9月14日、快晴。風は強い。オールレタルギアのゲストと海へ。ピーターがキャプテンのプナには、僕が、ノアがキャプテンのフルークには、トニーが乗船して海に出る。
最初はフンガ島の沖を探そうと、そちらに向かった。フンガ島の外洋側は携帯電話が入らなくなる。その手前でトニーから電話があり、先ほど通過したところで、クジラと泳いでいたプロティウスから、親子を譲ってくれるという連絡が入ったという。まだ出発して30分も経っていなかったので、それではそちらに向かおうということになり、船をUターンさせた。
しかし、そこに到着してみると、親子クジラはどうやらホエールスイム禁止エリアの内側にいて、そこから出て来ないと泳げない状態のようだった。しかも、フルークの他にもう1隻ついていた。
しばらくは風を避けて様子を見ていたけど、まだ出そうになかった。今日、イッカがスパイホップで海に出ていたので、そちらに連絡してみると、意外と近くでこちらも親子と泳いでいるとのこと。すでに、もう1隻ついてはるけど、交代で泳がせてもらえるように伝えておくとのこと。
いずれにしても、僕らの前に1隻づついるのだけど、禁止エリアの近くで、そこから出ても、またいつ中に入ってしまうかわからないよりは、そちらに向かった方が良いと判断した。
スパイホップは、モウヌ島の内側にいて、船で10分程で到着した。しばらく様子を見ていたが、ほとんど動いていない様子。イッカからも、かなり良い感じの親子だと連絡が入っていた。
順番が回ってきたので、入水してみた。母親は水深5m程度の浅い場所で停止して休息している。子クジラは母クジラの黒い身体とは違って、かなり白っぽい体色をしていた。今年は、黒い母親が多い。その母親の子どもも、ほとんどが黒っぽいのだけど、この子は例外だった。父親に似たのだろうか。
それにしても、母親が浅いので、母子の愛情を感じる写真が撮り易かった。子クジラもとても、人懐っこくで、こちらが止まっていても、どんどん近寄って来る。
かわいいのだけど、子どもとはいえ、かなり成長していて、すでに7mくらいはあるサイズの子クジラにすり寄って来られてもって感じだった。
この子は、時にはあまりに水面ではしゃぎすぎて、ブリーチングしながらどんどん寝ている母親から離れてしまうこともあって、母親がそれに気づいて慌てて追いかけていくなんてシーンもあって、まるで自分の家の子どもたちと母親の様子とそっくりで笑ってしまった。
IKUMIのお母さんは、同じような事があっても、ゆっくり子どもの方に泳いで行ってたのに、この子の母親は本当に慌てて追いかけてるって感じだった。
それにしても、親子が撮影しやすかったので、5〜6度入水してから、次の船に順番を譲った。譲る時には、まだ母親が下で休息しているのが見える状態で、船に戻ることになったのだけど、僕が一番最初に船に戻って、泳いで来るゲストたちを見ていると、なんと一番後ろからその子クジラが,皆の後ろをついて来ていた。
3人のゲストが等間隔で泳いでいるのに合わせて、子クジラも等間隔で皆の後ろについて船に近づいてきたのには、笑ってしまった。時には口を開けてめちゃくちゃはしゃいでる感じで「まってよ〜!もっと遊ぼうよ〜!」って感じだった。
しばらくすると、また母親が慌てて浮上してきて、その子クジラを連れ戻しに来た。「知らない人についていっちゃダメだって,何度も言ってるでしょ!」とたしなめられているようだった。
この日は、この親子との遭遇だけで十分満足だった。フルークの方にも何度か連絡を入れてみたが、泳げているということだったので、これで、最終週は初日から全員が無事にクジラと水中で泳げて、6年連続で100%の遭遇率を維持したことになる。
ホテルに戻ってから、トニーと個体識別用に写真をチェックしていた。この日は少なくとも、他の船からの連絡も含めて、最低6個体は親子が確認されていたようだ。週末の間に、姿を見せる親子の個体数が増えたようだ。
そのほとんどが、かなり成長した子ども。子どもが大きく成長したので、神経質だった母親も、落ち着いてきたのかもしれない。もしかしたら、僕らと泳がせるのが、これから先の長い航海を前にして、子どもたちのほんのつかの間の遊び相手として、丁度良いと判断してくれていたのかもしれない。まあ、あくまで自分(人間)に都合の良い憶測だけど。
この日、トニーが水中で撮影した2個体には、PONGI PONGI(トンガ語で朝)、PUNA(ジャンプ、ブリーチング)と名付けた。僕が見た女の子には、POTO(
賢い)と名付けた。