INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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トンガ ホエールスイム

4週目、3日目・クジラのバナナちゃん

2008.08.30 / Author.

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天気が崩れてきた。まだ風はそれほど無いが、空には厚い雲が広がっていて、時折雨も降ってきた。

この日は、オンゴの操船する3人乗りに乗船した。チャネルの入り口付近で、トニーの乗っている4人乗りのプロティウスが止まっていた。どうやらコトアイランドには行かなかったらしい。様子を見ていると、すでに何かしらのクジラを見つけて付いているようだった。
僕らはチャネルを抜けて、反対側のサブマリンロック付近まで移動したところで、シングルのクジラを発見した。船を近づけると向こうから近寄ってきた。体のサイズや、体色がまだグレーっぽいところから見ても、昨年生まれて、今年母親とババウに戻ってきて、親離れしたばかりの若いクジラのようだ。
まだ母親と離れたばかりで、人恋しい、じゃない、クジラ恋しいみたいで、船から離れようとしない。エントリーしてみると、なにやら、口先の上にビニール袋みたいなものを乗せていた。最初はからまっているのかと思ったが、どうやらそれを口先に乗せて遊んでいるようだった。
おっぱいを沢山もらってから、母親と別れたのか、体は丸々としていた。しばらくこのフレンドリーな若いクジラと泳ぐ。しかし、水中でもかなり接近してくるので、距離を取りながら撮影していたのだが、ゲストの一人が撮影に夢中になり、接近しすぎてぶつかってしまった。
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それで驚いたのか、そのまま潜行していき、再度浮上してからは、しばらくはあまり近寄って来なくなったけど、それでも撮影できる距離で観察することができた。
人と泳ぐのよりも、どうやら船に興味があるようで、僕らが船に戻り接近すると、逃げずにこちらに顔を向けて様子を伺うように対峙する。あまりに近いので、オンゴが冗談で「何か欲しいのか?バナナが欲しいのか、ほら、やるぞ!もっと寄って来い!」とクジラにバナナを何度も差し出していた。おかしかったので、その様子を撮影。
そんな事もあり、このクジラの名前は「バナナちゃん」と名づけることになった。しかし、水中で見る丸々とした体を見ると、(バナナちゃんと言うよりは、ブタちゃんって感じだな~)と思いながら撮影をしていた。
朝から、昼過ぎまでこのクジラのバナナちゃんと泳ぎ、無線連絡したもう1隻の船が来たので、そちらにバナナちゃんを譲って、ブルーラグーンというリゾートのある島の近くにブローが何個か確認できていたので、そちらに向かう。
かなり近くまで来たところで、突然1頭がブリーチングを始めた。まだ撮影には距離があったのだけどさらに、接近するまでに、6回ほど連続で跳んでくれたので、2回ほど撮影することができた。
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子供のクジラはブリーチングを始めると何十回も繰り返すことが多いが、大人はそんなに何回も繰り返すことが無いので、なかなか撮影ができない。それに、海に入ることを優先している状態だから、尚更だ。だから、トンガでクジラの撮影していて、何が一番嬉しいかと言えば、大人のブリーチングの写真が撮れたときだ。
今年も何度かチャンスはあったけど、レンズのフォーカスをマニュアルにして別のものを撮影していたのをオートに戻すの忘れてて、急にブリーチングをはじめたので、フレームには入っているものの、全部ピンがぼけていた。2度目は、母親がブリーチングする直前の仕草で、「ブリーチングする!」というのがわかっていて、準備万端でカメラを構えていたのだけど、あまりに近すぎて、全身が入らなかった。
今回は3度目にして、やっと少しまともに撮影ができた。
そのクジラも6回ブリーチングした後は、静かになってしまったので、最初、トニーの乗船する船がトライしていた親子を探しに向かう。トニーと、その後にその親子にトライしていたエミさんからの無線では、水面からは、かなり見つけづらい様子だった。
周囲には別の船も無く、親子はすぐに見つけることができた。静かに船を近づけてエントリーすると、母親は完全に直立の状態で体を休め、子クジラはそこから少し離れたところにプカプカ浮いていた。
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こちらも全員がゆっくり浮きながら、流れに合わせて子クジラの方に流されて行くような感じで接近。子クジラの方も、少しだけこちらの様子を伺いに来たけど、すぐに母親の方に戻り、一緒に移動を始めた。かなり神経質な親子のようだ。
船に戻り、再度親子を探すが、確かになかなか見つからない。母親も子クジラも、ほとんどブローを上げずに、ひっそりと水面下に潜んでいるよだ。それでも、なんとか見つけて、2度目のエントリー。このときは、海中に水平に停止していたのだけど、僕らの姿が見えて、息の切れた子供が浮上を開始すると、母親も一緒になって浮上をしてきたので、そのタイミングで撮影するが、また移動距離が長く、ついていくことはできなかった。
トニーから無線が入り、もう一度この親子と泳いでから引き上げたいとのことだったので、そちらに先に入ってもらい、その後3度目、4度目と入水。3度目は見れたけど、4度目は移動中で見ることができず、その後に順番待ちしていたボートに譲って、帰路についた。
今週も、初日からちゃんとクジラ見せられるか心配したけど、3隻とも毎日水中でクジラと遭遇している。ただ、明日は天気がかなり崩れてくるらしいので、心配だ。

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