INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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トンガ ホエールスイム

まったく・・・、トンガ王国という国は・・

2008.08.13 / Author.

1週目の最終日から、週末を挟んで、2週目の初日まで、ぱったりクジラの姿が少なくなる。こんなことは、2004年に初めてババウに来て以来の事だ。まったくクジラがいないわけではないのだけど、金、土、日、火と、水中でクジラを目撃はしているものの、4日間まともに水中で撮影できるチャンスがなかった。

救いなのは、僕とトニーが2週目のゲストを迎えるために、船に乗船しなかった月曜日、ゲストのチャンさんだけ、別の船に乗ってもらって海に出たときに、動かない親子に遭遇して、1時間弱、ゆっくり撮影ができたということだ。
トニーによれば、2003年に彼が来たときに、同じような状況が続いていたことがあるそうだ。「9日間ほど、まったくクジラを撮影することができなかった。そのときに似ている」らしい。2週目に到着したリピーターたちも、初日の火曜日のブローの少なさに、「こんなの初めて」とぼやいていた。そう考えると、僕が初めて来た2004年はベビーラッシュと言っていいほどにクジラの親子が多かった。何か周期みたいなものがあるのだろうか?
海の状況とは別に、トラブルも発生した。1週目のゲストは小さなトラブルはあったようだが、無事日本に帰国した。しかし、2週目、ここ数年、毎年道中にトラブルの発生しているお盆の週にまた、トラブルが発生。
2週目のゲストと動向を共にしていた、トニーの奥さんのエミさんから、トンガタプからババウに来る13名のうち、4名が飛行機に搭乗できないという連絡が、トンガタプの国内線の空港から入る。
僕らはどういうことなのか、最初さっぱり理解できなかったが、とにかく「またか」という思いとともに、早急に手配を担当していた旅行代理店のオーナーや各方面に連絡を入れる。しかし、まったくそのオーナーとは連絡が取れない。昨年のトラブルのこともあり、今年は念入りに対応しようと、ほぼ1年前から前もって国内線料金を支払っていたにも関わらず、こんなことが発生した。
一方では、ホテルの部屋割りに問題が生じていた。2週目到着のゲストたちの部屋を確認すると、こちらも、すでに金額はグレードの高い部屋で支払いを済ませていたにも関わらず当初予定していた部屋よりもグレードの一番低い部屋がほぼ全員に割り振られていた。グレードの低い部屋と高い部屋では、部屋の大きさも、桟橋への近さもまったく違う。第一値段がかなり違う。
どうやら、国王の戴冠式後、次の週末に国王がこの島を訪れるので、その関係者たちが島にやってくるために、グレードの高い部屋をその人たちに割り振るため、マネージャーに勝手にそうされてしまったらしい。しかし、そのマネージャーも僕たちが島に来て以来まったくホテルで姿を見かけていなかった。
僕とトニーは、一瞬にして、様々なことに対応しなければならなくなった。航空会社や旅行社、そして、空港で対応しているエミさん、セーリングサファリのオンゴなどへの連絡を何度も繰り返すとともに、ホテルのフロントでは、部屋の変更の交渉を続けた。
エミさんから、「全員乗れることになった」と連絡が入る。そして、ホテルの部屋も交渉の末、実質的にホテルのマネージメントをしている男性(彼はかなりしっかりしていて、僕たちが毎年多くのゲストとともに、ホテルに滞在していることをよく知っている)が、彼の判断で、すべて通常僕たちが使用するグレードの部屋に戻してくれた。これには、オンゴがホテル側に連絡を入れてくれたことも大きかったようだった。僕らは、ついでに、残りの週のゲストたちの部屋番号もすべて確認して、「これを動かすことはしない」と確約をもらって、すべての部屋番号を、僕らの用意した部屋割りを印刷した表に記載した。
これで一件落着と思ったのもつかの間、またエミさんから「やはり4人が乗れなくなった」と搭乗直前に連絡が入ってきた。もし、この飛行機に搭乗できなかったら、明日の10時過ぎのフライトまで、搭乗できないと言われていた。それでは、乗れなかった人たちだけ、1日ホエールウォッチングができなくなってしまう。その時点で、僕はエミさんに「その航空会社は、僕らが乗ってきた8人乗りの飛行機があるはずだから、もうチャーターフライトを飛ばす方向で話を進めてください。こちらでもその方向で話進めるから」と伝えた。
「でもそのお金は誰が出すの?」と言われたのだけど、交渉を早めに解決するには、お金のことで揉めている暇はないので、「お金はこちらが出すから、チャーターフライトを飛ばす手続きをしてくれるように話を進めて」と伝えた。昨年もこのお盆の週、帰国時にダブルブッキングされて、6人のためにチャーターフライトを飛ばした。それも、こちらで全額負担した経緯があった。
しかし、チャーターフライトを飛ばすためには、航空会社、手配をしている旅行社、政府の許可が必要なために、時間がかかる。航空会社は、パイロットもいるし、飛行機もあるので、チャーターフライトを飛ばすことはまったく問題無いと言ってくれていたのだが、政府の許可が下りるのに時間がかかるのと、とにかく旅行社のオーナーとの連絡が取れなかった。一体何をしているんだか・・・。
トニーが各方面に連絡している間に、僕はオンゴやノーファと一緒に到着する9名のゲストを空港に出迎え、そこでも航空会社の最高責任者にこの状況を伝えて、どうにかチャーターフライトを飛ばせるようにしてくれと頼んだ。彼も「問題無い」と答えてくれていたのだが、結局、政府の許可の問題と、旅行社のオーナーが、何故かこれを拒否しているということで、飛ばせなる見込みがつかなかった。
結局、様々な交渉の末、その日に到着はできないものの、翌朝7時30分発の18人乗りのフライトで8時20分着に到着する飛行機に搭乗できることになった。彼らには、トンガタプで一泊してもらい、こちらは船の出港を10時30分にすることで、話がまとまった。その飛行機は無事、ほぼ定刻通りに出発し、9時過ぎには、皆ホテルに到着し、ボートで海に出た。
しかし、ここでも問題が発生。4人乗りボートのステアリングの調子がおかしくなり、途中でゲストを8人乗りボートに移して、4人乗りボートだけ帰港。おまけに、文頭に書いたようなクジラの状況。
飛行機の搭乗リストから4人の名前が消されていたのは、どうやら旅行社のオーナーが直前に行った“犯行”らしい。航空会社の担当者からは、「直前にリスト変更の連絡が入ったので、おかしいと思っていたが、旅行社からの依頼だったので、どうすることもできなかった」と言われたそうだ。
4人の代わりに、搭乗名簿にはヨーロッパ人の家族の名前が記載され、彼らが飛行機に乗ってきた。もともと彼らは翌日の10時のフライトに搭乗予定だったのに、直前にフライト変更を旅行社のオーナーに強引に依頼して、文句を言わない日本人の僕らのゲストが犠牲になったらしい。もちろん、エミさんは、かなり孤軍奮闘していたようなのだけど。カウンターでも、一時、エミさんたちが乗れることになり、彼らが乗れなくなったときの激しい剣幕はすごかったと、皆が言っていた。
エミさんに対して彼らがしてきた言い分は、「その日飛行機に乗れなくては、出航するクルーズ船に乗れなくなる。その損卒は2万ドル。それをあなたたちが負担してくれるわけ?」だそうである。なんで自分たちが搭乗予定日を間違えたのに、そんな理不尽な主張をしてくるのか?逆に言えばそれだけ理不尽にわめきちらした方がこういう場合得策なのかとさえ思ってしまう。
おまけに、その家族の子供たちは、カウンターで泣き出し、まるでエミさんたちが悪者みたいな雰囲気まで作り出されてしまったそうだ。
ちなみに、彼女たちが言っていたクルーズ船は、翌日もババウの島周辺にいて、いくらでもその辺の小さなボートに乗って乗船可能な場所にいた。
この飛行機の交渉のため、利用している航空会社関係者とは親密になり、今後一切、旅行社からキャンセルの連絡が入ったとしても、取り合わないで欲しいと伝え、航空会社も了承してくれた。
この他にも様々なトラブルがあり、しばらく記録を書く気力も萎えていた。普段節約のためにビールを飲まないトニーでさえ、月曜と、火曜の夜はビールを数本飲みながら、「来週は、僕はオフにしたい・・・」とぼやいていた。
まったくトンガ王国という国は、僕たち日本人の普通の感覚ではやってられない、一筋縄ではいかない国なのである。

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