INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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Photographers Diary

2007パナマシティーへ1000キロドライブ

2007.06.27 / Author.

朝4時30分、3週目のメンバーを見送ってから、しばらく部屋でネットをつなげ、朝7時前には、ウエストパームビーチから、約1000キロの道のりを車で走り抜けて、フロリダ半島の西に付け根に位置するパナマシティーまで移動する。

さすがに一人でこの距離を1日で走りぬけるのは、大変だった。3週間連続のクルーズ乗船で、疲労も溜まっていたし、寝不足でもあったから。途中のサービスプラザでどうしても耐えられなくなって、1時間30分の仮眠を車中で取った。寝方が悪かったのか、左側の首を寝違えてしまった・・・。空はとっても青いのに、首が痛い・・・。
それでも久しぶりの一人での長距離ドライブ。子供の頃、家族で走り続けたオーストラリアやニュージーランド、アメリカなどの放浪の旅を思い返しながら、ハンドルを握る。あの頃は、道も悪かったし、地形に合わせてくねくねと曲がりくねった国道をのんびりと走っていた。でも今は片道2~3斜線のターンパイクや、ハイウエイがその土地の地形を無視するように、大地をまっすぐに走り抜けている。確かに早くて、便利になったんだけど、風景が遠くて、殺風景で味気ない。
つまらないから、時間がかかるのを承知で、途中から僕はハイウエイを降りて、パナマシティーまでのんびりと海岸線の道を走ることにした。タラハシーという町から、海岸線に向かって南下。道はいつしか対面の1斜線になる。木々が近くなり、道が曲がりくねる。ビリー・ジョエルとか、ブルース・スプリングスティーンとか、昔なつかしい音楽を流すラジオ番組を選局して、ビーフジャーキーをむしゃむしゃとかじりながら、運転を続ける。
運転をしながら、自分の生き方は正しいのかな?これでいいのかな?と自問自答してみるのだけど、当然のことながら答えは出ない。でも、大切で、大好きな家族がいて、イルカやクジラ、ダイビングを通じて知り合った、面白くて、楽しくて、陽気で、素敵な沢山の人たちに囲まれて生きている人生は、決して悪いものではないと思える。
この年になっても、そういう人たちとの出会いが、自分にとっての大切な宝物なんだなと思えるのは、きっと幸せなことなんだろうな。な~んてかっこつけて、思ってみたりして。
そんなことを考えながら、メキシコ湾を望む海岸線をパナマシティーまで走り抜けた。ペリカンが10数羽の編隊を組んで空を飛ぶ姿がかっこいい。海岸線には、新しくて瀟洒なホリデーハウスが点々と建ち並ぶ。その合間合間に、寂れた漁村跡が点在する。朽ち果てた姿が、哀愁と懐かしさを感じさせる。いつか、こんな瀟洒なホリデーハウスを建てたいと思う反面、朽ち果てた漁村に妙に惹かれる。写真を撮りたいと思うのも、そんな漁村の姿だったけど、今回は目に焼き付けるだけにすることにした。今はただ、走り抜ける風景を見るだけにしたいと思った。
結局この日は1枚も写真を撮らず、助手席に用意していたカメラは、僕が食べ散らかした、ビーフジャーキーやポテトチップス、ポップコーンの袋の下に無造作に転がされたままだった。

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