INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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トンガ ホエールスイム

奇跡の親子、再会

2008.09.08 / Author.

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5週目のゲストが帰国する日、空港送迎をエミさんに任せて、6週目まで残る4人のゲストを2隻のボートに分けて、トニーと僕がガイドで海に出る。スキッパーはそれぞれ、ノーファとピーター。快晴ではあるが、風はまだ強く、島に囲まれたリーフの中で、クジラを探すに留まっていた。

2時ころ、皆を乗せた飛行機が島を飛び立つのを見送った。しかし、その時間までクジラの姿どころか、遠くのブロー1つさえも、まったく見れていなかった。風が強く、遠出できないせいもあるけど、9月に入って、ますますクジラの個体数が減ってしまったように思えた。
結局、この日トニーも僕もまともにクジラに遭遇することなく、帰路についた。
4週目のゲストの最終日に奇跡的に遭遇できた親子とエスコート。この子クジラにはVALという名前がつけられた。付けられたと言っても、トニーと僕が行っている親子クジラの固体識別名なのだけど。名づけ親は、小笠原でイルカやクジラのウォッチングを行っているシータックの高橋さんご夫妻。VALはスカンジナビア語で「クジラ」の意味だという。飼っていた犬の名前でもあるそうだ。
今年発見し、撮影した他の子クジラにも名前を付けた。それに関しては、WEB-LUEの記事で紹介する予定だ。
そして、翌日曜日。高橋さんご夫妻のご主人にとっての最終日。風はまだ強く吹き、この日小型の船では外洋に出るのは困難な状況だった。昨日同様、ほとんどクジラは見当たらない。しばらくして、ペアがいたと無線が入るが、透明度も悪くまったく止まらないので、なかなか水中で見るのは困難だった。
おまけに、トニーと高橋さん夫妻の乗船していた2人乗りのエンジンが不調になり、合流してエンジンをチェックした。あまり広範囲に荒れてる海を移動するのは困難な状態になっていた。こちらの船でクジラを探し、泳げそうだったら来てもらうしかない。
島影で2隻一緒にランチを食べた後に、僕らはオンゴが、「サブマリンロック側でブリーチングしてるクジラが見えた」というのでそちらに向かってみることにした。確かにクジラがこちらに向かって泳いできていた。しかし、別の会社の船がすでについていた。オンゴが「ブリーチングやテールスラップなんかしてるの見るだけになるかもしれないな。あれ、子クジラもいるみたいだな」と言い出した。
良く見ると、確かに子クジラがブリーチングを繰り返していた。ついている船は、以前にもなかなか親子を譲ってくれなかった船。親子ではあるけど、望み薄かも・・・と思いながらも、今日が最後の高橋さんに見せてあげないとと思い、無線で連絡を入れようとした。
しかし、オンゴが「まだ泳げるかどうかわからないから無線はしない方がいい」と言ってきたのだけど、あのエンジンの調子で遠く離れてしまっては、戻って来るのが大変だ。
僕は、「でも、向うに今日最後の人もいるから、連絡入れるよ」と言うと「好きにしろ」とちょっと不機嫌そうに言われたけど、とにかく無線を入れた。クジラについている船が、なかなか親子を譲ってくれない可能性があることも。
しかも、その親子とエスコートは、一昨日見た、VAL親子だというのが水面からでも確認できた。
無線でその船に連絡を取ってみると、透明度も悪いし、あと数回入水したら、譲ると言われた。カメラマンが乗船していて、この透明度では撮影できないと判断したらしい。彼らの船は2度ほどゲストを入水させて、去って行った。
次は僕らの番だと思ったら、別の船がこちらに何の連絡も無しに、ゲストをエントリーさせ始めた。そちらも日本人のグループなのはわかっていたので、別に先に入ってもらうのは、かまわないのだけど、順番はこちらが優先だったので、一言「先に入れさせてくれ」と連絡を入れてくれればいいのにと思った。
その船も、3回ほどエントリーさせて、去っていったので、トニーたちも呼んで一緒に海に入った。透明度は確かに悪かったが、近寄れば撮影できない状態ではなかったので、子クジラだけで上がってくのを待って撮影したり、母親とエスコートと一緒に浮上してくるのを何度も撮影した。
風が強く、小さな船では外洋に出れなかったが、外洋に出ていた船からの報告では、何ペアかの親子が目撃されているとのことだった。

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