INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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トンガ ホエールスイム

2009トンガホエールスイム、最終日 さようなら、トンガのクジラたち

2009.09.13 / Author.

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とうとう、2009年のトンガホエールスイム最終日を迎えた。今年は、親子の個体数も多く、昨年までに比べて、ゲストにクジラを見せることが、かなり楽な年だった。ただ、天候、特に風はなかなかやまず、コンディション的には厳しかった。

この日も快晴だけど、風が強くて、クジラを探すエリアはかなり限られていた。
他の会社の船も、同じように、荒れていないエリアでスタックしている。こういう日は、必然的に、先に出港した船が、良いクジラを先に見つける可能性が高くなる。
しかし、遅く出れば、その船が泳いでいるクジラを後から譲ってもらえるので、クジラがずっと良い感じでリラックスしていれば、クジラに付いている船に無線で連絡して、後で譲ってもらえるように交渉しておけば、連絡を早めにし、了承を得た順に、優先順位が決まる。
最終日、コンディションが悪くても、できれば自分たちでクジラを探したい。そう思って、海に出た(トニーがフルーク、僕とエミさんがスパイホップ)のだけど、なかなか見つからなかった。
やはり、限られた範囲内では、限界がある。荒れた海域でペアを見つけて、一度入水してみる。海中で、近くで見るには見れたが、船に戻ってくるのが大変だし、クジラたちもその1回で外洋へと移動していった。
仕方ないので、穏やかな海域で、親子についていた船に連絡を入れて、泳ぎ終わったら、順番を譲ってもらう交渉をした。かなりゆっくり泳げるらしいとのこと。
2時近くになって、僕らに順番が回ってきた。その前にトニーには連絡を入れて、こちらに来るように伝えておいたので、交互に入ることに。落ち着いているのだけど、母親は息が短く、結構頻繁に浮上してくるし、少し移動するものの、撮影するには良かったかもしれない。
しかも、ノースベイの一番浅くて穏やかな場所だったから、泳ぐのも楽だった。
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この親子は、初めて見る個体だった。子クジラの性別ははっきりしない。これで、今年水中で確認した親子は25個体になった。名前は、女性スキッパーのNOFOの名前をつけた。ノフォは、トンガ語で「バイバイ」という意味があるそうだ。
最終日、今年トンガで遭遇した子クジラにつける最後の名前としては、ふさわしかったかもしれない。
2004年から、毎年、トンガを訪れるようになり、毎年沢山のクジラたちと出会ってきた。個体識別のために、名前をつけ、昨年会った親子と、また再会したときには、何とも言えない喜びを感じた。この1年間、彼女は一体、どこで何をしていたのかなと、ザトウクジラに対する、つたない知識で、雄大な海を巡る、今、目の前で子クジラとのんびり浮かんでいる彼女の姿を想像したりした。
僕らを警戒するように、「あたしの子供にそれ以上ちかよらないでちょうだいね」とばかりに、目を見開いている母親もいれば、「疲れたから、休んでいる間、子供の遊び相手していてね、よろしく」とばかりに、一瞥して、すっかり目をとじて眠ってしまう母親もいる。
しかし、実際には、クジラがどう思っているのかは、あくまで自分の想像の範囲でしかなくて、クジラたちの本心は、クジラたちで無いとわからない。自分の都合の良いように勝手に解釈してしまうこともあるけど、でも、少しでも長く一緒にいることで、なんとなく理解し合えていることもあれば、幸せに思う。
クジラも、イルカも、アシカも、マナティも、ダイビングも、実は人からなんとな〜く誘われて、「それもいいな〜。でもこういうのって楽しいな〜」と思いながら始めたものが、気がついたらライフワークのようになっていた。
なんか、そんな風に緩い感じで野動物たちと関わっているのが、自分には一番合っている生き方のように思える。
最後になりましたが、今年も参加者の皆さんから、多くの鉛筆を、ババウの子供たちに持ってきて頂ました。心より感謝いたします。前回は、鉛筆を子供たちに渡すところは、ブログには掲載できなかったけど、今回はオンゴとノフォにデジタルカメラをお土産に持ってきたので、きっと、それで撮影した写真を送ってくれると思います。
今回の鉛筆は、オンゴやノフォがボランティアで関わっている、障害のある子供たちの学校や、ババウでも離島にある学校の子供たちに届けてもらう予定です。
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送ってきたら、アップします。
2009年、トンガホエールスイムに参加して頂いた皆様、本当にお疲れさまでした。過去5年間にわたって、参加して頂いた皆様全員に、なんとか水中でクジラを毎回見てもらって、水中遭遇率は100%を持続しています。また、一緒にトンガのクジラたちと泳げる日があることを楽しみにしています。
トンガ王国、ババウ諸島、ネイアフのパラダイスホテルにて

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