INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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Photographers Diary

2022年5月6月メキシコ・モブラスイム&オルカリサーチ結果報告

2022.06.07 / Author.

2023年も以下のスケジュールでモブラスイム&オルカリサーチを開催する予定でいます

week0 : 2023年5月20日(土)〜5月29日(月)日本発着。ボート乗船5月22日(月)〜5月26日(金)5日間

week1 : 2023年5月27日(土)〜6月5日(月)日本発着。ボート乗船5月29日(月)〜6月2日(金)5日間

week2 : 2023年6月3日(土)〜6月12日(月)日本発着。ボート乗船6月5日(月)〜6月9日(金)5日間

参加希望または、ご興味、ご質問のある方は以下より、ご連絡ください。

https://takaji-ochi.com

2022年5月28日(土)〜6月6日(月)日本発着のスケジュールでメキシコのラパスを起点に、モブラスイム&オルカリサーチのスペシャルトリップを行いました。Into the blueのスペシャルトリップ初参加の方も含めて、参加したゲストは5名。そのほとんどが、オルカ(シャチ)とのスイムを期待しての参加でしたが、現地からのこれまでの情報からだと、遭遇率は、30%。今回5日間海に出る予定だったので、1.5日遭遇できれば数値的には30%を満たすことになります。

過去、Into the blueで海外で開催したスペシャルトリップは、開催期間中であれば、遭遇率が80%以上の物がほとんどでした。一番低いもので、今は開催を中断している同じくメキシコのバショウカジキが、開催した7年間の総合遭遇率で60%(5日間海に出て、3日遭遇が平均値)。現地オペレーターからも、オルカスイムをメインとするのは、リスクが高いということで、遭遇確率の高いモブラの群れと泳ぐスペシャルトリップとして開催し、運が良ければ、オルカに遭遇、さらに運が良ければ一緒lに泳げる、という形を取る方が良いと指摘されたので、モブラスイム&オルカリサーチのスペシャルトリップとして開催しました。

広大な海域を捜索するために、Ultralight という軽飛行機を使い、私たちが乗船している船に発見した海洋生物の位置や状況を無線で連絡してもらって、現場海域に急行するという形を取りました。もちろん、普通に船だけで捜索も可能ですが、日数も短いこともあり、毎日このUltralightを使用して捜索を行いました。

<広範囲の海域を効率良く、大物海洋生物捜索をするために利用したUltralightと呼ばれる軽飛行機。毎日3時間の捜索を行なってもらいました。また空から大物海洋生物を捜索することは、この海域にどんな生物が生息しているかの、学術的フィールドワークにも貢献することになります>

5日間の遭遇状況

遭遇結果を先にアップすると

1日目

マイルカのスーパーポッド、オルカ(6時間30分群と一緒)、バンドウイルカの群れ

<6時間30分観察することができたオルカのファミリー>

2日目

モブラの群れ、巨大なジンベエザメ2匹、(以下船上のみ)バンドウイルカのスーパーポッド、シロナガスクジラ、ナガスクジラ5頭、オルカ

3日目

オキゴンドウの群れ、カリフォルニアアシカ、(以下船上のみ)ナガスクジラ、5頭

4日目

モブラの群れ、カリフォルニアアシカのコロニー

5日目

モブラの群れ、ジンベエザメ、(以下船上のみ)ナガスクジラ7頭

2日目の記録

特に1日目は、このスペシャルトリップ最大の目的であるオルカの群れに遭遇して、6時間30分ほど一緒に行動して、船上や水中から捕食シーンなども目撃することができました。これに関しては、また別で記録をアップすることにします。

なので、こちらでは、2日目からの記録

毎日、事前にどの海域を捜索するかを打ち合せして、まずその海域まで先に船を走らせて、Ultralightが離陸して、その海域を捜索する時間までは、船上で目視で探すか、停泊して待機します。

<群れの規模を表現したいのだけど、これだけ寄って、やっとなんとなく使える写真が撮影できるくらいの透明度でした>

この日は、島の近くのかなり浅い海域で、モブラのボルテックス(Voltex:旋回してその場からあまり動かない群)があるという情報がUltralightが飛び立って早々に入ってきたので、そちらに向かいました。初日は、ずっとシャチに着いていたこともあり、モブラの群れと泳ぐ機会はありませんでしたが、この時期、この海域に繁殖目的で群れを為すモブラの規模は世界最大級と考えられています。モブラの群れ目的であれば、ほぼ100%の確率で遭遇可能だそうです。空からは、22群以上ものモブラの群れが確認できた日もありました。ちなみに、Voltex状態になっている群れは、空からだと円形になっているために、すぐに確認できるようです。

<モブラの群れをメインテーマに3週間取材に訪れていたフランスのTVチーム>

今回、3週間ほど、フランスのTVチームが滞在して取材を行なっていたのですが、メインの目的がこの世界最大級のモブラの群れの存在を取材することでした。個人的には、モブラの群れ自体は、初めての遭遇ではなかったのですが、やはり、足下でモブラ以外何も見えない状況で旋回しているのを見るのは、流石に圧巻!問題点としては、この海域があまり透明度が良くなかったこと。もう少し良い時もあるとのことでしたが、基本的には、あまり透明度は期待しない方が良いのではと考えています。実際、この日撮影した写真はかなり浮遊物も多く、lightroomで補正しても、少し離れて全体を撮影した写真は使い物にならない感じでした。

<透明度が悪く、かつ浮遊物も多くてなかなか撮影が難しかった2日目に遭遇したモブラの群れ。ウシバナトビエイが1匹だけ混じって泳いでいたのがポイントにできたのが救いでした>

その後、Pregnant whale sharkとパイロットが伝えてきた2匹の巨大ジンベエザメを撮影。ゲストの中には初めてジンベエザメと泳ぐ人も数名いたため、それはそれで、オルカに続き、夢がかなったことになりました。1匹目は確かにお腹も大きくて、妊娠してるようでした。この時期は実際に妊娠している巨大なジンベエザメが、この海域に多く姿を見せることが知られています。1匹目は泳ぎもスローで、かなりの時間、こちらが全力で泳がなくても並んで撮影することができました。2匹目は、透明度が若干良い場所で遭遇したけど、こちらが全力で泳いでも、なかなか追いつけないスピードで泳ぎ去って行きました。

この妊娠しているジンベエザメの個体識別を行っている現地の学者がいて、写真の提供を行うことで、その活動にも貢献できます。

<1匹目の妊娠ジンベエザメは、かなり透明度の悪い海域で遭遇したが、しばらく併泳できるくらいののんびりしたスピードで泳いでくれていた。体長は12~3mはありそうだった>

<2匹目の妊娠ジンベエザメは、今回の5日間では一番透明度の良いエリアで遭遇。しかし、全力でも追いつけないスピードで泳ぎ去って行きました>

その後、ジンベエザメの近くにいたバンドウイルカのスーパーポッドにアプローチしましたが、直後にシロナガスクジラの情報が入ったため、撮影もそこそこに、シロナガスクジラの方に移動。シロナガスクジラはスリランカで見慣れていて(実際には、ピグミーブルーホエールと呼ばれる小型のシロナガスクジラがほとんどですが)、潜行するときには、必ずテールを挙げて潜行していたので、メキシコのシロナガスクジラもそうだろうという先入観があったのですが、全くテールを挙げることなく潜行していきます。こういう時、自分の中での知識と言うものが、いかに狭義なものであり、それに縛られて勝手な先入観を持ってしまうことの危険性を感じました。結局、このシロナガスクジラは、一度もテールを挙げることはありませんでした。

この後、少し移動した海域で、捕食を繰り返す、ナガスクジラのグループに遭遇。こちらも水中撮影へのアプローチを試みましたが、透明度も悪く、船上からの観察をしているところに、オルカ出現の情報が入り、そちらに急行。12頭ほどのオルカの群れで、すでに数隻、アプローチをしていたようですが、水中ではあまりちゃんとは見れていないとの情報。こちらも、一度だけ、アプローチは試みましたが、やはり難しく、エントリーすることなく、タイムアップで港に引き返しました。

それにしても、初日と2日目の2日間、オルカと遭遇できたことは、かなりラッキーだったと思います。特に初日の衝撃的な遭遇は一生忘れられない遭遇でした。

3日目は、この海域では珍しいオキゴンドウの群れと泳ぐ

3日目のメインになったのが、オキゴンドウ(False Killer Whale)の群れ。最初、オルカの群れらしきもの発見!との情報だったので、「3日連続か!」と浮き足立ちましたが、12頭ほどのオキゴンドウと判明。英名のFalse Killer WhaleのFalesは「ニセの」という意味があります。和名でも、シャチモドキと呼ばれることもあります。

オキゴンドウ(Pseudorca crassidens : クジラ目ハクジラ亜目マイルカ科オキゴンドウ属に属する。オキゴンドウ属に属するのはオキゴンドウ1種のみ)

バハカリフォルニア半島のコルテス海側では、オルカよりも目撃情報は少ないらしいのですが、個人的には、過去に、パラオ、ハワイ、グアム、マーシャル諸島、トンガ、スリランカなどなど、多くの熱帯、亜熱帯域の海で目撃経験があります。和名の由来は、外洋に生息しているからではあるのですが、今回は、水深4m程度の浅い海底をオーストラリアアシカと共に移動する水中撮影に成功しました。これほど浅い海域を泳ぐシーンはなかなか珍しいのではないかと思います。

<水深4m程の浅い海底を移動するオキゴンドウの群れと、一緒に泳ぐカリフォルニアアシカ>

オキゴンドウは、オルカ同様にイルカなどの小型のクジラも捕食することが知られていますが、このカリフォルニアアシカは、1頭でずっとこの群れに着いて泳いでいたのが印象的でした。オキゴンドウの群れは、移動途中に、たまに編隊を崩して、魚を捕食している様子が確認できました。水中で魚の鱗が散乱していたり、肉片のような物を口に加えていましたが、とにかく透明度が悪くて、なかなか全容を確認することは難しかったのが残念でした。

最初にオキゴンドウにアプローチしてから、すぐに多くの観光船が集まってきたので、しばらくはナガスクジラ数個体が捕食しているエリアに行き、船上からのみ、観察を行いました。こちらもシロナガスクジラ同様に、テールを挙げる個体は1個体も無く、もしかしたら、捕食している深度が、かなり浅い可能性もあるかもとも思いましたが、これもあくまで推測でしかありません。

4日目は、モブラの集団ジャンプ!&カリフォルニアアシカのコロニーへ

4日目は、今まで行っていなかった南部に移動して、モブラの群れを撮影。透明度も若干良く、ベタ凪で、海中のモブラの群れとしては今回ベストの撮影ができました。

 

その後、2日目に初めてモブラの群れを撮影したエリアに移動すると、何匹ものモブラがジャンプするシーンに遭遇。ジャンプしているのは、オスで、メスへのアピールのために、ジャンプしているのだということでした。

<10匹がほぼ同時にジャンプしたのを1カットの写真に収めることができました>

<ジャンプしながら群が徐々に船に近づいてきて・・・>

<最後には目の前でジャンプをして、バシャン!バシャン!と音を立てながら海中に戻って行くのが壮観でした>

<島の近くの浅い海域を激しく飛び跳ねながら移動していくモブラの群れ>

港に帰る途中に、カリフォルニアアシカのコロニーに寄って、少しだけアシカと泳ぎました。

<バブルを吐き出しながら、接近してくるのは、警戒しているサインだと言うことで、この個体はメスなので問題ないけど、巨大なオスがこの行動をして接近してきたときは、危険なので速やかにコロニーから離れる様に注意を受けます>

5日目も、モブラの群れとジンベエザメ、ナガスクジラ7頭

どちらかと言えば、5日目から初日にという順番がベストだったかも・・・という感じの遭遇状況でしたが、多くのオルカをはじめとして、多くの海洋生物に遭遇することができました。

2023年も以下のスケジュールでモブラスイム&オルカリサーチを開催する予定でいます

week0 : 2023年5月20日(土)〜5月29日(月)日本発着。ボート乗船5月22日(月)〜5月26日(金)5日間

week1 : 2023年5月27日(土)〜6月5日(月)日本発着。ボート乗船5月29日(月)〜6月2日(金)5日間

week2 : 2023年6月3日(土)〜6月12日(月)日本発着。ボート乗船6月5日(月)〜6月9日(金)5日間

参加希望または、ご興味、ご質問のある方は以下より、ご連絡ください。

https://takaji-ochi.com

こちらも合わせてご覧ください

「4回の捕食シーンを観察した初日のオルカ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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