講習会などで志願者を募り、「一緒にセブに来て、(風評被害の支援として)ダイビングを楽しみつつ、被災者へのこうした支援ができればと考えている」とのこと。
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往診後は、日本から持ってきた、歯ブラシと使い捨ての内視鏡を被災者に配って回った。
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ここにいる多くの人が望むのは、支援物資ではなく、自分たちの身寄りのいる都市へ行くための移動費用。
「支援物資は足りている」とここにいる多くの人が口にする。
しかし、いつまでもこの避難センターで、共同生活を続けることは彼等にとっては苦痛だ。
取材中に、一人の若い男性が声をかけてきた。
タクロバンで家族5人で暮らしていたが、自分以外は台風で命を落とし、ここには一人で収容された。
身寄りのいるミンダナオ島の町までのチケットを希望していて、希望者リストに名前を書いてはいるけど、なかなか出してもらえない。
と窮状を訴えてきて、チケットを買ってもらえないかと言ってきた。
避難センターを訪れた海外からのボランティアに、こういう訴えをする被災者も少なくないと聞いた。
何もかも失って、失望する大人たちの中で、小さな子供たちの笑顔が多くあることは、小さな救いだなと感じた。
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