INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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トンガ ホエールスイム

2019年トンガホエールスイムweek8 生まれて間も無い小さな子クジラの授乳シーン

2019.10.07 / Author.

9月23日(月)

week7.8連続参加のゲストと、week8前入りのゲストと一緒に海に出る。前入りゲストが月曜日の早朝フライトだったので、出港は遅めの9時。先に出た船が良いクジラを見つけていてくれることを期待したが、week7に引き続き、この日も良いクジラの情報はまったく無く、おまけに、船長たちが悪戯で、「親子を見つけた!」と無線で連絡するものだから、多くの船がその海域に急行し、順番待ちのリクエストをしたりしていた。

実際には何もいなくて、「騙された!」と笑っている船長もいれば、本当に怒ってる船長もいたりして。そんな悪戯がこの日は、3回ほどあって、本当にどの船も暇だったみたいだ。

仕方なく、あまり泳げないコビレゴンドウの群れがいるという情報で、北に。何度かトライしたが実際に遠目に確認できただけだった。

そこでコビレと泳いでいると、シングルで、止まってもいないザトウクジラに4隻もついているのに遭遇。前に落としてどうにか見れるようなシングルのクジラにこれだけの船が着いてるなんて、正直、ババウでは今までありえない光景だった。

船長が、「どうする?」と聞いてきた。普通なら「他探そう」と言うところだけど、本当に泳げるクジラがいないらしい。移動しているクジラの様子を見ていると、リーフ方面に移動している。もしかしたら、リーフの浅いエリアに来たら止まるかもしれない・・・そんな淡い期待に望みを託さなければいけない事自体、異常自体なのだけど、もうその淡い期待にかけるくらいしかなかった。

他の船とシェアしながら前に落としてもらう。しかし、ほとんど近寄れず潜って行く。

シェアの順番によっては、クジラがリーフに入るタイミングになる。順番のときに、一度浮上したクジラを見過ごした。僕と同じ考えで船長が意図して見過ごしたのか、たまたまだったのかはわからない。次に浮上したのがほぼその浅いリーフの目の前。

船長は前に落とすのではなく、クジラが沈んだフットプリントに静かに接近し、「タカ!チェックして」と潜ったポイントを指差した。自分も同じ考えだった。あれだけ止まっていないクジラが止まるかどうかは正直わからない。でも、浅いリーフに来ると突然動きを止めるクジラは今までも多く見て来た。

リーフは浅い砂地の海底。エントリーしてしばらく泳ぐと、その海底に静かに止まっているクジラを見つけた。「やった!止まってる!」

クジラを見つけた事を知らせるために挙げる左手にも思わず力が入った。

側面から前方方向へ、クジラを刺激しないようにあおり足でゆっくりと移動した。クジラは微動だにしない。水深も浅く、潜って撮影できない深さではなかったけど、他にも順番待ちしている船があったので、潜るのも我慢して浮上してくるのを待った。

クジラはゆっくりと浮上してきてくれた。おかげで間近で撮影することができた。しかし、その後リーフを離れてしまった。この日泳げたのはこのワンチャンスだけだった。

天気は良かったので、その後スワローズケーブで撮影をして帰港した。

9月24日(火)

week8のゲストが揃い、2隻で海に出る。この日も9時に出港。先に出た船からのクジラの情報では、昨日と同様、島の近くにはほとんどクジラの情報が無い。しかし、風が落ちて遠出できるようになった。多くの船がかなり南へとクジラを探しに出かけていた。

とにかく自分たちのクジラを探すしか無いのだが、ブローもまったく見当たらない。今シーズンはもう早々にクジラのベストシーズンが終わってしまったのだろうか?とさえ思えた。

様々な原因を考えてみたものの、海は広大過ぎて実際に何が理由なのかはわからない。しかし、南に行った船からは、数組の親子が見つかっているという情報が入ってきていた。やはり、南のリーフに止まって、島の方まで来ないクジラが増えたのだろうか?

半ば諦めていたときにブローを発見した。しかも、ヒートランのクジラに5隻ほど着いている海域のすぐ近くだ。これはもしかしたら、あの5隻がついていたヒートランなのでは?と思いながらも、船長にあれは誰もついてないクジラかな?と聞くと、「別のだ」との回答。急いでブローの上がった海域に急行して、クジラが再度浮上するのを待った。

しばらくすると、ブローがあがり、ペアだと確認。潜ってみると、2頭とも側面が白くて、水深20mほどで停止していた。

しかし、潜っている時間が25分と長い。それでも、浮上のときは近くに上がってくれて、また近くに潜って止まるのを繰り返していたので、何度か一緒に泳ぐことができた。

その近くでは、さっきの6~8頭のゆっくりしたヒートラン。終わったら、そちらにも入ろうと思ったが、体調の悪いゲストがいたので、そちらには入らずに穏やかな海域に移動した。もう一隻は、そのヒートランに入った後、こちらが順番を譲って、ペアとヒートランを見ることができた。

風が収まったこともあり、南側では、かなりのクジラの目撃情報が入っていた。初日から良いペアとヒートランに遭遇することができた。

9月25日(火)

この日も2隻で、7時に出港。ここ最近では珍しく快晴でかなり穏やかなコンディション。船に乗っていても気持ち良い。先週同様に豪華客船がネイアフの港に入港してきていた。

コンディションも良いから遠出もできる。早く出て、早く良いクジラを探したかったが、かなり南まで捜索に出た。それでも、無線では、3組ほどの親子が見つかっている様子。でも、どれも止まらず移動しているという。

順番待ちしていた親子にアプローチしたが、まったく泳げる感じではなく、諦めて、他を探すことに。結局止まっているかなり大きなオスクジラにアプローチしてこの日は終了。遅めに出た船が止まっている親子と泳げたという情報は、港に戻ってきてから聞いた。

もう一隻は、さらに南で止まらない親子とエスコートと何度か泳いで戻ってきた。

9月26日(木)

この日も2隻で出港。コンディションが良いのでこの日もかなり南へ。先週と違い、捜索範囲が広いので見つかっているクジラの数も心なしか多い。しかし、普段ならもっと近くにクジラがいるのに、かなり南でしかクジラが見つからないのも、例年とは様子が違う。

しかし、この日は7時に出てすぐにシンガーを発見。何度かシンガーに入り少し気持ちに余裕を持って他のクジラを探す。

この日は、南で7組の親子が見つかっていた。しかもそのほとんどがかなり小さな子クジラとのことで、泳げているのは3組ほどだった。

その中の1組の親子の順番待ちをして、エントリー。母親は、体にかなりの古傷を負っていて、一眼で個体識別できる。過去に一度も遭遇したことの無い母クジラだった。

そして、子クジラは数日前に生まれたばかりのかなり小さな子クジラ。浮上してくるとまるでイルカと泳いでいるのではと思うくらい小さくて、体も細かった。目の前に浮上してきても、まったく威圧感が無い。

泳ぎもふにゃふにゃしていて、ぎこちない。こんな小さい子クジラを連れてる母親は、なかなか止まってくれないのだけど、この母親は気にせず海中に止まってくれていた。

親子で浮上するときも、こちらが追いかけずに静観していたからか、ゆっくり目の前に浮上してくるときに、子クジラが授乳しているシーンも見せてくれた。

もう一隻は、同じシンガーと泳いだ後、ペアと泳いだ。

9月27日(金

2019年、into the blueトンガホエールスイム最終日。最終日は、ここ数年必ず何か良いことがあるので、期待した。この日も2隻で出港。風が上がって来ていたが、南へ。この日もブローは少ないが、すぐに遠くでクジラがペクトラルスラップをしているのを発見した。しかも、親子で!

接近すると、親子とエスコートだった。今年は、止まってくれない親子が多いので、エスコートがいると止まってくれないかもしれないという不安もあったが、しばらく移動した後、すぐに止まってくれた。しかも母親もエスコートも浅いところで止まっている。

エスコートは、母クジラと仲睦まじそうでありながら、歌まで歌っていた。

それに加えて、子クジラ(メス)は、躊躇することなく、こちらに向かって来て、目の前で暴れまわる。まるでエスコートと仲の良い母クジラが相手してくれないから、ふてくされて僕らで暇を潰そうとしてるかのように接近して来ては、身をよじり、テールで水面をバシャバシャかき回す。「ママが相手してくれないんだったら、この変な人たちとどっか行っちゃうからね〜」とでも言ってるかのようにあまり暴れまわるものだから、泡で見えなくなって、撮影が思うようにいかなくなることも。

そんなやんちゃな娘を下から静観しているお母さんクジラ。気にしていないようでいて、良く見ると目がとびだして、しっかりと娘を心配しているようだった。なので、こちらが子クジラを追いかけたりすると、きっと嫌がると思ったので、皆には、絶対に子クジラを追いかけていかないで、母クジラの上で待つようにしてと伝えた。

おかげで、何回もこの親子とエスコートと泳ぐことができた。

しかし、他の船とシェアするようになってから、相手の船のゲストが入るたびに、かなりの距離を移動するようになってしまい、もう1隻の船を呼んでシェアした頃には、まったく止まらなくなってしまったようだ。

コンディションが良くなったために、遠出ができたおかげで、最終週も毎日クジラと泳ぐことができた。気づいてみたら、グランドスラム達成者も!どうしても良い時と比較してしまうから、控えめな発言になってしまう。参加してくれたゲストは、「いない、いないって言うけど、すごく毎日沢山見れて感動しましたよ」と言ってくれた。

最終日には、今年一番やんちゃな子クジラにも遭遇できた。滞在中の様々なトラブルの対応や、ゲストにクジラを見せてあげなければと言うプレッシャーで、毎回「もう来年はやめようかな・・・」と思うこともあるのだけど、最終日にこういう良い遭遇があると、「やっぱりまた来年も!」と気持ちが前向きになる。

Week8に参加してくれた皆さま、ありがとうございました。

◆2020年のトンガホエールスイムに関して◆

2020年のスケジュールは、すでに確定していて、すでに仮予約のご連絡もいただいています。
スケジュールは以下になります。
こちらもご興味のある方は下記contctからご連絡ください!
来年は是非トンガで一緒にクジラと泳ぎましょう!

◆2020年のトンガホエールスイムスケジュール日程◆

week1 8月9日(日)〜8月16日(日)
week2 8月16日(日)〜8月23日(日)
week3 8月23日(日)〜8月30日(日)
week4 8月30日(日)〜9月6日(日)
week5 9月6日(日)〜9月13日(日)
week6 9月13日(日)〜9月20日(日)
week7 9月20日(日)〜9月28日(日)

<詳細・お問い合わせはこちら>
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文:越智隆治
写真:越智隆治、岡田裕介、樋口諒平

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