INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

Photographer Takaji Ochi Official Site INTOTHEBLUE水中写真家 越智隆治

Official SNS
Facebook
Twitter
Instagrum

Blog

Photographers Diary

2019年トンガホエールスイムWeek1 ペア、ヒートラン、白砂のクジラ、親子などに「もうお腹いっぱいです」

2019.08.11 / Author.

今年もトンガホエールスイムが始まりました。
主催の越智は、「イッテQの影響で、俺のことやばいやつだと思ってゲスト減るかな」と気にしていましたが(笑)、蓋を開けてみれば、例年と同じくらいの人数の方にご参加いただく予定です。

2019年は最大で3隻の船をチャーターしていますが、Week1は、トンガに入ってからスタッフも色々と陸上での手続きがあるので、1隻のみをチャーターし、ガイドが越智、稲生が日々交代で担当しました。

初日は稲生が海へ。
スキッパー(船長)に「今日のプランは?」と聞かれましたが、昨日島に入っていて、なんの情報もないのにプランを聞かれてもと思い、「今日は任せるけど、北のほうはどう?」と聞くと、すでに数隻行っているから、南西へ行こうと言われました。

それなら南西へ!と船を出したところで、南西からの強い風。
普通ならいけるレベルでしたが、初日ということや、ゲストが初めて参加の方ばかりだったので、風裏にあたり、北へ行くことにしました。

北にあるノースベイに、1隻が親子と泳いでいるように見える船がありました。
確信はなかったので無線で連絡するも、返事がないので、私たちはさらに北へ。
(あとでやはり親子との情報で、私たちも列に並んでみましたがすでに7番目でした)

別の船がペアと泳いでいたので、連絡をとり、タイミングが来たら変わってもらう約束をして、私たちがさらに北にブローが見えたので、そのクジラの様子を見に行くことにしました。

ブローがあがったので様子を見ていると、予想もしなかったところから次のブローがあがり、あれ?おかしいなと思っていると、周りには3〜4頭のクジラが。

目の前に潜行していったクジラがいたので、チェックで入ってみると、移動中のシンガーでした。
ゲストに、「姿は見えないけど、次シンガーがいたら海に入りますか?」と尋ねると、なんだか渋い顔(笑)
姿が見えなくても声だけでもいいから入りたいという場合とそうでない場合があるので、一応尋ねることにしているのですが、今日はまあなんともわかりやすいこと(笑)

“声だけのシンガーは必要ない”とのことでしたので、先ほどいたペアをもう一度探すことに。

でも、すでに姿がありません。

そして、ノースベイの親子も、海の荒れた方にいってしまったとの情報が入っていたし、もう1隻が泳いでいたペアももういなくなってしまったとのことで完全にクジラがいなくなってしまった状況となってしまいました。

スキッパーが、南に下りてみようかというので、そうしようと返事をした矢先、目の片隅にかすかにクジラの胸ビレが見えたような気がしました。

よく見てみると2キロほど先に船があり、その船の横でかすかにクジラがペクトラルスラップを1度したように見えたのです。

スキッパーに、「あの船の横に多分クジラがいると思う」というと、「本当に?」と言われましたが、「よく見てみて、そしてあの船に連絡とってほしい」と伝えると、「ルコが行きたいなら行く」と言われたので、行ってみることにしました。

通常であれば、私も「まあいいよ、南に別のを探しに行こう」と言っているところでしたが、なんとなく、もう少しだけ北に行きたい気持ちになっていました。

さらに北に船を走らせると、やはり1隻が、クジラと泳いでいました。
しかも話を聞くと、4頭いるらしいとのこと。

順番がきて、チェックで海に入ってみると1頭が水深15m程度のところに止まっていました。
もう1頭はその下にいてたまに白い胸ビレがきらっと見える程度で、4頭と聞いていたのにな……と思い2度ほどスイム(というか、水面からクジラを眺める感じ)。

しかし2度目スイムの最後に、クジラが海底に沈んでいってしまったので、もう船にあがろうかと思っていたら、どこからともなく、もう2頭が私たちの真下を通り過ぎ、「本当に4頭だったのか!」と思っていたら、またどこからやって来たのか、別の3頭が目の前に登場!

最初の4頭がどこかへ消えてしまいましたが、後の3頭がそこから、1時間弱の間、私たちの目の前でまったりパフォーマンスをしてくれ、一緒の時を過ごすことができました。

あまり泳ぎの得意でないゲストは途中で上がってしまっていましたが、なんと、ドルフィンスイムが大得意のゲストまでもが、途中で「もうお腹いっぱいです」といって船に戻ってしまいました。

2日目は越智が担当。
1日目もババウ全体でそんなにクジラの量が多くありませんでしたが、2日目は、ブローやクジラの姿は確認できたものの、クジラと水中で満足のいく遭遇することなく終了。

3日目は、稲生が乗船。
はじめ内湾でペアと泳ぎましたが、どんより曇り空で、撮影にはならず。しかしその海域で、ペアが2組、シングルと思われるものが2つあったので、「全部くっつけばヒートランになるかもね」と話しをしながら、私たちはもっと南の海域へ。
しかし、やはり少したつとヒートランになったとの情報が入り、引き返すことにしました。
スキッパーは、「4隻以上の船があつまるところには行きたくない」と言っていましたが、今日はもうこれしかクジラの情報がなかったのでしょう、「ヒートランに行こう」といい、踵を返しました。

到着してみると、結果的には、9隻の船が集まっていました。
ほとんどが知り合いのスキッパーだったので、船の上で挨拶をして、ヒートランの仲間に入れてもらいました。

その後、ヒートランを離れ、帰り際、1隻が1頭と泳いでいるが“クレージーなので面白いと思う”と言って譲ってくれましたが、ここでまたしてもゲストから「もうヒートランでお腹いっぱいなのでもう入らないです〜」と言われてしましました。
「え?私は入りますよ?」とおどけて行ったら「え、じゃあ入ります」といそいそと全員準備(笑)

そして入ってみたら、“ダンシングホエール”。
つまりガイドなどが水中でくるっとまわったりすると、クジラもくるっとまわったりするクジラだったのです。

このクジラと5〜8分くらい一度だけ一緒に泳ぎ、港に戻りました。

Week1最終日は、越智が乗船。

昨日までとは違う船に乗船。初めて使う会社の船だったけど、スキッパーとは知り合いだったので、軽く打ち合わせをして、透明度の高い北に向うことにした。しかし、外洋に出たところで北に向かった船から「何もいない」という連絡が入ったので、急遽南へ向かうことに。

クジラのブローはあちこちで確認できて、やはり南の方が個体数は多そうだけど、透明度は北に比べてかなり悪い感じ。何度かブローを確認して接近するが、あまり泳げるクジラではなかった。シングルのクジラが泳げそうだったので、潜ったところで、チェックに入るが透明度が悪くて、潜らないと個体の確認ができない。何度も潜って確認するうちに、徐々に下に降りているくのか、姿が見えなくなったので、諦めて船に戻ると、突然お腹を見せて浮上してきたので慌てて海に戻る。しかし、それほど寄れずに泳ぎ去っていった。

その後、5〜6頭のヒートランと泳いでいる船とシェアしてトライするが、透明度が悪く、うっすらとクジラを確認しただけだった。

クジラがいても、透明度のせいで、なかなか水中で確認できないので、午後になって、外洋からクジラが入ってきてくれているのを期待して、北へ向かう。

ノースベイのさらに北の湾で、1頭のクジラが浅い砂地でじっとしているというので、そこに順番待ちして入る。透明度の高い海底で、真っ白な砂地にぺったり張り付くように止まっているのを何度か入水して見ることができた。

金曜日の夕方にWeek2の前入りの人たちが合流して、夜は、知り合いのスキッパーの家で、2019年初豚パーティーを開催。

しかし!
例年になくというか、いままでで初めてなくらい豚の目が光っていました(笑)
いつもは豚の目はたしか入っていなかったと思ったのですが、今回はなぜか残っていて、こんな、なにかを訴えるような豚になってしまっていました。

そのほかにも、トンガのローカルフードである、ルー(地域によっては、ムームーやウム)をいただき、大満足の夜でした。

Week2前入りチームの初日は、ガイドに越智、アシスタントで吉尾が乗船。

天気も良く、波もほとんど無い。多くの船が遠出をしてクジラを探していた。この日もまた違う船に乗船した。この船のスキッパーも一緒に飲みに行ったりする中の良いスキッパーだったので、一度は一緒に乗りたいと思っていたので、「やっと一緒に海に出れるね」とお互い喜んでいた。

この日も透明度を考慮して、まず北に向かう。ノースベイでペアと泳いでいる船とクジラをシェアして2回ほど泳ぐ。再度トライしようとしたら、さらに北に向かった船から透明度の良い浅い海で親子を発見し、泳げると連絡が入り、そちらに急行。

かなり離れているので、他に船も来そうに無いから、泳げたら最高だねと話していたが、連絡をは違い、まったく近寄らせてくれない。透明度が高いにも関わらず、水中に入っても、姿すら見えない。

たまに、母クジラがブリーチングを見せてくれて、落ち着かせようとかなり粘ってはみたものの、島から離れて、外洋をどんどんと北上していくので、諦めて、戻ることにした。

かなり南の方では、親子3組が泳げているらしいと無線は入っていたが、もうそちらに行く余裕は無いので、帰り道の島周りでクジラを探すことになった。

すると、島の大きなチャネルの中で、水面にとどまってじっとしている親子がいると無線が入る。順番待ちしている船も無く、2隻が交代で泳いでいたが、それが終わったらこちらに譲ってくれることになった。

それまでの間、目の前にあるマリナーズケーブに潜って時間を潰した。

ここは、海底に潜らないとアプローチできないエアドームになっていて、初めてエントリーすると、どれだけ潜らなければいけないのか不安になるが、それほど潜らずに、エアドームの中に入れる。

中から入り口側を見ると、海に青さが際立って美しい。

このマリナーズケーブ、昔この島の王女様と恋に落ちた若者が、追跡の手を逃れるために、王女としばらくの間このエアドームに隠れていたという伝説がある。船に戻ったら、皆に説明しようとしたが、戻るとすぐに順番が回ってきたので、皆に伝えるのを忘れてしまった。

先に泳いでいたグループの様子と観察していたら、こクジラのいる横側からアプローチすると、母クジラが嫌がってぐるぐると回っているのがわかったので、スキッパーと相談して、前に回り込んで落としてもらい、正面からアプローチしてみた。

正面からゆっくりアプローチすると母クジラはあまり気にすることなくその場にとどまっていた。見るには十分な距離にいれば、多分もっと長い時間見ていられたのでけど、僕を含めほとんどのゲストが撮影をしたがっていたので、少しづつ距離を縮めると、さすがには母クジラが方向を変え始めた。

しかし、すでにかなり近くまで来ていたので、追いかけないで、ゆっくり泳いでいても十分に撮影ができた。

他の船とシェアをして、3回ほど同じようにアプローチして、親子と泳ぐことができて、港に戻った。

毎年トラブル多発のトンガですが、飛行機に関しては現状トラブルなく来ています。このまま8週間、トラブルなく飛んでくれればと思っています。

Week1は全員が初めてトンガを訪れるゲストで、大満足の週になりました。
またWeek2以降も、ゲスト全員が水中でクジラと素敵な時間が過ごせるように、スタッフ一同努めていきます。

ご参加いただきました皆様、ありがとうございました!

写真:稲生薫子、越智隆治
文:稲生薫子、越智隆治

RecentEntry

  • カテゴリーなし