INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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Photographers Diary

PNGロケ、現地の人から食事に招待される、そして・・・また

2008.12.25 / Author.

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20日にPNGから帰国予定だったのだが、機体整備不良で、フライトがキャンセルになり、21日早朝、オーストラリアのブリズベンを経由して、JAL便で日本に帰国することになった。

要するに、一度ポートモレスビーから南下して、ブリズベンに入り、再度ポートモレズビー上空を通過して成田に向かった。
もしこれがニューギニア航空の便だったら、映画もやってないし、退屈だったろうけど、JAL便だったので、機内で映画を4本ほど鑑賞することができたので、まあ1日の遅れは、よしとしよう。
1日帰国が延びたことで、首都ポートモレスビーのクラウンプラザホテルという、ここでは超高級ホテルに1泊することになった。食事のクーポンもついているし。部屋からの眺めもいいし、至れり尽くせりだった。
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今回の旅行手配をしてくれたPNGジャパンの現地スタッフとも仲良くなり、ホテル近くに住む彼から、家に食事に来ないかと誘われた。彼には、生後8か月の娘さんがいるという。「いいの?」と聞くと、大丈夫大丈夫というので、夕食をごちそうになることに。
しかし、僕は日本での家庭と同じような彼と奥さんと赤ちゃんだけの核家族を想像していたので、それなりの手土産を用意してお伺いした。ところが、行ってみると、彼のお父さん、お母さん、それにお兄さんや妹、その子供たち、妹の彼氏などなど。僕の手土産では到底まかないきれない人数の家族を紹介された。
今の日本ではあまり見ることのできない、大家族の姿。しかし、南の島でのロケが多い僕にとっては、ある意味、ごく普通の家庭の在り方ともいえる。こちらが「日本の常識」でお伺いしてしまったことの方が迂闊だった。
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申し訳ないので、持っていったカメラで家族の集合写真とか沢山撮影してあげた。「このカメラはいくらするの?」」と買ったばかりのキヤノンEOS5Dマーク2を指さして尋ねられた。「だいたいレンズ込みで50万円くらい」と答えると、現地通貨のキナに計算しなおして、皆目を丸くしていた。
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彼と色々話して、「クリスマスも観光客が多いから、働かなければいけない」。とちょっと家族とクリスマスを過ごせないことを残念がっていた。「自分もクリスマスまでには帰りたいな~。今年は、誕生日にも、運動会にもいてやれなかったから」と笑いながら答えた。
ビールを飲み、ほろ酔い気分で10時前にホテルまで送ってもらう。夜中の1時30分にはフロントからウエイクアップコールをもらい、2時にはホテルを他のゲストたちと一緒にバスで出て空港に向かい、3時50分発の臨時便に乗る予定だった。
僕はそれまでがんばっておきていようと思い、完全にはパッキングしないままでいたのだが、いつの間にか寝てしまっていた。部屋の電話が鳴り、受話器を取ると、電話の向こうから「何やってるんだ、君はブリズベン行きのフライトに乗るんだろう?友達が空港で待っているぞ」とわけわからないこと言ってる。
「え、乗るけど、だからこれそのためにウエウイクアップコールでしょ?」と聞くと「とにかく急げ!」とせかされる。状況を把握していない僕は「え、今何時なの?」と聞き返すと、「3時40分!」という答え。「え?え?なんて?」。「だから3時40分だよ!とにかく急いで!」
僕は「しまった!」と思い、あわてて部屋に散乱していた衣類や、機材をカバンに詰めた。シャワーをあびたまま寝てしまった、髪の毛は、おもいっきり逆立ち、パンクみたい。でも、もうそんなこと気にしてる余裕はない。このフライトを逃したら、下手したら、あと1週間、PNGにいなければいけなくなる。
なぜかと言えば、成田ーポートモレスビーのフライトは週一便しかないから。
酔っ払って、ウエイクアップコールが鳴っていたことに気がつかなかったのか・・・・。それにしても、もっと早く連絡してくれよなと、少しいらだちながらフロントへ。
「車は?」と慌てて尋ねると、まったくのんびりとしたスタッフが、「今から呼ぶから」と言って、バスに連絡をい入れた。「どこにいるのバス?」と聞くと「空港」とこたえる。「え、だって20分くらいかかるでしょ?」。と問いただすと、「君の友人が飛行機を止めているから大丈夫」という訳わからない返事。
「友達って、誰?」と再度聞くと、今回旅行の手配などを担当している、PNGジャパンのスタッフだという。
「じゃあ、今電話してたのは、そのスタッフの人?」と聞くと、「そう、彼女がカウンターで君が来るのを待っていて、最後の一人になっても姿が見えないので、電話してきたんだよ」と何度も問い詰める僕に、不愉快そうな顔を向ける。そりゃあ、電話鳴らされてても、起きなかった自分も悪いけどさ・・・・、と思い、しつこく色々聞いていると、
「ウエイクアップコールはしていない」という話になってきた。「え、それは誰にもしてないってこと、皆自力でこの時間に起きたの?俺以外?」と聞くと
「いや、君の名前を担当の女性スタッフがウエイクアップコールリストに記載するのを忘れていたようだ」
「・・・・・、要するに、そっちのミスなわけね・・・・」
「いや、私のミスではなく、その女性のミスだ」と彼は自信満々に答えた。誰のミスでもいいよ。一言謝れよ。僕は怒りを感じるよりも、呆れてしまった。それまでは、コールしてもらったのに、起きなかった自分に否があると思っていたからだ。
もうそいつと会話するのは止めた。だんだん腹立ってくるかもしれないから。それにそんなことよりバスが来ない。
そう思っていると、ホテルのゲート前に見覚えのある車が。夕食を食べにいった、PNGジャパンの現地スタッフの車だった。「急いで乗ってください!僕が連れていきます!」と彼は叫ぶ。
しかし、ホテルのスタッフは、「彼じゃない、バスを待ちなさい!」という。「だってバス来ないじゃん」僕はホテルスタッフの制止を無視して、車に荷物を放り込んで、空港を目指した。どうやら空港にいた旅行社のスタッフから連絡があったらしい。彼の家が近くて良かった。
しかし、しばらくして高速に乗り、落ち着いてから、なんだか急に胸騒ぎがして、カメラバックを開けると、「しまった、無い!」
「え、何が?」
「カメラ、忘れた!」
「え、どのカメラ?」
「君の家で撮影してたやつ」
「え、50万円の?」
「そう、あ~、だめだ!もう、戻って」
「わかった」
僕はこの時点で、一瞬飛行機に乗ることを諦めた。「あと1週間、クリスマスまでには家に帰りたかったのに。こんなことなら朝までゆっくり寝てればよかった。夜中に起こされた君にも悪いことしちゃったな」
と放心状態。すでに時間は4時を過ぎていた。
しかし、彼は、「まだ間に合う。大丈夫」と言って即効で車をひき返し、空港にいるスタッフに、連絡を入れた。それを見て、自分も諦めるわけにはいかなかった。電話でホテルのフロントに連絡して、事情を説明し、すぐに部屋に入れてもらえるように頼んだ。
ホテルに戻るとすでに鍵を持った別のスタッフが待機していて、6階の部屋に入り、ベッドのシーツをめくると、カメラが出てきた。ベッドで、撮影した画像を確認しながら眠ってしまっていたのだ。
すぐにカメラを持って、車に戻る。時間は4時20分。彼は猛スピードで早朝のポートモレスビーを走り続けた。「これ、乗れなかったら、次いつ帰れるかな?」と笑いながら聞くと、「大丈夫!大丈夫!」と自分に言い聞かせるように、前方を見据えてハンドルを握っていた。
4時30分過ぎ、空港に到着。荷物をかかえて、カウンターに行くと、別のPNGジャパンスタッフが、すでに出国カードに記載を済ませ、僕の到着を待っていた。「なんとか間に合いそうです!とにかく急いで!」
そう言われると、ボーディングパスを受けとりながら、この期に及んで、「これ通路側?」と尋ねると「いいから行きなさい!」とカウンターのスタッフにたしなめられた。
僕は、スタッフの人との挨拶もそこそこに、出国手続きを済ませ、セキュリティーチェックを通過して、機内へ。皆の視線が痛い。座席についたと同時に、離陸した。
なんか精神的にすっごく疲れた。しかし、こういうことに最近慣れてきたせいか、慌てることはあっても腹を立てることは無くなった。まあ、昔からあまりこういうことでは怒らないない方だったけど。交渉中、怒っているように見えたら、それはあくまでそうした方が効果的と思うときの、ポーズなのである。それに一人旅だし。「飛行機が墜落するよりは全然マシ。命あってのものだね。笑って許して」それが、僕の旅をする上でのモットーである。
あ~、また長くなっちゃった。

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