INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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Photographers Diary

パラオ最終日は、車で島の遺跡などを巡る

2009.01.24 / Author.

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一昨日、パラオから帰国した。最終日には、デイドリームの秋野さんの車で、パラオで一番大きな島、バベルダオブ島の観光スポットへ出かけることになった。

曇天だったので、ネイチャー系の見どころを諦めて、僕が以前から個人的に気になっていた、遺跡などを巡ることに。数年前までは、まともに舗装された道が無くて、ボートでの移動だったのだけど、今では、幹線道路がきれいに整備され、最北端に行くにも、車で1時間30分もあれば到着する。
まず最初に向かったのが、同島のアイリミキ州にある、伝統的パラオの集会所「バイ」。良く訪れる、ヤップ島で見慣れた男性集会所(メンズハウス)と外観などが似ている。
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女人禁制なのも同じ。しかし、装飾に関してはパラオの方が、壁や柱に対して様々な伝承を表現した絵画を描いているなど、カラフルだ。もちろん、すべてのバイがそうであったとは限らないのだろうけど。それにしても男性性器の表現が矢印みたいで露骨だったな。
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どちらも、釘などを使わず、ロープだけで柱を組んでいるところも同じ。しかし、ヤップで見た伝統的なメンズハウスのロープのゆわき方は、見事だったけど、こちらのものは、何度も修復していくうちに伝統的なゆわき方を忘れてしまったのだろう。見ていて情けなくなるくらいの、いい加減な方法で、あちこち修復されているのが目立った。
伝統を継承していこうとする気概の強いヤップと、近代化を目指すパラオの違いを、ロープのゆわき方で感じた瞬間だった。
次に向かったのが、「ケズ」と呼ばれる、土を盛って、段状にした階段状ピラミッド。巨大な墳墓のような遺跡。パラオで約30ほど確認されている。その中の一つ、かなり大きなサイズのケズの頂上に登ってみた。フラットにされた頂上部は、「ブルックル」と呼ばれ、テニスコート1個分ほどの広さがあり、何か所かにくぼみがあって、そこには、何かの建築物の土台となった柱がたっていたのではと推測されている。
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最初想像していたものより、はるかに巨大なものだったために、かなり感動した。インドネシアのジャワ島にあるボロブドゥールの仏教遺跡とサイズや構造などが酷似していて、ボロブドゥールが8~9世紀のもの。ケズが10世紀このものと考えられていて、時代的な関連性もあることも興味深い。
大きなケズは、「ユウカク」というマンタポイントに出かける途中、海からでも見ることができる。
島々をわたって、インドネシアから、パラオまで移り住んだ人々が建造したのだろうか?パラオの昔話には、仏教的な伝承があるかもしれないとい興味を抱かせてくれる。
そして、最も行ってみたかったのが、同島最北端、アルコロン州にある、バドルルアウ遺跡。ストーンモノリスと呼ばれる玄武岩でできた石柱が、50基以上も立ち並ぶ。岩の上部には、丸みを帯びるようにえぐられて、その上に建造物の木造の梁のようなものを渡したとも考えられている。
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その周辺には、ストーンフェイスと呼ばれる同じ玄武岩でできた、顔を掘ったような岩も6基ほど点在。それぞれが、東西南北の位置を示すように置かれている。個人的な勝手な印象だけど、この顔が、人間の顔というよりは、よく映画などで出てくる、頭部が大きくて、目が巨大でくぼんだ宇宙人みたいに見える。
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当日、ここの管理をしていたパラオ人のおじさんに聞いたところ、石質がパラオにはないもので、イースター島のモアイ像のものと一致しているのだとか(本当かどうかわからないけど)。
このストーンモノリスはいつの時代に作られたものかは定かではないという。おじさんの話では、2000年くらい前だという説も。島の伝説では、数々の岩は、神や精霊によって、作られたもので、ストーンフェイスは神が人間を岩に変えてしまったのだという。
同じミクロネシアのポナペにあるナンマドール遺跡は、確か魔法を使う兄弟によって、岩を空中に飛ばして組み上げたものだという伝承がある。ミクロネシアには、小さい島ながら、数々の、解明されていない不可思議な遺跡が多く点在しているわけだ。やっぱ宇宙人かな?
バベルダオブ島で最後に訪れたのは、パラオの新首都になった、バベルダオブ島東海岸に位置する、マルキョク州。ここにもストーンフェイスが村の中に、何気なく置かれていた。しかし、もっと興味を持ったのは、新たに作られた議会、行政、裁判所の三権の最高機関や大統領府など。20006年10月1日、パラオ共和国独立記念日に、コロールから遷都した。
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壁面にはアイリミキのバイで描かれていたのと同じ、蜘蛛(神とされる)や戦士の顔などと一緒に、円形に十字の模様の入った家紋のようなものがサギのような鳥と一緒に描かれていた。警備のパラオ人に尋ねると、気さくに質問に答えてくれた。
家紋のような模様は、ストーンマネーを意味しているそうだ。といっても、ヤップの巨大なストーンマネーではなくて、手に持てる普通サイズのもの。そして、この鳥は、マルキョク州に言い伝えられる伝説で、ストーンマネーをたまたま食べた鳥が、糞と一緒にストーンマネーを出したことから、金を生む鳥と勘違いされたとかしないとかの伝承を模したものらしい。
国会建造に使われている柱は、パルテノン神殿で知られるギリシア建築のような見事な形をしている。「わ~すげ~」と思って柱をたたいてみると、なんだか音が変。まるで映画のために作られた張りぼてのような音がとても気になったのは、きっと僕だけではないはずだ。もし訪れる機会があったら、ちょっと試してみては・・・。そのうち、「柱たたき禁止」とかになっちゃうかもしれないけど。
警備の人と話していて、「建物の中どうなってるの?」と尋ねると、これまた気さくに「入って見ていいよ」と言われた。入っていいのなら、入れてもらおうと早速中へ。秋野さんいわく「普通は入れてもらえませんよ」ということだったのだけど、方針が変わったのか、よっぽど暇だったのか、とにかくラッキーだった。
入口にのんびりとたむろしていた、他の警備の人に、「普段は、長いパンツをはいて、サンダルもダメ」と僕らの服装を見てダメ出しがでたのだけど、「今度からはダメ」というこで、「今日はいいよ」と中に入れてもらった。
中は・・・・まあ、どうってこと無いのだけど、とりあえず普段は入れてもらえないというなら、写真撮っちゃおうと、一応警備の人に目で合図して、またオッケーそうだったので、内部を撮影させてもらった。
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バベルダオブ島からコロール島に戻り、最後にストーリーボードを彫って販売しているお店を見学した。ストーリーボードには、伝承されている、昔話などが彫りこまれていて、中には結構下ネタな感じのものもあった。
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ということで、パラオ滞在最終日は、パラオの解明されていない歴史と伝承に触れる旅だった。

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