INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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Photographers Diary

ヘルフリッチからバショウカジキへ

2010.03.04 / Author.

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今日は、午前中にペリリューの南にあるアンガウル島へ遠征に出かけた。最初も潜ったのは、以前にも紹介したサンドガーデン。今回はビデオを持って、潜った。

2本目は、イーストコーナー。前回は、ここでヒレナガカンパチ数匹を目撃した。パラオでは水深100mより深いところに生息しているらしく、かなり珍しいらしいのだが、あまりピンと来なかった。ガイドの遠藤さんがあまりに熱心に撮影するように促したのは、そういう理由だったのだ。
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今回は、エキジット直前の安全停止で、突然、下から光り物の群れが浮上してきた。向きをかえる度に、太陽の光に反射して、キラキラと輝くその群れは、徐々に接近してきて、巨大な渦となった。スマの大群だ。撮影体勢に入っていて、視界が狭まっていたのだけど、一瞬後ろを振り向くと、僕たち,全員(5人のダイバー)が、このスマの大群に取り囲まれていた。
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あんな群れ、初めて見た。興奮しながら撮影を終え、ボートに戻る。「あれ、何匹くらいでしたかね?」と今日から、合流したサザンマリンラボラトリーズの坂上次郎さんに訪ねると、「数万じゃないですかね」との答え。「そんなにいたんだ~」と感心していると、「スマだけに、数万」と付け加えた。
。。。。ダジャレかよ。
そう思ったのだけど、ガイドの遠藤さんも、「ダジャレじゃなく、数万って感じでしたね」とフォローを入れる。確かに、写真では表現できないけど、本当に凄い大群だった。あんなスマの群れはいままでみたことがない。
アンガウルでの2本のダイビングを終了すると、荒れ気味の外洋をペリリューへと引き返した。ランチ休憩の後、潜ったのは、アンティアス2。マクロメインのポイントだが、僕はここで、過去2回、安全停止中にバショウカジキを目撃している。
レアなマクロを堪能した上に、バショウカジキまで狙えるポイントなんて、そうそうあるものではない。だから、実は、僕はこのアンティアス2が大好きなのだが、ペリリューを訪れるダイバーの多くが、大物、群れなど一辺倒だったりするから、なかなかリクエストしずらくて、「ここ、結構バショウカジキ出ちゃうんですよ」と小声で主張するのだけど、聞き入れてもらえないことの方が多かったりする。
この日は、マクロ好きなゲストと一緒にボートに乗っていたので、何の問題も無く、このポイントへ。さすがに3本目だったので、せいぜい30数mにいるヘルフリッチを撮影して、のんびり浮上。皆も水深5mのリーフトップにへばりついて、マクロ撮影を堪能していた。
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しかし、今日の流れは怪しかった。「なんか出そう。。。」そう思って、僕はあまり期待はしないまま、一人、沖合へふらふらと、泳ぎだした。いい感じの潮がかかっている。以前にバショウカジキを見たのも、2回ともこんな流れの時だった。
ふと、下を見ると、下から、サバヒーという魚が浮上してきた。結構、水面直下にいて、寄れないし、なかなか撮影が困難な魚だ。マクロレンズの付いたカメラを向けると、丁度良い距離まで近づいてくれた。はっきり言って、この魚をこんなに奇麗に撮影できたのは初めてのことだった。
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僕はそれだけで有頂天になっていて、撮影した画像を嬉しそうに確認していて、ふと、なんとなく後方を振り返ると、そこには、昨日、あれだけ「捜索作戦」を行なったにも関わらず、見ることができなかった、バショウカジキが。しかも、めちゃくちゃ近い!
一瞬、怯み、皆の方を振り返るが、姿は見えるものの、皆壁にへばりついて、マクロ撮影に熱中している。タンクを鳴らすものもない。頭の中では、(皆を呼ぶことより、撮ること考えろよ!)ともう一人の自分が、何もしないでぼ~っとしている自分に訴えかけていた。しかし、手に持っているのは、マクロレンズ。こんな時に近すぎるんだよ!
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僕は、その場を動かずに、マクロカメラをバショウカジキに向けた。撮影できるのは、身体の前半分だけだった。(全部はいらね~)。そう思いながらも、もうBCのポケットに入っている、こんな時用のコンデジを取り出している暇はない。水面直下にいて、ピントを合わせづらい、バショウカジキに、マニュアルフォーカスでピントを合わせて、立て続けに撮影をした。
ある程度撮影すると、バショウカジキは悠然と沖へと泳ぎ去っていった。再度、皆の方を振り返るが、誰もこちらに気づいていなかった。
あれだけ必死に探しても、見つからないのに、やる気の無いときに限って、出てくる。予期せぬ大物との遭遇って、いっつもそんなものですね。

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