INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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トンガ ホエールスイム

13日目 子クジラのヒナヒナと再開

2007.08.08 / Author.


快晴なるも、風は止まず。今シーズンは今までのところ、なかなか風が収まらなくて、苦労している。それに、いまだに親子が少ない。他のボートの遭遇状況なども聞いたりしているのだけど、親子らしき個体に遭遇しているような話もあるのだが、「生後数ヶ月」とか、「昨年生まれた子供」とか、どうもはっきりしない。


この日、昨日(土曜日)海に出れなかった代わりに、オンゴがフルークを出してくれた。オンゴキャプテン、トニー、エミさん、僕の4人で海に出る。午前中はいつものことながら、なかなかよいクジラに遭遇しない。

フンガ島の内側の海峡でブローを発見するも、シングルのクジラで望み薄だった。フンガ島を北側から回りこんで、外洋に出る。透明度が良く、ここで出ればいいのだけどと思っていたが、すでに2隻の別のボートが、それぞれペアのクジラについていた。

しばらくクジラを探しながらゆっくりと流すと、さらに南の外洋で、激しくブリーチングを繰り返すペアを発見。かなり遠いが、そちらに向かってみることにした。遠くにいると激しくブリーチングしていてもボートが近づくと、ぱったりとやめてしまうことがほとんどだ。今回もそんな感じ。一瞬ボートに接近してきて、様子を伺っているようだったので、これならいけると判断して海に入るが、結局海中ではまったく確認することができずに逃げていってしまった。
やはり、外洋は波が高い。外洋での捜索を諦めて、ゆっくりと東のリーフの方へ向かう。たまにブローを発見するものの、ほとんどがシングルで、すぐに潜ってしまう。中には、ブリーチングを見せてくるものもいたけど、僕らがカメラを構えると、まったくそんな素振りすら見せないのに、「もうやらないな」と諦めてカメラをしまい、別の個体を探そうとボートを動かすとまたブリーチングをするという、どう考えても、「ナメテル」としか言いようのない行動を取るクジラもいた。
そんなクジラに対して、トニーは「あ~!ちくっしょう!はらたつな~」とマジで怒り、僕は「はははは~」と笑うしかなかった。
リーフを探し続け、もう2時も回った頃、オンゴが「親子だ!」と遠くを指差した。海域的には、この前「ヒナヒナ」親子を発見したエリアに近い。「ヒナヒナかな?」と聞くと「違う奴じゃないか」とオンゴ。トニーも「別の個体だ」と言うのだが、どうも体色が白くて、「ヒナヒナ」みたいだったが、確証は無かった。
どちらかと言えば別の親子であってくれた方が、期待が膨らむのだけど、確認のために背びれを撮影して、拡大してみると、「ヒナヒナ」と同じ位置にサメに噛まれた傷があった。「これはヒナヒナだよ。同じ位置に傷があるよ」と写真を見せる。トニーも自分で撮影した写真を見て「本当だ、ヒナヒナだ」と確認。
再開の嬉しさと、別の個体ではなかった失望感で複雑な心境のまま、しばらくは親子が落ち着くまで、静かに追走を続ける。ヒナヒナは頻繁にテールスラッピングを繰り返しながら、少し潜行して移動しいてる母親に着いて移動していく。
しかし、たまに、激しくテールスラッピングを繰り返しすぎて、母親を見失ったのか、突如まったく離れた場所から母親が浮上してきて、ヒナヒナの方に慌てて戻るようなシーンもあった。まるで、「ヒナヒナ!も~いつまでそんなところで遊んでるの!ちゃんとお母さんに着いて来ないと駄目でしょ!」みたいに、母親に口先で押されて、ヒナヒナは無抵抗で移動させられていた。おもちゃの前で駄々をこねる子供の手を引っ張って、おもちゃ売り場を離れる母親を想像してしまった。
しばらくすると、母親も同じ場所を動かなくなり、ヒナヒナも母親の口先の上の乗っかったまま、まったくリラックスして動かない状態になった。オンゴが「入って様子を見てみろ」というので、トニーと二人でエントリー。しかし、透明度は最悪。かなり接近しないと姿を確認できないし、撮影も困難だった。
オンゴがホエールソングも呼んでいて、近くに来ていたので、しばらくして、そちらのゲストを先に入れさせてあげて、その後、エミさんと僕で入る。そのときには、母親の頭の部分にぴったりとくっついて、本当にリラックスしてる感じだった。ヒナヒナの方は、僕らの存在をほとんど気にしていないようだった。
母親の方は、多少からだを回転させて、僕らをあまりヒナヒナの方に向けないように移動はするものの、ほとんど動かずといった感じ。透明度も悪く、まともな撮影はできなかったけど、親子の愛情を目の前で観察することができた。
それにしてもこのヒナヒナは今まで会った子クジラの中でも、腕白で愛らしい仕草を沢山見せてくれる。 
これが、ヒナヒナの母親の背びれのアップ。「い」の字形の2つの白いラインが目印になる。

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