INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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トンガ ホエールスイム

32日目(3週目最終日)、厳しい1日。最後に新しい親子クジラに遭遇

2007.08.25 / Author.

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快晴。しかし、風がまた強く吹き出した。予報では25ノット。この日は3週目最終日。僕のトンガ滞在も1ヶ月を越えた。トンガの前にバハマで1ヶ月半のドルフィンクルーズを終えた後、すぐにこちらに来ての1ヶ月半の滞在。

計3ヶ月間、ずっとスキンダイビングで泳ぎ続けての撮影。ゲストのトラブルのケアなどもあり、連日ほとんど休む暇も無く、疲労はピークに達しているようだ。夜の食事にビールが欠かせない身体になってしまっている(でも帰国すると、また一切飲まなくなるんだけど)。食事を終え、部屋に戻ると、ベッドに崩れ落ちて、電気も消さず、泥のように眠ってしまう。
荒れた海上でも、ずっとスピードボート上で立ちっぱなしでクジラを探しているため、ボートがはねる衝撃で痛めた左足の膝の痛みが取れない。泳ぐときにも激痛が走る。それでもクジラを見失わないように、オンゴが「泳ぎ続けろ」とボート上から指示を出せば、黙って泳ぎ続ける。3週目のゲストにお願いして、膝用のサポーターを買ってきてもらった。
この日は、3人乗船のプナに乗船。トニーは2人乗船のフルーク。エミさんが4人乗船のスパイホップ。
この日は風が強く、また限られたエリアでしか、クジラを探せない。しばらくは3隻とも、ほとんど成果が無いまま、時間が過ぎていった。海峡の中で、何頭かのブローを発見するが、全てシンガーのようで、すぐに潜ってしまう。外洋側は荒れていて、行くことが困難だ。オンゴは、この日、このシンガーしか良いクジラを見つけることは難しいと判断したのだろう。
一頭のクジラにターゲットを絞って、「タカ、クジラが潜った瞬間に、そのポイントに落とすから、シンガーを探せ」という指示。この日最後の皆も、全員で海に入り、一緒に探す。
しかし、今週は透明度が悪くなかなか見つからない。唄声は近くから聞こえてきている。ときに潜って、目をつぶり、唄がどちらから響いてくるかを確認したり、ボートを見て、オンゴが指示する方向を確認したりしながらクジラを探す。
しばらくして、潜っているときに、やっとシンガーを見つける。僕は浮上し、手を上げて皆に位置を知らせる。しかし、留まっている位置がかなり深い。透明度も悪くて暗い。撮影はかなり難しい。ダイブコンピューターで深度をチェックして素潜りしてみたら、23mまで潜って、それでもさらに下に止まっていた。
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しかも浮上するときに、こちらを警戒して、遠くに移動してしまうので、数日前のシンガーのようにまともに撮影することはできない。しかし、オンゴはこのシンガーとこの日ずっと付き合いうことに決めたらしい。僕が「深くて、透明度も悪いし、探すのに時間がかかるし、撮影は難しい」と伝えたけど、それでも何度も何度もトライさせた。ときには、まったく見つからない場合もあって、4人で水面で漂っているしかない場合でも、しばらくはピックアップせずに様子を伺っていた。
そんな事を4~5回繰り返しているうちに、シンガーが唄っているところに、突如他のクジラたちが現れれてヒートランになった。最後にボートに戻ったゲストが「はっきりしないけど、子供もいたみたい・・・」。というので、ボート上から確認してみると、確かに親子がいる。
同じように近くでシンガーを撮影していたフルーク、他の海域でクジラ探しをしていたスパイホップもやってきて、3隻がワンチャンスづつトライすることに。まずフルークがトライ。次にプナとスパイホップどちらがエントリーするかで、微妙な位置関係にいたのだけど、スパイホップが先にトライ。
最後に、プナが入る番になった。この親子は、やはりなかなか止まる様子が無く、最終的にエスコートと親子だけに分かれたのだけど、潜ったと思ったら、かなり先に浮上したり、そうかと思えば、同じ場所に浮上したりして、僕らを翻弄させていた。
しばらくは静かに追走して、様子を見る。またテールを挙げて深く潜ったときに、オンゴが「タカ、多分やつらは今回は移動しないで、ほとんど同じ場所にいるに違いない。そんな気がする。だから今潜ったエリアに落とすから、水面から探せ!」と言われ、今回はまず一人でエントリーして指示されたエリアを探しまわる。しかし、なかなか見つからない。
それでも、オンゴは、絶対いると確信したのか、他の3人にも「タカのところへ行け!」と指示を出したらしく、皆がこちらに向かって泳いできた。ケビンが、「向こうで子供のブローを見ました」と言うのでそちらに向かうと、「いた!」テールを上に、顔を下にして眠る母親を発見。子クジラは母クジラの脇の下に入ってまるで抱きかかえられるように身体を休めていた。
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僕らは浮上してくるのを待って、彼らの上で待つ。しばらくすると、親子がゆっくりと浮上を開始した。好奇心のある子クジラがこちらに向かってくるため、母クジラは向きを変え、一緒にこちらに向かって浮上。途中、どこからか黒いボディーのエスコートも姿を見せて、3頭で僕らの目の前に浮上してきた。
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僕はこの日最後のゲストを前に出し、彼らの後ろからクジラを撮影。移動中もまた潜るまで見失わないように追い続け、潜行ポイントを確認。同じようにテールを上に上げて一時止まったように見えたので、また手を上げて皆に場所を伝えた。しかし、その直後に親子の姿はさらに深みに消えて、姿がまったく見えなくなった。
潜って確認してみたが、まったく見えない。今度は別の場所に移動してしまったようだった。
その後、スパイホップが再度トライしようとするが、かなわず、結局3隻が1回づつトライして終了して、帰路についた。
この親子もまた、今まで確認したことのない親子のようだった。

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