今年からスタッフをさせていただきます、篠宮龍三です。
どうぞよろしくお願いします。
今回、篠宮はW4からW6まで滞在し、沖縄のフリーダイビングスクールの生徒さんをお迎えしつつ、into the blue、越智さんのお手伝いもさせていただきます。
撮影:右近倫太郎
フリーダイビングを20年やってきましたが、この数年は競技からは離れ、世界の海でイルカクジラの水中撮影を行っています。現役時代より、鯨類には特に親しみを感じています。水深1000m以上も素潜りし、何千キロも泳いで海を旅をするクジラたち。フリーダイバーにとってクジラは神様のような存在なのです。
ジャック・マイヨールは生前、「イルカやクジラたちは我々人間の従兄弟ようなものだ」と言っていました。そしてその従兄弟に会うために、世界記録や国内記録を持つロシア、オーストラリア、中国、韓国などの選手もこのトンガに集まってきています。大会ではない場所で仲間の選手たちと再会するのはとても新鮮で心楽しいものです。
8月26日(月)
この日は、スタッフとweek3のゲスト1名と海に出る。トンガシカで親子と遭遇。あまり近寄れない感じだったので、すぐに諦めて、ノースベイで別のペアを順番待ちして撮影した。
8月27日(火)
さて、今回で3回目のトンガ。week4のゲスト初日はどうなるかな!?
越智、稲生、篠宮が3船に分かれて出港です。
南風が強く、波も高いため、外洋には出ず内湾でクジラを捜索。
風波が高いためなかなかブローが見つけにくい。
ヌアパプの南を通り、フンガ島へ。親子の二頭がいたが、他の船に譲ってもらった時にはロストして見えなくなってしまう。なかなか発見できず、船上にはやや重い空気が。
出航してかれこれ4時間半。まだ水中でクジラを見ていない。焦りが出てくる。
冬の沖縄でもスクール生とクジラスイムを行っていますが、何度経験してもこの「水中でクジラが見られない」というプレッシャーは辛いものがありますネ。海もクジラも自然相手とはいえスイムできないとなかなかしんどいものがあります。
そこに吉報!無線でのんびりしている親子の情報が入る。
最後はこの子たちにかけよう。船長ベニと相談し現場へ急行。
二隻先着してすでにスイムしている!その後一隻離脱。
残りの一隻とシェアしながら交代でスイム開始。
1回目のエントリーはクジラが嫌がるような動作やアプローチに特に気をつけて、慎重にスタート。
遠目からまず観察すると、お母さんはのんびりしていてあまり神経質ではなさそう。
子供は明るいグレーでまだ生まれてさほど月日が経っていない感じ。
体長は4m前後。泳ぎもまだぎこちなく、あどけない感じが微笑ましい。
興味を持ってこちらにグイグイ寄ってきてしまう。やんちゃな子だ。
2回目のスイムでお母さんの目を見るとほとんど閉じており、リラックスモード。
ゆっくり目が開き、目があった。我々を受け入れてくれており、怒っている目ではなかったのでひと安心。
もう一回いけるかなといい感触。
3回目のスイムでは長い時間親子クジラを観察することができた。子供も3−5分おきに浮上し我々の周りをくるくると泳いで回ってくれた。
追いかけず水面でゆらゆらしていれば母親も警戒心を出して急浮上し、子供をさっと連れて行くということもない。
カメラを持つとつい近寄ってしまう。そこをぐっとこらえてあちらから寄ってきてくれるタイミングを待つことがやっぱり大切。
いいクジラが出て気分が乗っているときに興ざめかもしれませんが、船上、水面、水中、そしてスイム後に赤ちゃんクジラをくれぐれも追わないで!とゲストさんに説明させていただきました。
ラストはかなり近くに母クジラが浮上。至近距離で撮影することができた。
胸ビレや尾びれを振って攻撃してくることもなく、母親はゆっくり浮上して呼吸し、またゆっくり沈んでゆく。
親子の微笑ましい姿をゆっくり見ることができ、いいスタートの初日でした。
その他に見たクジラは、親子と親子とエスコート、ペア。
親子は、9月3日にまた遭遇した親子。親子とエスコートは、透明度が悪い海域だったが、止まっていて、親子に近寄ろうとすると、エスコートが人に向かってくるクレイジーなクジラだった。それでも、ゲストは、「ナイトみたいでかっこいい!」大喜び。
8月28日(水)
前日から続いた南風が弱まり海が落ち着いてきた。
この日も越智、稲生、篠宮の3船で出港。
沖へ向かう途中に特大のダブルレインボー!
これはいいことありそうな予感。
虹を眺めつつクジラを探していく。
頭数の多い南の海域へ。
エウアカファ島から10km南下。
早くも一頭発見。
だが速いスピードで泳ぎ去る。
その近くてブリーチする一頭。
二回のジャンプを見せてくれた。
その後も一頭発見、ハイスピードで通過して行く。
そして連続ブリーチする元気な一頭を発見。
しかし近づくとブリーチ終了。とほほ。
ペアを発見。興奮状態で尾の裏側がピンクに紅潮している。
くるくる回って動きが読めず。
水中でアプローチするもスイッチーで泳げず。残念!
速いスピードの親子。
これはエントリーすらならず。
その後、親子+エスコートを発見。泳げたがめっぽう速い。
一回きりだったがなんとか水中で姿が見られた。
ここで、ようやく本日1回目のスイム。ほっ。
この南の海域は頭数は多いものの、やや荒れ気味でコンディションは厳しい。
今日もなんだか我慢の1日になりそうな予感。あーつらい。
連続でブリーチする一頭。
すーっと通過して行く。
その後も別の一頭。通過。
なかなか水中エントリーできる子が見つからない。
時間が無為に過ぎてゆく。そろそろいい子に会いたい。
そこでグラディエーター号からゆっくりしている親子の情報をもらう。
先着している船の順番待ちをすることに!
我々の順番がやってきた。
今日も我慢を重ねて、やっと泳げた!
母親は15−20mでステイし15分間ほどレスティング。
子供は5分間隔で浮上。
とても無邪気で好奇心旺盛だ。
人を怖がらずどんどん寄ってくる。
近くて人を覗き込んでくる瞳がなんとも可愛らしい。
水面でゴロゴロしたりくねくねしたり。
体色はまだ明るいグレーで産まれてまだひと月ほど。
母クジラの胎内にいたころの線も体側に残っている。
ガイドのファリキが子クジラの前できり揉み状に回転するとその後真似をするかのようにくるくる。
パフォーマンスでコミュニケーションを取り合う人とクジラ。
まだ前日のうねりもあり、厳しい海況だったがなんとかラストに
いい親子に会えた。やんちゃなちびっ子に救われた。
ゲストさんも子クジラをたくさん撮影できたようで本当に良かった。
ちなみに、このトンガツアーのために月100時間も走り込んで体を作ってきたというゲストさんと同船。
それだけクジラへの情熱があるんだなあ。
現役を離れて早3年。
ぐうたらな元アスリートも見習わなければ。
その他に見れたクジラは、ペアと親子
止まらなかったが、子クジラが50回以上ブリーチングをしてくれて、その前に落としてもらい、水中から子クジラのブリーチング目の前で何度も目撃した
グループ集合写真
8月29日(木)
この日も3船で出港。
篠宮の船はまずはフンガ島北の海域へ。
現場海域に到着すると早くもヒートラン情報が無線に飛び込んできた。
今日は幸先が良いと、メンバーは色めき立つ!
というのもこのメンバーは前日、別船でスイムを試みるもなかなかクジラも海況も厳しく思うようにならない状況だったとのこと。また無線もあいにく故障してしまい、他船からのクジラ情報も入手できず泣く泣く帰港。今日はなんとしても、という思いがメンバーには強かった。
ヒートランは6頭以上との情報。
いやでも期待が膨らみます。
他船やクジラの邪魔にならないように3kmほど離れて待機。その間も別のクジラを捜索。
2-3頭ほどこの現場にはクジラがいるが、アプローチならず。しかし、今日はそれでも心の余裕を持っていられる。ヒートランが待っているのだ。
その後、我々の船にヒートランエントリーの順番が回ってきた。
北の海域は水が青く、クリアだ。
数頭のクジラたちをワンフレームに収めるのに最適な状況なのだ。
エントリーすると最高にブルーな水が目に飛び込んできた。
その後、ゆっくりをクジラたちが姿を見せ始める。
まずは3頭確認できた。
まるでイルカたちのように縦回転、横回転しながらお互いに追いかけっこ。
こんな動きのクジラ、初めて見ました。イルカがじゃれあっているかのようで面白い。
何度もエントリーしながら前日の鬱憤を完全にはらすゲストさんたち。
喜びが大爆発。
お待たせし過ぎたかもしれません。
そして浅い砂地にヒートラン会場を移して宴は続く。
太ももがパンパン。
ああ幸せです。
たくさん泳いで現場を離脱。
クジラを探しながら南進。
オバカ島の西側へ。
すると今度は連続ジャンプ祭り!
船上はまたも歓喜に包まれる。
もうこれで帰港してもいいくらい。
船上も水中もたくさん見られて大満足。
まだ昼を回ったばかり。
その後もスイムできそうな子を探しつつ。南進。
ペア、1頭、4頭ほどのプチヒートランなどを確認。
親子も現場海域にいました。
水中でのアプローチは厳しかったので断念。
しかしながら、今日はみなさんホクホク笑顔で帰港されました。
よかったですね!
その他に見れたクジラ
シングルとペアとヒートラン
1隻は、ホエールスイム前に世界で一番行きたいビーチリゾートに選ばれたこともある、モウヌ島に上陸してつかの間のビーチリゾートライフを楽しみました。
8月30日(金)
W4のゲストさんたちは今日で最終日。
4日間本当にあっという間ですね。(泣)
そして沖縄の我がスクール生はこの日が誕生日。
海からのバースデープレゼントはあるかな!?
マリナーズケーブ前でまず一頭。
なかなか上がってこない。これはシンガーか?
ガイドのキシがチェック。
残念ながら歌っていない。
南へ向かう途中で特大アーチ。
まずは虹とクジラのコラボが誕生日プレゼントかな。
南進。
オバカ島南、連続テールスラップ。
バチコンバチコン。
あんなに水面叩いて痛くはないのかね?
さらにこの海域で5頭のヒートラン!
まだ朝早い時間帯だったので、3船くらいしか現場におらず
シェアしながらスイムスタート。
透明度があまり良くなく、写真は少しだけ。
エントリーは数回でき、水中で5頭が隊列を組むかのように泳ぎ去る勇姿をしっかり見ることができた。
その後は近くの海域でペアとスイム。
くねくねと身をよじらせながら泳ぐ。
どんなことをおしゃべりしているのかな。
なんだか仲睦まじいペアでした。
ゲストさんのリクエストで、ケーブに行くことに。
まずはマリナーズケーブへ。
ここは洞窟内にエントリーするときに3mほど潜り、洞窟内へ向かって水平に5mほど泳いで進入する。
完全な素潜りビギナーさんにはやや難易度が高いかも。
中はエアドームになっていて海面の上下で気圧が変化。その影響で洞窟内に霧が発生し、また瞬時に晴れる。水面のブルーのリフレクションが美しいトンガの青の洞窟。
お次はスワローズケーブへ。
ここは水面を泳いでそのまま洞窟にエントリー可能。
中には中国人フリーダイバーが15人ほどいて撮影大会。
みんなインスタ映えが好きなんだからっ。ほんとに。
その他に見れたクジラ
3頭のクジラ、ペア3組、親子とエスコート
船上での記念撮影
ネイアフの町にあるクジラの壁画の前で記念撮影
最終日の夜は、越智が長年交流のあるトンガ人の知り合いの家で豚の丸焼きと伝統料理をいただきました。ハネムーンカップル、誕生日のゲストのお祝いもあり、とても盛り上がり、ゲストも楽しい時間を満喫できていたようです
8月31日(土)
前日、W4のみなさんは帰途に。
この日は越智、稲生、篠宮のスタッフオンリーで出港。
北の海域でペア2群の情報をいただき現場へ。
その他の海域が時化ているのでこの海域にたくさんの船が集結。
長い順番待ちの間、一緒に乗っている子豚ちゃんに癒される。
日々すくすく大きくなっています。
ドナドナされないことを祈る。
4時間ほどスタンバイの後、ゆったりなペアにエントリーさせてもらう。
テールを上に上げた状態でじっとレスティング。
本当に中性浮力、うまいです。
この肌のザラザラ感はやはり獣だ。
常日頃、沖縄のスクールでフリーダイバーを撮影しているため水中で人を撮影するのはやはり楽しい。
クジラとうまくコラボショットが撮れるとなおのこと嬉しいものです。
撮影中の稲生さんとペア。
ペアは15分くらい海底でレスティング。
ゆっくり浮上し、また15mほどの海底へ。
撮影中の越智さん。
今回、越智さんに撮影方法を直々にご指示いただく。
貴重なアドバイスに感謝です。
20mまで潜行し水面と白いテールを撮影。
たまには引いた絵もいいですよね。
クジラってどこを撮っても絵になります。
昔の船乗りたちは海でクジラを見たとき、さぞ震え上がっただろうなと思う。
尾でひと叩きされたら人間や小舟なんて一発でアウトだ。
間近で見れば見るほど、クジラへの畏怖の念が止まらない。
篠宮はクジラはある意味、神獣だと思っています。
いにしえの海の男たちが抱いたであろう畏れをおよばずながらもこの身のうちに感じつつ。
そんな作品を作りたいと思っています。
W4ご参加の皆様ありがとうございました。
またどこかの海で会いましょう!
篠宮龍三でした。
沖縄フリーダイビングスクール
http://apneaworks.com/school/index.html
指導歴18年、国内初のAIDAマスターイントラで、ジャック・マイヨールの記録を超えたフリーダイバー篠宮龍三がプロデュースするフリーダイビングスクールです。 より深く、長く、気持ちよく潜りたい方。イルカ・クジラと優雅に泳ぎたい方、ぜひご参加ください。
沖縄の美しい海で素潜りを思いっきり楽しんでください。
少数精鋭で初心者からやさしく丁寧に教えます。
コース内の水中写真をプレゼントしています。
◆2020年のトンガホエールスイムに関して◆
また、2020年のスケジュールも確定していて、すでに仮予約のご連絡もいただいています。
スケジュールは以下になります。
こちらもご興味のある方は下記contctからご連絡ください!
来年は是非トンガで一緒にクジラと泳ぎましょう!
◆2020年のトンガホエールスイムスケジュール日程◆
week1 8月9日(日)〜8月16日(日)
week2 8月16日(日)〜8月23日(日)
week3 8月23日(日)〜8月30日(日)
week4 8月30日(日)〜9月6日(日)
week5 9月6日(日)〜9月13日(日)
week6 9月13日(日)〜9月20日(日)
week7 9月20日(日)〜9月28日(日)
<詳細・お問い合わせはこちら>
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メイン文:篠宮龍三
文追加:越智隆治
メイン写真:篠宮龍三
写真:越智隆治、稲生薫子