モアルボアルでダイビングに使用していたのは、バンカーボートと呼ばれるフィリピン特有の形をした、アウトリガー船だ。

海中から見たシルエットが、特徴的で、エキジット時に、ついダイバーを絡めて撮影してみたくなる。だから、ダイビングそのものよりも、エキジット時、船の下で長い時間かけて、撮影することも多々ある。
モアルボアルでも、エキジット時に、何度かこのバンカーボートとダイバーのシルエットと絡めて撮影したりしていた。

チキチキダイバーズの船には、それぞれ3人の子供たち、天君、花ちゃん、ゆめちゃんの名前がつけられていて、最初の船から、「天神」、「花姫」、「ゆめあみ」という名前が船の側面に書かれている。コンディションの良い海だと、その名前も海中から見ることができる。僕が特に好きな名前は、3人目の子供、ゆめちゃんの名前がついた「ゆめあみ」号。

ベタなぎの海中から見上げると、その「ゆめあみ」の名前が、ゆらゆらと優しくゆらめいて見えて、本当に夢見心地になる。皆がペスカドールのサンゴを楽しんでいる間、僕は船底にへばりついて、ゆらゆらと揺れる「ゆめあみ」の撮影に専念していた。
彼の子供たちや、自分の子供たち、世界中の子供たちが、自分の夢をゆっくりと編んでいける。そんな世の中になればいいのにと思いながら。