INTOTHEBLUE 水中写真家  越智隆治

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トンガ ホエールスイム

2017トンガ・ホエールスイムWeek5 子クジラを襲うエスコート。クジラの潜む密林に迷いこむ?

2017.09.17 / Author.

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1日目(23日目)曇り時々雨 北西の風強い
越智
韓国人水中写真家のチャン・ナムオンさんと、韓国のテレビ局のグループのガイドとして乗船。最初に順番待ちしていた親子はエスコートがついて移動を始めた。HUNGA島の外洋で泳げているという4頭のクジラにエントリーするが、見えるものの撮影できるほどの距離では無かった。
稲生
HUNGA島の外洋でカロから4頭のクジラを譲ってもらい、2回泳いだ。
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シンガーをHUNGA島の南の外洋で見つけて泳ぐ。水深20mくらいで透明度がそれほどよくないが、テールが見えていた。
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チャネルの南で親子とエスコートがいたが、子クジラが小さくて寄れず。
2日目(24日目)晴れ 南東の風強い
越智
9時に出港。ノースベイで親子(親子No31)と泳げているという情報で、ノースベイへ向かい、順番待ち。ランチを食べた後に、マカイラとカロから譲り受けて、レイダとシェアした頃には、ホワイトパッチから、トンガシカに向かう風の当たるエリアまで移動していた。カロが最後に入った後に動きだし、子クジラ、母クジラが何度もブリーチングをしていた。こちらがエントリーした時もそれほど、寄れる感じではなくて、透明度が良いから個体識別用の撮影ができる程度の距離までしか寄らせてくれなかった。
子クジラは、母クジラからかなり離れて泳ぐので、子クジラに人が近づくと母クジラが慌てて連れ去っていくことも。子クジラは、女の子。
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<親子No31>
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<親子No31>
その近くで、マッドマックスとマカイラが別の親子(親子No32)と泳いでいて、他に順番待ちしているボートもなかったので、2隻が泳ぎ終わった後に、ゆずってもらう。子クジラは男の子。母親は、浮上の時に、テールを海面まで出してから移動をしていて面白かった。母親の行動の特徴から、子クジラは「フルークアップ」と命名。
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<親子No32。子クジラは、「フルークアップ」と命名>
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3日目(25日目)、晴れのち曇り、南東の風強い
越智
韓国人グループで海に出る。出発してすぐにチャネル内の北側で、親子とヒートランを見つける。前に回り込んで落としてもらう。途中で、親子(親子No33)とエスコートになった。
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<奥が親子No33、手前がエスコート>
止まらないので、同じように追跡して、前に落としてもらったが、何故か、子クジラとエスコートが一緒に泳いでいて、母クジラは、少し離れて2頭についていく感じ。途中で、ボートの周りをグルグル回り出した。様子を伺っていると、どうやら、エスコートが子クジラを母親から遠ざけようとしているようだった。子クジラは必死に母クジラの元に戻ろうとしているのだけど、エスコートが、子クジラと母クジラの間に割って入ったり、子クジラをプッシュしたり、上にのしかかり、子クジラを海中に沈めようとしたりしていた。
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<左が母クジラ、右が子クジラの「ガチ」真ん中にいるのがエスコート>
どういう理由でそのような行動を取っているのか定かでは無いが、オスイルカが子供のいるメスと交尾するときに、子イルカが邪魔で、殺してしまう事例も報告されているので、もしかしたら、同じような行動だったのかもしれない。
母クジラは、オスのクジラよりもかなりサイズが大きくて、それほど慌てて子クジラを助けに行こうとしてる様子は無かったのが不思議だった。
子クジラは、口を膨らませて、一気に口をとじて、カスタネットのように、上下の口を合わせて「ガチ!ガチ!」と何度も音を出していたのだけど、これが、オスクジラへの怒りの表現なのか、あるいは、離れてしまった母親を呼んでいるのか、助けを求めているものなかわからないが、あんなに何度も音を発しているのは、初めてみた。今回のエスコートの行動も初めて目撃した。「ガチ、ガチ」音を出していたので、子クジラは「ガチ」と命名。性別不明。
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<エスコートから逃げ回り、母クジラのところに戻ろうと必死に泳ぐ、親子No33の子クジラ「ガチ」>
その後、また数頭のオスが加わり、ヒートランになってから再度潜ると、母親と一緒に泳いでいたので、少し安心した。
ランチの後、ホワイトパッチでオキゴンドウ数頭と泳ぐ。一頭がかなりこちらに興味を示して近寄ってきた。
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<360度カメラでオキゴンドウを撮影する韓国人ビデオカメラマン>
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<好奇心旺盛なオキゴンドウ>
稲生
HUNGA島の外で、2頭のクジラと泳ぐ。移動してるので、前に落としてもらって、様子を見る。海が荒れていたので、風の無いノースベイに親子(親子No34)がいるというので、そちらに移動。子供が産まれて間もないくらい小さくて、なかなか寄れないが、2回ほど近くで見れた。
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4日目(26日目) 晴れのち曇り
越智
最初にノースベイでストライカから、穏やかな海域でシンガーと泳げているというのでそちらに向かうが、すでに、荒れているエリアに移動していて、追跡を諦める。ランチ後、泳げている3頭にエントリー。止まらないので、前に落としてもらって、何回か撮影ができた。
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最後に、HUNGA島の外洋で泳げている親子(親子No35)と泳ぐ。今シーズン海中で泳げた子クジラのなかでは、一番小さい個体だった。一番小さかったので、「チビ」と命名。
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<母クジラの顔にフニャフニャとまとわりついているところが可愛かった、「チビ」>
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稲生
朝早くにノースベイでシンガーに2回エントリー。
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その後、なかなか見つからず、HUNGA島の外で、親子(親子No35)と泳ぐ。
5日目(27日目) 快晴、のち曇り。風弱い
越智(稲生)
ファンガシトの約6km南で、レイダが9頭のヒートランと泳いでいると無線を受けて、そちらに移動。着いた時には、別れてしまっていたようで、少し不安になったが、その中でも一番大きな群れにアプローチするが、透明度もそれほど良い訳でも無く、なかなか見つけるのが困難だった。チェックで海に入り、すぐにシンガーの歌声が聞こえた。クジラは、ばらけて浮上しているのは確認できていたのと、自分がチェックしている間に、ボートが浮上してきたクジラにアプローチしようとしているのが見えていたので、せめて、シンガーだけでも探そうと、歌声が大きくなる方へと泳いでいくと、ペアらしきクジラの周囲に何頭ものクジラがいて、止まっているのを発見した。
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メスが静かにとどまっている間に、まとわりついてくるオスを、ペアのオスが、追い立てる。直立して、顔を上にしてとどまっているオスもいれば、歌っているオスもいたり、やたら頻繁にちょっかいを出してくるオスもいて、見ていて飽きない。それぞれ別々に浮上してくるので、その瞬間を狙って撮影したりしていた。ヒートランというよりは、ペアにまとわりつくオスたちってかんじで、メス吐いたってのんびりしていた。これに、何度もエントリーして撮影を行なった。少し透明度が悪い中で、クジラたちの海中での様々な営みが、観察できて、とっても面白かった。透明度が悪くて、いつの間にか姿を表すクジラたちが、まるでジャングルの中から、突然姿を見せた恐竜たちみたいで、いつまで一緒にいても飽きることはなかった。
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ある程度泳ぎ終わって、チャネルまで引き返すと、親子(親子No36)とエスコートを譲ってもらう。最初は神経質だった、母クジラも、徐々に慣れてきた。子クジラは好奇心旺盛。人の周りで、お腹を見せて、何度も何度も回り続けていた。お尻をフリフリしてる様子が印象的だったので、「フリフリ」と命名。性別は男の子。
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6日目(28日目)晴れのち曇り 南西の風強い
越智
韓国人グループで海に出る。サブマリンロック近くで、親子(親子No37)、親子とエスコートを同時に発見して、親子の方にアプローチし、親子とエスコートの方は、無線で連絡したプロティウスについてもらい、どちらか泳げる方にお互い連絡して、シェアして泳ぐようにしようとしたが、どちらもあまり止まらず。こちらは個体識別用の撮影ができただけだった。
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<親子No37>
その後、HUNGA島の外洋側を北上していたら、島の浅いエリアで親子(親子38)を発見。これだけボートが出ているのに、自力で、3組も見つけられるのはラッキーだったのか、親子の個体数がまた増えてきたのか。しかし、母親が完全には、落ち着かなくて、何度か止まっている親子を撮影はできたものの、浮遊物が多く、透明度がイマイチだった。子クジラはお腹まで真っ黒で、尾びれ側を上にしてみると、お腹のも模様がメキシコのルチャ・リブレのマスクみたいだったので、「ルチャ」と命名。性別不明。
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<親子No38、「ルチャ」>
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<親子No38、「ルチャ」の母親>
他のボートに譲ったあと、HUNGA島の内湾でランチを食べて、またそこから北上し、親子とエスコートを発見した。アプローチを試みたが、上手く行かず、終了。
個体識別用の撮影ができたのは、発見した4組中2組だけ。
今週個体識別できた親子は、9組。親子を発見する回数は、week4よりも多かったが、生まれて間もない小さい個体が多いためか、なかなか寄らせてくれる親子が少なかったようだ。Week5では、子クジラがもう少し成長して、母クジラも落ち着いてくれればいいのだけど。
今週は、子クジラを母クジラから引き離そうとするエスコートの行動を水中でかなり長く観察することができたこと。こんなに長く観察できたのは、15年間で初めてのことだった。
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<甘えて母親の上に乗ってるのではなくて、下にいる母親の方に行こうとする子クジラをエスコートが阻止しているシーン>
また、止まって落ち着いているペアの周囲で3~4頭のオスがまとわりついて、メスを奪うチャンスを伺っている様子は、普通にヒートランで激しく追いかけ回すシーンよりも、神秘的で不思議な感じがした。大きなクジラたち全部の様子をはっきり伺うには、透明度がイマイチだったが、逆に、かすかに見えるクジラたちが、少しづつメスに忍び寄っていくのが、まるで、ジャングルの密林の鬱蒼とした木々の影に身を隠しながら、行動している恐竜たちの様子を眺めているようだった。
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歌うクジラもいれば、時には、ペアのオスがバブルを放ちほかのオスたちをけん制するような唸り声のような声を出していたのも、その不思議な感覚を高めてくれていた。そんな中、メスは何頭ものオスに取り囲まれながらも、悠然と同じ場所にとどまっていた。メスの生殖器部分を見ると、これが交尾を受け容れる態勢が整っているためなのか、どうなのかはわからないが、明らかに肥大していた。個体差なのかどうかわからないけど、もし、また同じような状況に遭遇したら、しっかり確認してみたい。
Week5に参加して頂いたみなさま、飛行機がキャンセルになったり、ボートのエンジンが故障して使えなくなったり、色々ご迷惑をおかけしました。これに懲りず、また是非参加していただければと思います。
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2018年度のトンガ・ホエールスイムは、以下のスケジュールを予定しています。
ご興味のある方はお問い合わせください。
week1 2018年8月5日(日)〜8月12日(日)
week2 2018年8月12日(日)〜8月19日(日)
week3 2018年8月19日(日)〜8月26日(日)
week4 2018年8月26日(日)〜9月2日(日)
week5 2018年9月2日(日)〜9月9日(日)
week6 2018年9月9日(日)〜9月16日(日)
week7 2018年9月16日(日)〜9月23日(日)
week8 2018年9月23日(日)〜9月30日(日)

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