INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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Photographers Diary

2006年マーシャル取材、アクシデント続きの3環礁クルーズ3

2006.09.21 / Author.


開拓ダイビングでの小さなアクシデントその3
ファーストステージのOリングが破裂して、エアが噴出す

2日目のファーストダイブは、環礁北に移動して環礁内の大きな隠れ根をリサーチすることになった。北東側には、いくつかのチャネルが点在している。そのすぐ中に発達した隠れ根なので、透明度は良さそうだった。東西に細長い隠れ根の南側を撮影チームが、北側をゲストチームが潜ることに。水深15mくらいまでは根から急なスロープが続き、そこから緩やかな砂地とサンゴのパッチが続くリーフになっていて、25mくらいまで続いた後、傾斜が急になり深場へと落ち込んでいる。
流れはチャネルに向かってゆるやかにアウト。エントリーして緩やかな砂地の広がるエリアは、無数のガーデンイールのコロニーになっていた。砂地に着底して、そのコロニーにスティーブ氏がカメラを向けた途端、「ボン!シュー!!」と激しい音とともに、彼のファーストステージから激しくエアが噴き上げた。青い海中に真っ白な噴煙を上げるかのようにエアが充満していく。
僕は自分のオクトをつかんで彼の目の前で、必要かと尋ねる。しかし、彼はことのほか冷静に、しょうがないなと苦笑いするような感じの表情を見せて、でも大丈夫とサインを送りながら、そのままゆっくりと浮上を始めた。僕はその浮上していくシーンを数カット撮影した後、彼がボートに戻るのを見届けてから、海底の撮影を再開した。
僕も以前、フィジーで潜ったときに、同じことを経験していた。要するに、ファーストステージのOリングが磨耗して、ちぎれてしまい、そこからエアが噴出すのだ。エアが噴出しても、レギュからはエアが出続けるので、原因が理解できていれば、そんなにあせる必要はない。エントリー直後だったし、水深もそれほど深くないから、ボートが上にいるのがわかっていて、予備タンクがあることもわかっていれば浮上してタンクを代えれば済むことだ。まあ、慣れていない人にとってみれば、十分パニックの原因にはなるトラブルだろうけど。
そのポイントの状況、流れや深さ、ボートの有無などを確認して場合によっては、彼にオクトを渡して、タンクのバブルを閉めて一緒に浮上した方が良い場合もあるだろう。僕がフィジーで同じような状態になったときは、ボートに予備タンクを積んでいなかったので、すぐにガイドからオクトを受け取り、タンクのバブルを閉めてもらって一度浮上した。そのときの水深もやはりエントリー直後の潜行中で15mくらいだったと記憶している。早めにバルブを閉めたにも関わらず、200近くあったエアはあっという間に残圧50になってしまっていたので、そのときは予備タンクがないから、しばらくはそのタンクで潜って撮影を行い、エアがなくなってからはガイドのオクトを加えながら、撮影を続けた。もちろん、あまり深くは潜らないようにしていたけど。
熟練したダイバー同士であれば、数本も潜ればどれだけ冷静に潜れる人かがわかってくる。スティーブのこのときの何事もなかったかのような行動は、一緒に潜っていて、僕にはとても心強く感じた出来事だった。
その後彼は何事もなかったかのようにタンクを代えて戻ってきて、そのまま撮影を始めた。エキジットしてから、浮上後の話をしたが、やはりエアは残圧が50を切ってしまっていたそうだ。僕が「あの浮上のシーンを数カット撮影したよ。アクシデントがあったにも関わらず冷静に浮上していってる感じでかっこよかったよ」。と言うと、「見たいな」と言って笑った。クルーズが終了して下船する直前に、彼があの写真を欲しいと言ったので、データをあげた。

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