INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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スリランカホエールスイム2019 初めてのマッコウ、初めてのシロナガス

2019.07.11 / Author.

一度出会うと虜になってしまう、愛らしいマッコウクジラ

胸ビレ、短っ(笑)
これがマッコウクジラに対する第一印象。

トンガでホエールスイムのガイドをして早いもので今年で7年目。
しかし、マッコウクジラときちんと泳いだのは今回が初めてだった。
(厳密にはトンガでマッコウクジラを水中で見たことはある)

越智さんの写真でイメージトレーニングは完璧だったが、やはり百聞は一見にしかず、実際に自分の目で見るとその胸ビレの短さは最強の可愛さだった。


(短い胸ビレをぴこぴこさせ、威嚇して口をあけて近づいて来たが、全く怖くない笑)

18m級のオスにも一度遭遇したが、今回出会ったほとんどがメスのマッコウクジラ。体調は約8m~10m。

その大きな身体を持ち合わせているにも関わらず、人間に出会えば、「うわ!びっくりした〜〜」とでも言うかのように、一瞬で海底奥深くまで潜行してしまう。
時にうんこを垂れ流しながら。

しかもその量と臭いは半端なく、水面が一気に濁り、誤ってその中をスイムでもしてしまったものなら、「頼むから船には上がらないでくれ」とお願いしたくなるくらい臭いが身体中にこびりつく(笑)

今回も、マッコウクジラが糞を撒き散らしながら潜行した後、水面でカメラチェックをしていたら、潮の流れで“そのエリア”の中に到達してしまいそうになり、「うんこくる!逃げろ〜!」といって、慌てて船によじ登って難を逃れることも多々あった。

愛らしいのは、お腹が(肛門が?)ゆるいことや胸ビレが短いことだけはない。
歪な頭やしわしわな胴体、つぶらな瞳もまた私の心を鷲掴みにした。

真正面から見ると、噴気孔が頭の左側についているからか、頭はデコボコして見え、なんとなくひし形◇にも見えた。

通常は人間のことが怖いので、人間を見つけると避けて泳ぐのだが、一度、目が悪いのか、寝ていたのか、真正面から突進してくることがあった。

ザトウクジラは、テールを左右に振ったり、長い腕を動かしたりして、人を追い払うような仕草をするので、あまり近寄るのは危険だが、マッコウクジラは、ザトウクジラとは違い、テールを左右に振ることもなく、ずどんとした体型のまま直進してくるので、その寝ていた(?)マッコウが私の真横を通り過ぎる時に、デコボコ頭で、短い胸ビレを“ぴこぴこ”とさせながら近寄ってくる姿で虜になってしまった。

また、ゲストと話していて笑ってしまったのは、身体のしわ。
なんであんなにしわしわになってしまったのかということを予想していたのだが、水深1000mの深海に潜るので、圧力で皮膚がスクイズしてしまったのではないか説が一番有力だった。

が、であれば、浮上した時にあのシワは伸びるはずなのに、水面でもしわしわということで、謎は解明することはなかった。


(身体全体的にしわしわ。マッコウが川のようになって泳いできた)

世界最大の生き物、シロナガスクジラにも遭遇

「ブシュー!」と垂直に高く上がるブロー、世界最大の生き物シロナガスクジラだ。
その体調は約30m、しかし今回私たちが出会ったのは、それより少し小さいサイズであった。
シロナガスクジラもマッコウクジラと同様、身体の大きさに対してはかなりの小心者で、人の姿が見えると一気に潜行を開始してしまう。

逃げるのはボートが多いからではないか?
近年SNSでも伝えられているように、確かにボートの数は多過ぎる。
個人的には、ボートが多いこと自体は問題ないと思うのだが、その潜らせ方、また海に入る人の意識の低さが問題であると、今回自分の目でみて現状を確認した。

明らかに「自分とクジラの撮影がしたくてたまらない」といった雰囲気の人や、ひどい場合は、大の字でクジラの真上にダイナミックなしぶきを上げて飛び込んでいる人もいた。
中華系だけではなく、白人や様々人種の人がそのようにして飛び込んでいた。

「本当にクジラが好きで、純粋にクジラに遭遇したいとこの海に来ている人は何人いるんだろうか」、そんなことを思わざるを得なかった。

今回、世界最大の生き物に水中で遭遇できる時間は本当に限られていたが、シロナガスクジラの持つ魅力はやはりたいしたもので、あの大きさ、海水を掻き分けながら潜行するたびに見える、濡れて輝く美しいテールは、帰国した今でも忘れられない。

触ったことはないので本当のところはわからないが、たぶんマッコウクジラは触るとゴワゴワしていて、シロナガスクジラはツルツルしているんだろうなという印象。
ツルツルのテールに太陽の光が反射する光景はとても美しかった。

今回、真横の状態のシロナガスクジラを見るチャンスに恵まれた。
たぶん20m近くある身体は、背びれから尾びれまでの“真ん中の部分”が長過ぎるという、マッコウとは違った歪さを持ち合わせていたが、こちらは愛らしいというよりは、シュッとしたフォルムがカッコいいという印象だった。


(透明度の良い海域なので全身を見ることができた)

今回約1ヶ月に渡ってスリランカに滞在して撮影を行ったが、シロナガスクジラに関しては、正直ほとんど撮影はできなかった。

主催の越智カメラマンも、「今年が過去最高に個体数も少なく、成果がなかった」と残念がっていた。
それでも、全員が水中でマッコウクジラあるいはシロナガスクジラに遭遇できたことはとても運がよかったと語っていた。


(美しい凪になる日が何日もあった)

2018年は過去最大級でシロナガスが多く、2019年は過去最少の個体数。
1年で大きく変わってしまう海。
来年以降、どのようになっていくのかは誰にもわからないけれど、この経験は、今はまだ小さい子供をはじめ、一人でも多くの人にしてもらいたいと改めて感じた。


(時に1000匹以上の大群で姿を見せたスピナードルフィンたち。ほかにもコビレゴンドウ、ハナゴンドウ、ニタリクジラなども姿を見せた)

クジラという、「普段の生活の中では接することのない生き物と泳ぐ経験ができる」、「そういう経験ができる」ということを知っているというだけでも、そのことを知らない人とでは人生観に雲泥の差が出てくると思う。

まだ、クジラという生き物に出会ったことのない方がこの記事を読んでいてくれているとしたら、ぜひ一度出会っていただきたい、本当に素敵な生き物です。

レポート:稲生薫子

【2019年8〜9月トンガホエールスイム参加者募集中!】
※すでに満席の週も多数ありますので、ご希望の週がある方はお早めにお問い合わせください。
トンガスペシャルトリップページ

【2020年2〜4月スリランカホエールスイム参加者募集中!】
2020年もスリランカでのホエールスイムを開催予定です。
スケジュールは
week1 2月8日(土)〜15日(土) シロナガスクジラ狙いメインになります
week2 3月21日(土)〜28日(土) シロナガスクジラとマッコウクジラを狙います
week3 3月28日(土)〜4月4日(土) マッコウクジラ狙いメインになります
week4 4月4日(土)〜4月11日(土) マッコウクジラ狙いメインになります
week5 4月11日(土)〜4月18日(土) マッコウクジラ狙いメインになります

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