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Photographers Diary

鹿児島は錦江湾のタコクラゲとシオミドロ ②タコクラゲ編

2021.10.06 / Author.Takaji Ochi

<夕焼けに染まる桜島と長水路のタコクラゲ>

2021年の9月8日(水)から14日(火)鹿児島に滞在。8日から13日の6日間で、タコクラゲの撮影を行った。撮影場所は、シオミドロと全く同じ、与次郎ヶ浜長水路。

タコクラゲのシーズンは、8月から9月。タコクラゲは毒性の弱いクラゲで、これだけのタコクラゲが群れるのは、パラオのジェリーフィッシュレイクが有名だ。鹿児島のダイビングショップSBで、長水路のタコクラゲの写真を見るまでは、まさか国内でこんな場所があるとは知らなかった。

<パラオのジェリーフィッシュレイク>

前回に紹介した、シオミドロとタコクラゲ、どちらを撮りたいかと言ったら、シオミドロにより興味があった。それに、タコクラゲは、時期的に8月、9月のトンガのホエールスイムの時期だったので、多分一生撮影に行く事はできないかなと思っていた。スケジュール調整して行ける可能性があったのは、2月頃が見頃なシオミドロの方だった。

いずれにせよ、コロナ渦になったおかげで、両方とも撮影に行くことができた。

心配だったのは、天候だけでなく、ベストと言われているシーズンに本当にタコクラゲが大発生してくれているかということ。今年は発生するのが早かったとダイビングショップSBの松田君から連絡を受けていた。早くに発生すると、その分早くに消滅してしまわないかと懸念した。問題は台風。以前台風の直撃があった時に、浅い長水路の海水が道路にまで打ち寄せ、その中にはタコクラゲも混じっていたそうで、台風一過の道路には無数のタコクラゲが打ち上げられていたこともあるのだと聞かされた。

時期はまさに台風シーズン。台風の進路を気にしながら、撮影日が来るのを待ちわびた。

結果は、茶色い体色をしていたタコクラゲの多くが白化して白っぽくなって、写真的にはかなり良い条件で撮影できた。シオミドロと違い夜の撮影になるので、多少雨が降っていても、全く撮影できないくなるわけではない。まあ、表面の濁りが入ってくることもあったけど。なので、よっぽどのことが無い限りは中止にならないのは助かる。6日間の撮影期間中、雨が降ったりもしたけど、毎晩タコクラゲの撮影を行うことができた。

昼間は、桜島や、南薩摩に行って、通常のダイビングを楽しんだ後、戻ってきてタコクラゲに集中できるのが嬉しい。しかも、シオミドロは潜るので、タンクの必要はあるが、タコクラゲは潜る必要がない。それどころか多くの場合階段のところに腰掛けて、半身を海水につけただけで撮影が可能だ。

タコクラゲ撮影:課題を修正して、毎日違ったテーマで撮影できる楽しさ

6日間の撮影だったので、様々な撮影にチャレンジできた。撮影した順に写真を紹介していくことにする。

1日目

到着日で本当は潜る予定ではなかったのだけど、思いの他タコクラゲの状態も、海のコンディションも良かったので、下見で潜らせてもらった。ストロボを使用して撮影したが、あまり気に入った写真は撮れず。2日目からはライトだけを使用してトライしてみることにした。

2日目

昨日潜ったイメージで、かなり白化して白くなったタコクラゲをより青白っぽく見せたかったので、ライトがRG BlueのSystem02(色温度5000K)を使用していることもあり、カメラ本体の色温度(ホワイトバランス)を下げて撮影してみた。CANONのカメラの場合、以下の表のように、設定の中に、わかりやすいホワイトバランス調整ができるモニター表示がある。瞬時に撮影を行うことが多いので、僕はこれを多様していることが多い。通常は、AWBから、くもり、薄暮、夕焼け空までの、モード設定で撮ることが多いけど、この時は、白色蛍光灯(4000K)や白熱電球(3200K)を使って、撮影した。

結果が以下の写真。編集ソフトはLight roomで、コントラストを変えたり、かすみの除去は多少いじったけど、基本色温度は撮影時のまま。白化していない茶系のタコクラゲが画面右下に1匹写っているけど、あとは白化している。個体の中には、傘の部分に青い太めのラインが入っている個体もいて、これがまた美しい。ホワイトバランスを下げるとそれが目立たなくなるのが少し残念だったけど、色合い的には、海中をイメージさせてくれる好みの冷色系の写真が撮影できた。

また長水路は外海から閉ざされた、干満のある室外プールみたいな場所でもあるので、ベタ凪になることも多く、写真のように反響面でクラゲが写っているような写真が気が付かなくても撮影できるのが良い感じだった。もちろん、意識して撮影したけど。

半水面も撮影した。白化していない茶系のタコクラゲだけだと、通常の設定だけでは、ここまで冷色系のイメージは出せなかっただろう。

これは、タコクラゲを集めるために沈めたライトから離れて、緑色に薄明るく光るくらいの距離から、その光をバックに、タコクラゲを同じ色温度で撮影した。手前のタコウラゲの傘の部分と触手の付け根が綺麗な青色をしているのがわかる。すべての個体がこういう綺麗な色を出しているわけではないので、メインに来るクラゲをできるだけ、こうした綺麗なクラゲにできるような構図を撮るように心がけた。

3日目

完全に日が暮れてしまうと、半水面の背景もかなり暗く潰れてしまうので、狙いを夕暮れ時の空が赤紫色に染まるタイミングに定めることにテーマを絞って撮影することにした。問題はその明るさで、タコクラゲが十分にライトの前に集まってくれているかということだった。しかし、この日のタコクラゲの数はかなり多く、長水路につくとすぐに準備をして撮影位置を確定して、その時間を待った。サンセットのベストな時間はそんなに長くは続かないので、このタイミングで撮影したいのであれば、早めに準備をすることが必要だ。RG Blueのライトを2灯使用してるので、半水面でも露出の取り方は簡単だ。バックの風景に露出を合わせて、手前のタコクラゲはライトの明るさを段階で調整して、シャッタースピードを固定して、絞りで露出を変えて撮影した。

今回、やってみたかった撮影手法として、円周魚眼での撮影があった。今まではあまり円周魚眼には興味がわかなったのだけど、これだけ同じ被写体に時間をかけることができるのであれば、ということで、撮影してみた。左が、2日目に日が沈んでから撮影した円周魚眼の半水面。右が3日目に撮影した円周魚眼の半水面。やはり夕焼けの時間帯の都市のビルのシルエットとの出具合と、空の紫から赤に変わるグラデーションが綺麗で気に入っている。バックの背景の色彩的に、クラゲも少し暖色系で良いかと思い、色温度は日陰設定(7000K)と高めに設定して撮影している。

 

完全に暗くなってから試したのが、赤や青のライトで撮影するとどうなるかということ。これはちょっとしたお遊び的な感じではあったけど、思いの他ゲストからも面白いと好評で、皆夢中になって撮影していた。これこそ、水族館の暗い水槽に入れられたクラゲたちが、光の演出で幻想的な空間を作り上げているみたいだった。皆一様にそんなクラゲだらけの空間に癒されていた。

 

4日目

土曜日で参加者も多かったので、あまり撮影もしないで、上から皆の撮影を眺めていることがほとんどだった。ただ、二つほど試したい撮影があったので、それを試してみた。1つ目は、夕暮れ時の半水面で、ビル側でなくて、長水路の反対側、外海の錦江湾側に見える桜島とタコクラゲを絡めての撮影。これは、長水路のビル側の方から桜島に向かって撮影するわけだけど、なかなか身体を安定できないのと、ライトを固定して置いておける位置もあまり無いために、何度か試行錯誤してみた。結果は、この日はライトを照らさなくても、クラゲが群れているエリアが、長水路の中央付近だったので、ライフジャケットを借りて、ウエイトを付けないで、水中ハウジングに固定した自分のライトだけで、水面に浮遊して撮影した。

なかなかクラゲが上手く集まらないし、下手なぎで、穏やかな水面とは言っても、身体が安定できないので、撮影には苦労した。水面には、焼けた空が反射して綺麗だったので、意図的に水面が映るような高さを調整して撮影した。また長水路の海側を散歩する人影も気にしながら撮影した。この写真は、自転車に乗る多分、息子さんと、一緒に歩くお母さんのシルエットがタイミングよく入ってくれたので、気に入っている。唯一残念だったのは、桜島が全く噴煙をあげていなかったこと。

この写真と別カットを、産経子どもニュースに使用させてもらった。2021年10月、いくつかの小中学校の壁に貼られることになる。これはゲラ段階の記事なので、訂正が入ってるけど

二つ目は、マクロで撮影したいと思って撮影した写真。これはストロボ光で撮影していて、カメラの色温度は白色蛍光灯モードで撮影した。ワイドで撮影するよりも、タコクラゲの傘のドット模様や花ビラのような模様がはっきりわかって、これはこれで可愛くて好きな写真。タコクラゲは、英明で、Spotted Jellyfishと言う。点々が沢山あることからついた名前だろう。個人的には、タコクラゲより、Spotted Jellyfishの方が呼び方としては好きかな。

5日目

日曜日もゲストが多かったので、土曜日よりも撮影しないで、防波堤に腰掛けて、皆の撮影を見守りながらシガリロばかり吸っていた。

6日目

ほとんどのゲストが帰り、ゲストは2人だけになった。ゆっくり撮影できるかなと思ったのだけど、2人とも、ライトを持ってきていなかったので、5台持ってきたRG Blueのsystem02を4台を貸してしまった。タコクラゲの位置が長水路の南から北の端に大移動していたので、半水面の背景も違うし、ワイドも撮影したいな〜とは思ったんだけど、ゲスト2人も最終日で、撮りたいものもありそうだったので、「やっぱ返して」とも言えず、最終日はマクロ撮影のみ行った。ちょっと意識してやってみたことがあるのだけど、思いの他、不思議な色合いで撮影することができて、満足だった。

色々撮影してみたけど、結果として、タコクラゲだけの写真だと、水族館の水槽で撮影してるみたいになるから、幻想的ではあるけど、こんな都会の中に、こんな不思議な自然現象が起こるんだということを伝えるには、半水面は悪くない。

写真をジャーナリステックな作品とアーティステックな写真に分類するとしたら、半水面はジャーナリスティックな写真に分類されるかもしれない。逆に、流し撮りや最終日に撮影したマクロの写真はアーティステック?

好みの写真は、人ぞれぞれなので、自由に撮影すれば良いと思っていて、こおシオミドロとタコクラゲは、何日か滞在できれば、前の日の撮影を反省して、また違う撮影にトライできる。囲まれた環境で、しかも浅瀬。ほとんど危険も無く、止まっての撮影が多いこともあり、構図を考える時間的余裕もあるから、撮影すれば、それなりに毎回絵になる。だから写真を撮影するのが好きになるだろうし、水中撮影のスキル向上にもなる。

タコクラゲ以外で見れる海中景観

昼間は、できれば1回は、昼間のタコクラゲも撮影していたかったけど、それは次回のお楽しみとして、錦江湾や南薩摩で撮影できる海中景観を何点か紹介する。

錦江湾

  

南薩摩

 

2022年の撮影スケジュール

2022年の2月4日(金)〜8日(火)まで、このシオミドロ撮影で、参加者を募ってスペシャルトリップを開催します。すでに、土日は満席だが、7,8日の平日はまだ少し参加可能です。興味のある方は、以下のロゴをクリックして、お問い合わせのページからフォームを送ってください。

◆ご興味のある方はこちらよりお問い合わせください。
https://takaji-ochi.com/reservation/

 

 

 

 

 

 

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