INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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Photographers Diary

明日、ペリリュー島を離れる

2010.03.07 / Author.

今日で、ペリリュー島での水中撮影も終了して、明日には島を離れる。初めてペリリューコーナーで潜ったのは、もう15年程前のことだ。そのときは激流で、リーフトップから吹き飛ばされた。

WEB-LUEの取材で初めて訪れたのは、5年前。この海では、過去にも多くのダイバーが激流で流されて、長時間漂流したり、時には漂流の末、亡くなってしまう事件もあった。
その事も知っていたから、最初の頃は、「何でこんな海に、取材に来るようになったんだろう。できれば1回限りにしたいな」と思っていた。正直、潜るのが恐くて、いつも緊張していた。
それは、当時まだ、デイドリームがペリリューステーションをオープン前、あるいは直後で、この海に対しての、知識やデータの蓄積が乏しかった事も起因している。当時のガイドの秋野さんも、常に緊張していたに違いない。自分だけならともかく、あの海に多くのゲストを連れて潜る。自分ならあり得ない。
取材時は、いつも秋野さんと試行錯誤しながらの「挑戦」だった。全ての経験が新たな発見だった。2年後、メインガイドは、秋野さんから遠藤さんにバトンタッチした。初めて遠藤さんと一緒にペリリューエクスプレスを潜ったときに、秋野さんのダイビングスタイルとの大きな違いに、正直戸惑いを感じた。
ガイドによって、これほど、スタイルが違うことに、戸惑いを感じたのは、それが、ペリリューという海だったからに違いない。今では、多くのダイバーを受け入れ、その多くがリピーターとしてこの海に帰ってくる。しかし、僕は何度訪れても、海に対しての「恐怖心」は拭えなかった。なんとなく、落ち着いて潜ることができるようになったのは、昨年くらいからだ。
何で、ゲストの人たちは、平気で潜っているのだろうか?そんな疑問が常にあった。もしかしたら,強がっているだけなにかもしれない。恐怖に対して鈍感なのかもしれない。あるいは、自分が臆病過ぎるだけなのか。
ただ、言えるのは、いつもこの海で闘うガイドを100%信頼して潜っていた。信頼しなければ、潜れなかったし、まともな撮影なんかあり得なかった。デイドリームペリリューステーション開拓期の秋野さん、遠藤さんは、世界中で僕が一番信頼しているガイドたちだ。
僕のちょっとした動きや、撮影に対する気持ち、次に自分が起こすであろうアクション、、、全ての事を把握してくれていたと思う。そして、自分も彼らとの水中での微妙なアイコンタクト無しには、ほとんど攻めて行くことはなかった。年齢は自分の方が上だけど、大げさでなく、今まで生きてきた中で、一番信頼できる戦友だった。
この海が、命をかけて、人を信頼することを教えてくれたと思っている。彼らがいたから、これだけの撮影ができたと思っている。本当に感謝している。また、この島に帰ってきたい。そして、また、彼らと一緒に、この海に潜りたい。

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