INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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トンガ ホエールスイム

2010年トンガ、ホエールスイミング25,26日目風速35ノット。クジラと泳げない

2010.09.12 / Author.

9月7日、8日、風速35ノット。クジラが少ない上に、強風。通常ならおそらく船を出していない。船を出さないオペレーターも多かった。唯一の救いは、天気は良かったことだ。
今週は、僕たちがローテーションで休みを取りたいために、もともとゲスト3人だけを募集して、船1隻だけ出すことにしていた。しかし、このクジラの状況では、何日間か、もう1隻出してスタッフだけで乗船して、良いクジラを見つけたら連絡してあげるという方法を取ろうかと考えていたのだけど、この風の状況では、それも意味が無いと判断した。
初日は、僕がフルークに乗船した。救いだったのは、スキッパーのイッカが、他の船のスキッパーとかなり親しくて、この日出ていた他の船と協力体制を取って、クジラを手分けして捜索。もし、誰かがクジラを見つけたら、交代で泳ぐことに。
しかし、海は荒れまくりで、捜索範囲も狭まる。小さなフルークには、波を避けるスペースも無いので、僕らは波しぶきを被りまくり、びしょびしょだった。
ブローもまともに見つからない。ランチタイムになり、高い崖に囲まれて、一番風裏になって穏やかなエリアに停泊すると、他の船も集まってきた。こんな光景は今まで見た事が無い。ここしか、まともに休憩できるエリアが無いわけだ。
珍しいので、船をバックに記念撮影をした。この写真だけだと、本当に穏やかに見えるけど、この場所以外は、本当に大荒れだった。
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この後、他のオペレーターの船3隻で共同捜索作戦を取り、昨日クジラの親子がいたという辺りを捜索し、見つけたら交代で泳ぐということになった。本来であれば、ウォッチングのルールがあるのだが、この状況では、その通りに行動していては、捜索は困難だった。
マレスキングが親子を発見、荒波の中、なんとか泳げたと言うので、順番を待つことに。しかし、最初の1回以降、親子が動き出して、なかなか泳げないらしい。
一緒に捜索していた、マカイラは諦めて、港に戻り始めた。それでも、スキッパーのイッカは諦めずに、順番を譲ってもらい、親子にトライした。
荒れているし、透明度が悪い。母親が下で眠っている姿は確認できない。しかも、子クジラがかなり成長しているらしく、IKUMIの最後の方のように、母親からかなり離れて浮上してくる。なんとか、1度だけ、水中で子クジラを確認したものの、撮影できる透明度でも、距離でもなかった。
リピーターの女性2人は水中でチラ見できたものの、初めて来た男性は、水中で確認することはできなかった。その後もしばらく追跡するが、増々荒れている方に向かって泳いでいくので、諦めて帰路についた。
翌日の8日も強風は続いた。トニーがガイドで海に出るが、結局クジラとは泳げなかった。2日間、まともに泳ぐことができていない。この強風は今週いっぱい続くと言われていたため、明日も望みは薄そうだった。ゲストの一人は、滞在の延長も考え始めていた。
この日、7日間海に出ていた、アメリカのTVクルーの最終日だったために、翌実の9日は、海外青年協力の二人も呼んで、一緒に食事をした。TVクルーたちにとっても、ハードな毎日だったようだ。9日には、海から戻ってきたら、彼らの番組用にインタビューを依頼された。きっと捕鯨についての質問もあるんだろうなと覚悟した。案の定聞かれたけど、自分自身はっきりした答えは見つかっていない。
色々な矛盾や政治思想が関わっているこのテーマには、聞いて来る人の態度によっても、こちらも意固地な意見に偏ってしまったり、そうでない人の場合には、もっと冷静に話をすることもあったりと、自分も曖昧な意見になってしまう。
ただ、イルカやクジラや多くの海洋ほ乳類と海で接する事が多い自分にしてみれば、普通の人たちが、犬やネコを愛するのと同じように、彼らに愛着を感じていることは間違いない。
国としての思想も、個人の考え方も、きっと、常に,矛盾をはらみながら、時代とともに、変わっていくものだと思う。それが結果的に本当に正しいか、正しく無いかは別にして。。。
TVクルーたちは、狂信的なクジラ信者ではなく、冷静に現状や立場を理解してくれる人たちだったと思っている。同じように、この美しい海の環境を、未来に残して行くにはどうすればいいかと試行錯誤している人たちだったと感じた。また、どこかの海で会って、一緒にビールでも飲みながら、他愛の無い話をしたいと思った。
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