INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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台風直撃後のパラオのおかしな状態、なぜ何種類もの魚が群れるのか?

2012.12.08 / Author.

12月7日からパラオのブルーマーリンさんで、パラオロケを開始した。
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2日にパラオを直撃した台風24号(Bopha)は、パラオの東岸と南のペリリュー島やアンガウル島などのライフラインに大きな被害をもたらし、国家非常事態宣言が出されたが、人的被害は無かったようだ。
台風直後の海は、ブルーコーナーでさえ、まるでロックアイランドのミルキーウエイのような透明度だったそうだ。
しかし、7日、ブルーコーナーに潜ったが、通常より多少悪いかな、くらいで、いつものパラオの海に戻ってきているようだった。
浅場のサンゴの被害も見受けられなかった。
ただ、おかしな現象が一つ。
これは台風直後からの事なのだけど、ブルーコーナーの先端などに、今の時期は群れないはずの、ツノダシやミヤコテングハギなどが大きな群れを作っていたり、その他にも、サザナミハギ、ツマリテングハギ、ヒレナガハギなどのハギ系や、ヤシャベラやヒメブダイなどのべラ、ブダイ系、そしてセグロチョウチョウウオ、ニセフウライチョウチョウウオ、スダレチョウチョウウオ、トゲチョウチョウウオなどのチョウチョウウオ系の魚たちも群れを形成して泳ぎ回っていた。
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「こんなに一度に、何種類も群れを形成するなんておかしいですよ」とガイドの富永君。
捕食のために集まっているというよりは、明らかに産卵行動のために、群れを形成しているかのよう。
自分は見ていないのだけど、6日には、ツノダシの群れの数が数百匹程になっているのが目撃され、その日も、7日にもミヤコテングハギの群れと一緒に見ることができた。
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ツノダシが産卵のために群れるのは、通常は1月と2月の満月の頃という期間限定。
そしてミヤコテングハギは、1月、2月、3月の新月周りが普通だ。
だから、この2つの群れが、年も明けないうちから同時に見れてしまう事自体が相当に珍しいわけだ。
参照:ペリリュー発 期間限定! 群れBIG5 by Day Dream Peleliu Dtation
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ミヤコテングハギの群れにしても、通常産卵のために群れを形成している場合には、その種だけなのに、今回は、サザナミハギ、ツマリテングハギ、ヒレナガハギなどが一緒に群れていた。
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グレーリーフシャークやホワイトチップシャークがアタックをしかけるその群れには、時にニセフウライチョウチョウウオやスダレチョウチョウウオの群れが混在していた。
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何故、台風直後にこのような現象が起きたのか?
パラオに台風が直撃したのは、今から何十年も前のことで、そのときに同じような現象が起きたかどうかなんて到底記録も無いだろう。
で、富永君と二人、色々な仮説を立ててみた。
台風という危機的状況にあって、魚たちがストレスを感じ、急ぎ子孫を残さなければいけないという本能が働いたのか?
もし、そうだとしたら、頻繁に台風が直撃する沖縄などでも、そのような現象が起きていて、目撃されているのだろうか?だがあまり聞いた事は無い。
沖縄ではそういう状況が目撃されたという話を聞かないのは、単に魚の個体数が少ないだけだからだろうか?
台風直後、ブルーコーナーでは、激流が続いていた。
それが数日間続いている。
ラグーンの中に普段より多く流れ込んだ海水が一気に外に押し出されているために、このような激流が発生しているのだろうか?
で、思ったのが、バリアリーフによって守られたラグーンの中から吐き出される大量の海水のよって、沖だしの流れが長く続き、ある種の魚たちにとって、通常の生活パターンを崩してまで、産卵行動に走ってしまう程の「格好の産卵条件」がそろってしまったのではないか?ということだ。
ブルーコーナーでは、時に激流は発生するものではないかと思う人もいるだろう。
しかし、それは単発的な発生であって、今回のように長時間に渡って激流が続いているわけではない。
その流れを察知した魚たちが、ここぞ、とばかりに集まってきてしまったのだろうか?
沖縄には、バリアリーフで守られたパラオのような環境が無いから、台風後にこのような激流が発生することも無いために、「絶好の産卵条件」というものが発生しないだけなのかもしれない。
とまあ、こんな感じ。
色々書いてみたけど、あくまで想像の域を越えない。
しかし、もし今回の激流で、産卵を済ませてしまったとしたら、年明けにツノダシやミヤコテングハギは、通常のパターンで群れを形成するのだろうか?
パラオにいる、全ての個体が集まったわけではないだろうから、来月には集まるのだろけど、もし集まらなければ、それはそれで、また面白い。

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