INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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トンガ ホエールスイム

5週目、最終日・奇跡の親子クジラ

2008.09.07 / Author.

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5週目3日目、雨雲は抜け、空は快晴になるも、強風は収まらず。4人乗りの船も8時には出港したものの、10時前には諦めて戻ってきた。当然のことながら2人乗りは出港を諦めた。

ゲストにしてもれば、これで3日目。海中でクジラに会えず、少しでもチャンスがあれば海に出たいという気持ちが強いのも理解できた。しかし、前日の強風と大雨でフィッシングボートが一隻沈んでしまったこともあり、現地側は船を出すことに慎重になっていた。
その日の朝は、出られない理由を説明して、説得することに心労した。すぐに気持ちを切り替えてくいれる人もいればそうでない人もいる。自分だって、出せるなら当然出してあげたいし「ほんの少しでも見られれば」と言われれば、可能性が100%無いわけではない。
しかし、安全性の面も考慮したら、全てのリクエストに無謀に答えるわけにはいかない。その日、ほとんどのゲストはカートサファリで島巡りを楽しんだ。
残るは最終日に掛けるしかなかった。過去にこれほどクジラに会えないまま、最終日を迎えたことはなかった。しかも、その最終日にも問題が持ち上がっていた。大型の4人乗りがダブルブッキングされていて、僕らが別の船に乗らなくてはいけなくなった。
もちろん、代替の船はダブルブッキングをした船会社の責任なので、あちらが代替の船を捜してきていて、金額の差額は返金すると言ってきていた。今年のトンガでは色々ありすぎて腹も立ったと同時に、「こんなので、僕ら、よく続けてるよね」とトニーと溜息をついていた。
こちらからも、こちらの指示に極力協力的にしてもらえるように、スキッパーは、ロリーの弟で、いつもアシスタント兼スキッパーのミカ(男性の名前)にしてもらうことを条件にしつつ、また別の船も捜していた。しかし、結果的に彼らが探してきた船で最終日出港することを決めた。僕らも初めて乗船する船だ。形は、いつも使用している小型の4人乗りとほぼ同じ。
僕が4人乗りに乗船して、全部の船が10時に出港。収まったとはいえ、まだまだ風は強かった。2人乗りのゲストは、まだ来週も滞在するので、見れていないとはいえ、気持ちの上では余裕があった。しかし、4人乗りはこれが最終日。見せないわけにはいかない。
何とか見つかりますようにと心のそこから願いながらクジラを探す。しかし、他の船も泳げるクジラはまったく見つけていないようだった。自分でクジラを見つけたいけど、他の船が泳げそうなクジラを見つければ、すぐにそちらに急行するつもりでいた。しかし、ランチの時間になってもどの船も泳げそうなクジラを見つけてはいなかった。
「ランチ食べましょう。ランチたべたらクジラが出たりすることもよくあったから」と
気休めではあるけど、気分転換もかねて皆にランチを勧める。その直後、別のゲストを乗せて海に出ていた小型の4人乗りスパイホップのスキッパーJBから無線が入ってきた。「スワローズケーブで、すごくいいクジラの親子を発見。水中でゆっくり泳げるぞ!」
僕らの船はそこからかなり近かったために、有無も言わさずミカにスワローズケーブに向かうように指示した。トニーも、JBに4人乗りのボートに最終日のゲストが乗船しているから、優先して入れてあげて欲しいと無線を入れていた。
そちらに向かうと、母親とエスコートは水中で休んでいて、時折子クジラが水面に浮上してきてスノーケラーと一緒に泳いでいるようだった。到着してすぐに「そちらが入っていいよ」とJBに順番を譲ってもらう。透明度は悪いものの、子クジラが接近してくれるので、全員が水中でクジラと遭遇することができた。
2人乗りの2隻も結局他によいクジラが見当たらず、こちらにやってきて、全部の船で交代しながらクジラの親子とエスコートを水中で見ることができた。
最終日。風もまだ残り、他のオペレーターの船もまったくクジラを見つけていないなかで、これほどリーフの内側で静かにしているクジラの親子と何回も泳ぐことができたのは、ラッキーというよりは奇跡に近い。
正直、今週で過去4年間、100%の確率で、ゲストに水中でクジラを見せれていた記録が途切れてしまうのではないかと、半ば諦めかけていた。こんなにクジラがいないのに、毎週なんらかのラッキーなクジラに遭遇できていること自体、本当に奇跡だと感じた。
また、この親子は今年トニーと一緒に親子クジラの固体識別をしている中では、また新たな固体で、14固体目になる親子となった。

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